旬刊経理情報 連載『女性リーダーからあなたへ』

第24回 大きな変革の時代、ダイバーシティは企業のイノベーションを助けるか

2019.06.17
今田 素子
(株)インフォバーングループ本社 代表取締役CEO・ファウンダー
Winning Women Networkの企画・協力で、旬刊経理情報に『女性リーダーからあなたへ』を連載しています。2019年3月1日号に掲載された記事をご紹介します。

1998年に企業のデジタル上でのコミュニケーションを支援する(株)インフォバーンを創業して20年が経ちました。キャリアのスタートは出版雑誌業界で、1994年にインターネットカルチャーを報じるアメリカの雑誌WIREDを日本で発行することになったことから、デジタルの世界へと踏み込むことになりました。インターネットで変革するアメリカの状況を目の当たりするうちに、これは情報社会にとてつもない大変革が起き、紙の情報はすべてデジタルに取って代わるに違いないと確信し、立ち上げたのが現在の会社です。

その後の20年で情報の世界はものすごい勢いで変革しました。それまでマスメディアが独占していた情報発信の参入障壁が圧倒的に下がり、ブログやSNSの普及により企業も個人もメディアを持つようになり、誰でも好きな時に不特定多数に向けて情報を発信することができるようになりました。スマートフォンの出現で受け手側の情報取得の方法も大きく変化しました。この先もVRやARや5Gが普及し...。このような新しいデバイスやインフラの出現により社会が変革するスピードはますます加速しています。

面接などで、御社は5年後どうなっていますか? と聞かれます。その度に私は、「まったくわかりません」と自信を持って答えます。近い未来でさえ予測することは不可能に近くなっているなか、企業にとってむしろ大切なことは、常に変革に応じて変わり続けられる組織をどのように作っていくかということだと思っています。

そのような柔軟性の高い組織はどのように作られるのでしょう?
1つのヒントは多様性を受け入れるということです。ハーバード・ビジネス・レビューの調査で、「ダイバーシティな企業はそうでない企業よりイノベーションが起こしやすい」との結果が発表されました。日本の多くの企業は男性中心で社会が形成され、ダイバーシティな観点に欠けることが多いと感じています。実際にダイバーシティ調査でも日本の順位は諸外国に比べて圧倒的に低いという結果が出ています。企業内に働く数少ない女性リーダーたちも、男性の観点に無理して合わせて働いている人も多いように感じます。男性と同じように考え、働くことが本当に必要なことなのか常々疑問に思っていました。もっとしなやかに、女性ならではの視点で物事を捉えて仕事をしていく人が、人口と同比率で企業内のあらゆるポジションにいたとしたら、もっと多様で柔軟性の高い組織を作れるのではないでしょうか。

このような社会が実現されることを目的に、昨年Mashing UPというイベントを立ち上げ、60社以上の企業と、述べ1,000人以上の方々に参加していただき、女性活躍支援のみならず、LGBTや障害者雇用、働き方改革などをはじめとするあらゆる社会課題について語り合いました。

女性経営者として私自身が個人でできることは大きくはありませんが、このように人々を巻き込んでいく取り組みが、社会を変えていくための一助になればと考えています。

(「旬刊経理情報」2019年3月1日号より)
(企画・協力 EY新日本有限責任監査法人 EY Entrepreneurial Winning Women)

長森 真希

今田 素子(いまだ・もとこ)

同志社大学経済学部卒業後、英国Sotheby's にて History of Art course 修了。(株)同朋舎出版に入社後、1994年に『WIRED』日本語版を創刊。その後、1998年に(株)インフォバーン、2008年にはオンラインメディア企業、(株)メディアジーンをそれぞれ設立。2015年現職。ビジネスニュースメディア「Business Insider Japan」、テクノロジーニュースメディア「GIZMODO Japan」など10メディアを運営。2013年には第1回Webグランプリ Web人部門受賞。