旬刊経理情報 連載『女性リーダーからあなたへ』 ― 第32回 限られた時間だからこそ、相手想いの価値あるアウトプットで信頼を勝ち取る

谷脇 しのぶ
(株)ヘノブファクトリー 代表取締役

Entrepreneurial Winning Womenの企画・協力で、旬刊経理情報に『女性リーダーからあなたへ』を連載しています。2019年11月1日号に掲載された記事をご紹介します。

へノブファクトリーを設立して15年が経ちました。私が会社を設立した当初は、まだ業務自体にこれという強みがあったわけではなく、当時ニーズがあったウェブサイト運営の仕事で主に制作業務を中心に日々取り組んでいました。

その都度求められることが異なり、ハードな日々でしたが、高い技術力や手間がかかるほど、お客様に喜んでいただけるということを繰り返し経験しました。さらには、作ったウェブサイトの効果を上げたいと望むお客様が多いことがわかり、サイトをお預かりし運用するという業務も行うようになりました。

こうした経験のもと試行錯誤するなかで、「お客様が求められる細かな要望は、へノブファクトリーでなら叶えられる」ということを強みに、今日では「サイト育成」という言葉を用い、自社のオリジナルサービスとして展開・確立するようになりました。

私は、会社設立と同時期に子どもを授かりました。会社の親、わが子の親としてどちらも両立をさせるために悩んだことも少なくありません。

まず、働くママの最大の悩みは「時間がない」ということではないでしょうか。私は、この「時間」に着目し、限られた時間で最大限価値の高い仕事をすることに意識を向けるようになりました。

たとえば、お客様への提案書では、提案の質を高め1回のプレゼンで受注へと導けるようにしたり、アウトプットを丁寧にわかりやすくしたりなど、少しの工夫ですが、次のステップへと促せる工夫を取り入れることでおのずとスムーズに仕事が進むように意識を向けました。自分にしか出せないオリジナリティのあるアイデア、相手を想ったアウトプットを続けていれば、必ず指名が来ると信じています。

働く女性、これから働きたいと考えている女性にとって子どもがいたり、家事や介護などが発生したりといった状況は、どうしてもマイナスに捉えがちですが、時間が限られる生活スタイルだからこそ自分なりの工夫を取り入れることができ、効率のよい仕事ができると思っています。

私は高卒でアルバイトからのスタートでした。今、こうしてキャリアを築けたのは、その時その時の自分の能力に、自分なりのアレンジを加えて価値を上げていったからだと思っています。

料理と同じで、レシピどおりに作ることも大切ですが、料理な上手な方は自分ならではの配分を試したり、材料に工夫をしたりしながらクオリティの高いものを生み出していますよね。他にも料理を美味しく食べてもらうためにお皿を温めたり食べやすい器を選んだりと相手を想う気持ちも忘れていません。

仕事だってそれと同じです。相手を想って、どうすれば仕事をスムーズに進められるかを考えて取り組むことが大切です。そうして自分の仕事の価値が高まるごとに次のチャンスをいただけるという流れはどの業界においてもいえることではないでしょうか。

今よりも前進したい、時間がないけれど仕事を諦めたくない、もっと活躍したいと考えている方は、騙されたと思って「人よりも工夫をする」をポイントに、まずは目の前の業務を見直し、質を高めることに着目してみてください。きっと、あなたならではの道が拓けてくるのではないかと思います。

(「旬刊経理情報」2019年11月1日号より)
(企画・協力 EY新日本有限責任監査法人 EY Entrepreneurial Winning Women)

谷脇 しのぶ

谷脇 しのぶ(たにわき・しのぶ)
(株)ヘノブファクトリー 代表取締役

1974年生まれ。出版社でウェブマーケティングに従事した後、デザイン事務所でディレクション経験を積み、2004年にヘノブファクトリーを創業。2006年に法人化。多くのウェブサイトを構築するなか、自社ECでも年商1億円を達成。2010年にはサイト運営ノウハウを活かし「サイト育成事業」をスタート。ウェブ育成に活用できる自社ツールを開発・提供中。また全国各地でリモート正社員を採用し、いつでもどこでも誰とでも価値ある仕事を提供できる"ビジネスセンスのあるウェブ担当者"を育成するため、2019年、新たにウェブノ株式会社を設立。全国に優秀なウェブ担当者を増やすべく、活動範囲を広げている。