旬刊経理情報 連載『女性リーダーからあなたへ』

第31回 夢の努力は今! 今日しない事は明日もしない

2020.01.30
岩切 知美
(株)成美 代表取締役社長
Winning Women Networkの企画・協力で、旬刊経理情報に『女性リーダーからあなたへ』を連載しています。2019年10月1日号に掲載された記事をご紹介します。

将来の夢を最初に描いたのは5歳のときで、今でいうCAです。幼稚園のお遊戯会でスチュワーデス物語を踊ったからです。「英語が話せないから無理ね」と友達にいわれると早々に諦め、それから年頃にあわせてたくさんの夢を描きましたが、できない理由をみつけては諦めて、どれ一つ叶えないままでした。

そんな私が40歳で起業したキッカケは二つあります。生まれ育った地元の郷土料理を次世代へ繋ぎたい。もう一つは、自分に価値が欲しい、でした。男は大黒柱で稼ぎ頭、女は出しゃばらず男を支え家庭を守る。それが当たり前の風潮が残る時代と地域に生まれ育った私は、父や主人のお陰で生かされていると思っていたのです。唯一、3人の子育て中は私が必要とされる充実、自分に価値感が持てる幸せな時間でした。しかし、子供の成長とともに私の役目も終わります。価値が終わってしまうのです。人生100年時代、もうすぐ折り返し。初めて自分と向き合った瞬間でした。私のやりたい事は無いの? 資金ができたらやろう。経験が無いから今は出来ない。周りをみれば同じように悩む女性がたくさん。どうして踏み出せないの? もし失敗したら。不安への恐怖(人は変化をさせないために不安を起こさせるといわれています)。いい訳ばかり。そうです。子供の頃とまったく変わってなかったのです。足りないならそれを得る為に、知識が無いなら勉強をし、その努力と決断を今しなければ何も始まらない。私は私を捨てるのかと自問自答を繰り返した結果、最大の勇気で踏み出した一歩が、あろうことか離婚でした(褒められない笑)。

郷土料理を繋ぎたい! 未経験の食品製造業を資本金0円1株からの起業は、ゼロではなくマイナスからのスタートで紆余曲折、七転八倒の日々でした。しかし、地元食材や規格外品を活用し、生産者と販売先とのネットワークをしっかり築いた商品開発は、小回りの効く製造とクオリティを求めるお客様に好評となり、大分空港・ディーン&デルーカ・紀ノ國屋様など全国のクライアント様とコラボレーションできるようになりました。弊社のスタッフは全員女性です。8割が子育て真っ盛り、働き盛りの女性ですが、時間が足りない女性なのです。

1日4〜5時間が精一杯の人もいます。8時間分の賃金が欲しいのが本音なんです。しかし、家庭から不満がでれば働けなくなります。ならば彼女達が時間で稼ぐのではなく価値で稼げる製造会社にしよう! できる事ではなく、必要な事をする。決断は3秒! どうすればできるかを考えよう。私がそうであったように、スタッフ一人ひとりが自分の価値の対価を手にすることで自分に自信を持ち、意識とやる気向上で業績も向上しました。

自分に都合の良い言い訳ばかりで努力を惜しみ、随分と遠回りして出遅れてしまった私だからわかる事は、不安がおきたら90%成功! 残りの10%は勇気です。前進し続ける間きっと何度でも訪れるこの成功法の秘訣は、愛と感謝を持ち自分に負けないことです。

(「旬刊経理情報」2019年10月1日号より)
(企画・協力 EY新日本有限責任監査法人 EY Entrepreneurial Winning Women)

岩切 知美

岩切 知美(いわきり・ともみ)
(株)成美 代表取締役社長

2012年食品加工製造業・個人創業。郷土料理の「鶏汁」をレトルト食品として商品化。その後地元農産物の規格外品に着目し、加工からの6次産業化に取組む。2016年DBJ女性新ビジネスグランプリコンペティションにて「女性起業地域みらい賞」、2018年APEC BEST AWARD「Highest growth potential」、農林水産省「ディスカバー農山漁村の宝」全国優良事例など多数受賞。「美味しい笑顔をつくる」をモットーに女性パワーで地域創成発信を行っている。