旬刊経理情報 連載『女性リーダーからあなたへ』

第37回 「バリキャリ」よりも「ブリキャリ」~ブリリアントな人生とキャリアを愉しむ~

2020.07.31
首藤 繭子
株式会社ガラパゴス 執行役員
Winning Women Networkの企画・協力で、旬刊経理情報に『女性リーダーからあなたへ』を連載しています。2020年4月1日号に掲載された記事をご紹介します。

初めまして! 私は、AIを活用したデジタルクリエイティブのスタートアップ、株式会社ガラパゴスでコーポレート部門を統括しています。略歴だけ説明すると、私はよく「バリキャリ」と思われるのですが、私自身は「ブリキャリ」(素敵(ブリリアント)な人生を愉しみながら、その重要な要素であるキャリアもエンジョイするという意味の造語)をモットーとしています。

今の自分に至る流れを振り返ってみると、キャリアの形成は私の人生において欠かすことができない要素です。高校時代のオーストラリア留学後、国と国の架け橋になりたいと考え、外交官や国連職員を目指して大学では学業に励みました。大学4年のフランス留学中には、ビジネスの世界での国と国の架け橋になるという目標に変更し、最初に就職した外資系証券会社で苦労しながらも金融とグローバルビジネスの基礎を身につけることができました。その後米国のビジネススクールでは世界の第一線で活躍する学友達からおおいに刺激を受け、つい半年ほど前までは、世界規模で事業を展開する大手自動車メーカーで、ルーツを日本に持つ製品をいかに多くの国の消費者に受け入れてもらえるか考える日々を送っていました。

もともと、国と国の架け橋になるという目標は、「いろいろな国の人達と深く知り合うことが楽しく、ワクワクする」高校時代の原体験に端を発しています。仕事を始めて間も無い時期は、グローバルな環境で活躍するためには仕事を通じたスキルアップに専念すべきと考えていました。

しかし、仕事で知り合ったグローバル企業の第一線で活躍する人々のなかには、マネジメント層であっても、子供が出場する重要なスポーツ試合観戦のために早退したり、有給休暇を利用して趣味のマラソンで大会に出場したりする人もいました。「彼ら」はキャリアを築き上げる以上に、1人の人間として魅力に溢れ、「ブリリアントな」人生を送っている―そんな印象を私は強く抱き、仕事やプライベートでの交流を通じて、「彼ら」からおおいに刺激を受けました。

私がこれまで出会った、充実したプライベートとキャリアを送っている人々は、先ほど「彼ら」と呼んだように、残念ながら今のところ男性が多くを占めており、国籍では日本人の割合は比較的少ないといえます。その理由は、これまで多くの日本企業では成果よりも努力や労働時間を重視しており、さらにはマネジメント層として活躍できる40代以上で大手の事業会社やプロフェッショナルファームに在籍している女性がそもそも少ないためと考えています。

しかし、時代は一気に変わっています。人生100年時代といわれ、元気な人ならば70歳程度までは体力的に問題なく業務をこなし、私の趣味である登山においても、70代以上の高齢者の方々が元気に山に登っています。また、多くの人は大学卒業後40年かそれ以上仕事をすると考えると、その間の人生をどう愉しむか、そのなかでキャリアをどう位置づけるかが非常に重要ではないでしょうか。

昨今はテクノロジーの発達も手伝って、仕事の時間、自分の趣味の時間、あるいは家族と過ごす時間など、私達が費やす時間の境界線はどんどん曖昧になっています。そのなかで、何かを選択し、何かを捨てるのではなく、無理のない範囲で自分がやりたいことはすべて実行し、プライベートとキャリアの相乗効果を意識しながら、人生を過ごしていく。そうすることで、結果的にキャリアについても、自分のなかで納得感が高まるのではないかと考えています。

(「旬刊経理情報」2020年4月1日号より)
(企画・協力 EY新日本有限責任監査法人 EY Entrepreneurial Winning Women)

首藤 繭子

首藤 繭子(しゅとう・まゆこ)
株式会社ガラパゴス 執行役員

UBS証券会社で株式調査業務(小売・自動車業界)、米系コンサルティング会社の米国本社および日本支社で戦略コンサルティング業務従事後、2010年日産自動車株式会社に入社。同社プレミアムブランドのグローバル本社(香港)設立、経営企画部の中期経営計画担当、グローバルセールス&ディーラーネットワークの戦略企画責任者を経て、昨年10月から株式会社ガラパゴス 株式会社ガラパゴスウェブサイトへにて、経理・財務・人事等コーポレート領域全般を統括。慶應義塾大学法学部政治学科卒業。Stanford大学MBA。