これだけは知っておきたい!管理入門 

第1回 資金管理

2014.02.27
公認会計士 井澤 依子

今回から5回にわたり、「これだけは知っておきたい!管理入門」シリーズを掲載していきます。このシリーズでは、皆さんが会社を経営していくに当たって、日々、直面されるような身近な管理上の問題を取り上げて、どんな解決方法があるのかについて、ご紹介していきたいと思います。

  • 第1回 資金管理
  • 第2回 売掛金管理
  • 第3回 在庫管理
  • 第4回 固定資産管理
  • 第5回 経費の管理

このシリーズに登場するWWN社は、こんな会社です。

  • 業種: 女性向け衣料の製造・販売
  • 拠点: 本社のほか、店舗2カ所、工場1カ所
  • 社員: ひろ子社長のほか、社員は30人

それでは、さっそく第1回「資金管理」の中身に入っていきましょう!

1. 資金管理についてのケーススタディー

★WWN社のある日の出来事

WWN社の本社では、小口現金の管理と、現金出納帳への記帳は、社員のみゆきさんが担当しています。みゆきさんは時短勤務で午後4時に退社するため、仮払いの出金や立替経費の精算は、午後4時までに行うルールとなっています。しかし、緊急の場合に備えて、小口現金が入った手提げ金庫の鍵の保管場所は、社員に知らされています。

ある日のこと。月末になったので、みゆきさんは手提げ金庫を開けて中に入っているお金をカウントし、金種表を作成しました。そして、メモや領収書などをもとに、現金出納帳にまとめて記帳し、その出納帳の残高を金種表とチェックしたところ、どうやら手提げ金庫のお金が不足しているようです。

みゆきさん:「ひろ子社長、大変です!お金が足りません!!」

ひろ子社長:「えっ!・・・どうして?みゆきさんがちゃんと管理していたんでしょ?」

ひろ子社長とみゆきさんが今さら慌てても、調べようがありません・・・。

皆さんの会社では、こんなことはありませんか?

★それではどうしたらいいの?

  • 小口現金の金庫は、資金担当以外の社員には開けられないよう、鍵をきちんと保管する必要があります。
  • 小口現金は会社にとって重要な資産ですので、日々、残高をカウントし、金種表を作成し、承認を受ける必要があります。また、小口現金の過不足が発生したときに、その理由を調査できるよう、現金出納帳に受払いの都度、記帳し、あるべき残高と実際の現金残高(金種表)との一致を確かめる必要があります。みゆきさんのように月末にまとめて実施すると、不一致が生じた場合に調査がとても困難になります。
  • 誤りが発生しないようにするため、また不正が起きないようにするため、現金の出納と現金出納帳の記録は別の担当者が行う必要があります。

【WWN社の対応策】

  • WWN社では、小口現金の出金や精算については、みゆきさんが退社した後に引き継ぐ担当者を決めておくか、翌日扱いにするのかなどのルールを徹底し、鍵の管理を厳重に行うことにしました。
  • WWN社においては、みゆきさんが小口現金の管理を行い、ほかの社員が現金出納帳を記録するよう、担当を分けました。また、金種表の作成と現金出納帳の記録は日々、実施し、両者が一致していることを毎日、確かめることにしました。

2. 資金の特徴とリスク

会社にとって、資金は事業を始め、続けるために、基本となる最も大切な資産です。資金は会社だけでなく、個人にとっても価値があるので、日々、きちんとした管理をしていないと、社員などによる横領が発生する可能性があります。
また、資金は会社の生命線です。売上の拡大にばかり目を向け、資金繰りの管理がなされていないと、「勘定合って銭足らず」という状態になりかねません。

3. 資金管理のポイント

今回取り上げたケーススタディー以外にも、資金管理のポイントはたくさんあります。
皆さんの会社では、どのくらい管理体制が整っているか、ぜひ一度チェックしてみてください。

項目 内容
出納管理
  • 現金は出納担当者以外の責任者が定期的に実査する。
  • 通帳残高と預金元帳の残高を定期的に照合し、一致(不一致の場合はその理由)を確かめる。
  • 通帳と印鑑は別々に保管する。
  • 売上代金を回収した場合などは、多額の現金を社内で保管し続けることのないよう、遅滞なく銀行に預け入れる。
  • 入出金を依頼する部門の責任者が承認した資料(入金の場合は入金依頼書、出金の場合は仮払依頼書や領収書・請求書など)に基づいて入出金をする。
  • 領収書の用紙は連番を付して管理し、書き損じなどの抹消手続きを適切に行う。
  • 小切手帳・手形帳の受払記録を作成する。
資金繰り
管理
  • 資金繰り計画を適切に策定し、計画的に資金を調達、運用することで、資金の効率的運用を行う体制を整える。また、計画と実績の分析を定期的に行う。
資金調達
資金運用
  • 資金調達や資金運用については、社長が決裁したものだけが実行されるよう、印鑑管理は特に慎重に行う(社長自ら管理することも考えられる)。