旬刊経理情報 連載『女性リーダーからあなたへ』 ― 第30回 出会いとチャンスを引き寄せる、SDGsと重なるたった1つの想い

渡部 雪絵

Entrepreneurial Winning Womenの企画・協力で、旬刊経理情報に『女性リーダーからあなたへ』を連載しています。2019年8月20日、9月1日合併号に掲載された記事をご紹介します。

「日本に寄付文化を広げる」、「消費を通じて社会と向き合う」ことを目的に、2015年創業の弊社は、1アイテムの販売につき1コイン=500円を子ども支援活動団体に寄付する働く女性向けのワンピースブランドAyuwa(アユワ)を展開しています。当ブランドは、自身が金融業界や報道機関で働いてきた経験から「家で洗える・スタイルが良く見える・ストレッチ素材でストレスフリー・ポケット付きのワンピース」という、日々忙しく過ごす女性のあったらいいな、を形にしました。ブランド立ち上げから約3年が過ぎ感じることは、社会と向き合いたいという想いが、伝手ゼロの状態でも生産先やお取引先、応援してくださる方を引き寄せ、苦しいことがあっても続けられる状態に導いてくれる、ということです。

私は創業と並行して乳幼児の育児を経験しており、待機児童問題や貧困など国内の子どもを取り巻く環境や途上国の子どもたちが置かれている状況などに目が向き、どうせ事業を展開するなら寄付を通じて子どもの未来に投資をしようと決めした。また、ファストファッションの流行に押され、斜陽になりつつある国内縫製産業に貢献するため徹底した日本製のアイテムをつくる、といったこだわりも生まれました。立ち上げたワンピースブランドは、寄付を通じて貧困や保健、教育等の問題解決に微力ながら貢献し、社会的に意義ある消費と生産を生み出します。偶然にも国連が提唱する持続可能な開発目標であるSDGsの実現と同じ方向を向いていたのです。

また、このように社会を意識したからこそ、ブランドリリースからちょうど1年を迎えた2017年5月、初めての期間限定ショップをファッションの聖地である伊勢丹新宿本店で開催できました。きっかけはバイヤーさんからのお問合せです。ご連絡くださった理由をお尋ねしたところ、同月は環境や社会を意識したテーマで店舗を展開するためブランドを検索していました、とのことでした。バイヤーさんとの初打ち合せは当時3歳の息子の緊急入院初日と重なり日時変更をお願いするレベルだった当時、こういった機会に巡り会えたのはコンセプトが偶然にも時代が歩むべき向きに沿っていたからだと思います。また、ワンピースブランドは今年1年をかけて受注生産に移行し、SDGs12番目の目標「持続可能な消費と生産」を徹底するため、必要な分だけ生産する体制に変わります。秋には使い捨て布ナプキンブランドamiee(アミー)を発売予定で、日々忙しく過ごす女性の「身体にいいことをしたい」という想いを形にすべく、環境に配慮したものづくりと寄付を通じた途上国の女子支援でジェンダー問題の解決に向き合います。

SDGsの方向性が想いや事業と重なったことは偶然ですが、社会を意識し向き合うことで、多くの出会いとチャンスに巡り合える時代なのではないか、と感じています。未来を見据え、未来をつくるために何が出来るのか、これからも考えていきたいと思います。

(「旬刊経理情報」2019年8月20日、9月1日合併号より)
(企画・協力 EY新日本有限責任監査法人 EY Entrepreneurial Winning Women)

谷脇 しのぶ

渡部 雪絵(わたべ・ゆきえ)
早稲田大学商学部卒。新卒で総合職として三井住友銀行に入行後、経済・金融メディアの記者職、証券会社の商品組成担当を経てファンド会社へ。第一子出産後、2015年にアユワ株式会社を設立。寄付を通じ子どもに投資するワンピースブランド「Ayuwa」を手がけ、ネットショップや伊勢丹、髙島屋等の百貨店で期間限定ショップを展開。東京/白金で試着できるフィッティングルームも運営。2019年秋、サニタリーブランド「amiee」をリリース予定。