旬刊経理情報 連載『女性リーダーからあなたへ』―第27回 「新しいことにチャレンジする楽しさ」と「疑似社内起業のススメ」

岡田 祐子
(株)エムズコミュニケイト代表取締役社長

Entrepreneurial Winning Womenの企画・協力で、旬刊経理情報に『女性リーダーからあなたへ』を連載しています。2019年6月1日号に掲載された記事をご紹介します。

私はどうも稀なキャリアを歩んでいるようです。大学時代は海外旅行やグルメを満喫。やりたいことは定まらず、当時好きだったグリコのアーモンドキャラメルのキャッチコピー「1粒で2度おいしい」にヒントを得て就職先はDNP(大日本印刷)を志望。

入社後は希望が通り、本社企画部に配属、1年で100社以上に訪問。訪問先は大企業の顧客戦略を考える本社部門に訪問。まさに1社で100度おいしい社会勉強をさせてもらいました。管理職手前の時、自分の貢献価値に悩む中、担当していた業務の課題意識から新たな事業を思いつきました。それがポイントサービスを有効に活用するための導入、改善の専門コンサル事業でした。薦められてベンチャー制度に応募し合格。

DNPグループでは初の女性かつ最年少、経営ド素人でグループ会社の社長となりました。

日本の文化ともいえるポイントサービスについて、値引きの違いや「人はなぜ思わずポイントで動いてしまうのか」を客観的に解明したく、ポイントサービスの効果指標の開発、支持されているポイントのランキングを見える化するポイントブランド力調査、導入企業の実態調査等を続け、300社を超える企業のコンサルを行い、メソッドを確立。会社経営では数えきれない涙を流しましたが、会社は連続黒字で15年経った年に親会社からMBOしました。

親会社の意向もあったMBOでしたが、内部留保で15年間貯まっていた利益を含め純資産価値で買い取りしなければならず、資金調達等も初めての経験でした。

大学や企業での講演やメディアの取材では

  • 企業や世の中の問題点に斬り込んで行くことは困難を伴うがチャレンジしてやっていく先に楽しさが待っている
  • 誰でも気づいている違和感、不満をポジティブに転換するためには発信してはじめて道は開ける。がその時は思い切って「AKY」(あえて空気読まない)

といった話をしています。

私はこのような経緯で普通のサラリーマンから経営者になりましたが、経営者になり働く視点が180度変わりました。働き方改革の中、経験を活かして「疑似社内起業のススメ」の普及も行っていきたいです。

(「旬刊経理情報」2019年6月1日号より)
(企画・協力 EY新日本有限責任監査法人 EY Entrepreneurial Winning Women)

岡田祐子

岡田 祐子(おかだ・ゆうこ)

慶應義塾大学卒業後、大日本印刷(株)に入社。社内ベンチャー制度で2003年、同社のグループカンパニーとして、国内唯一の会員/ポイント制度の専門コンサルティング会社である(株)エムズコミュニケイトを設立、代表取締役に就任。18年4月にMBO。
著書に「成功するポイントサービス」(WAVE出版)、『税務広報』ポイント制度の税務(2019年2月号)の巻頭言を執筆。ガイアの夜明け、ワールドビジネスサテライトに出演。