旬刊経理情報 連載『女性リーダーからあなたへ』― 第21回 Willがあれば、道は開ける~性別にかかわらず、能力と意欲が活かされる社会に~

小安 美和
(株)Will Lab 代表取締役

Entrepreneurial Winning Womenの企画・協力で、旬刊経理情報に『女性リーダーからあなたへ』を連載しています。2018年12月1日号に掲載された記事をご紹介します。

メディアの力で社会を変えたい
「メディアの力で社会を変えたい!」というWill(ありたい姿)を掲げ、大学卒業後、新聞社に入社しました。総合職で働く女性が少ない時代、「女性は男性の二倍働かないと認められない」との先輩の言葉を真に受けて、必死で働いた20代。仕事にやりがいを感じつつも、一生、こんな働き方を続けるのだろうか? と疑問に感じ、28歳で配偶者の転勤に伴いシンガポールへ行く選択をしました。しかし、シンガポールで私を待っていたのは、「駐在員の妻」という壁。過去のキャリアを評価されず、自分の能力と意欲に見合った仕事に就けない悔しさを味わいました。

もう一度、メディアの仕事をしたい。そう強烈に思うようになった私は、シンガポールの小さな出版社に飛び込み、翌年には日系通信社に転職。もっとメディアビジネスのスキルを身に着けたい! そう思った私は33歳で一人日本に帰国し、(株)リクルートのネットメディア部門に転職します。自分で選択したキャリアですから、30代は迷いなく、仕事に打ち込みました。

「一人合宿」で考え抜いた、本当のWill
37歳の時、もう一度、海外でメディアをつくりたいと上海へ。結婚情報誌ゼクシィをオンライン化するミッションでした。残念ながら、力及ばず、事業としての成果は出せなかったのですが、中国人メンバーをリードし、さまざまな葛藤を乗り越えようともがいた経験は今も、私の財産となっています。

40歳の時、私が人生かけて本当に成し遂げたいことは何なのか? を考え抜く「一人合宿」を実施。40年の人生を振り返った際に脳裏に浮かんだのは、能力と意欲に見合った仕事に就けず、もがき苦しんだ、シンガポール駐在員妻時代の自分の姿。性別にかかわらず、その人の能力と意欲が活かされる社会にしたい。当時、(株)リクルートの人材メディア事業に携わっていた私は、「働く意欲があるけれど働く場がない」女性の復職支援プロジェクトを立ち上げました。やがて自分の人生通して、このWillをカタチにしたいと考えるようになり、45歳で(株)リクルートを退社、「Will Lab」を設立しました。

Willさえあれば、キャリアは開ける
現在、「Will Lab」は、自治体や企業とともに、女性の復職支援や女性リーダー育成のしくみづくりを行うほか、女性のWillを言語化するワークショップやイベント、ツアーの企画・運営、女性起業家を応援するメディア「そらとひと」運営等に取り組んでいます。

「Where there's a will, there's a way(意志あるところに道は開ける)」という諺がありますが、Willさえあれば、キャリアの選択肢が広がり、結果として自分らしいキャリア、人生が作られると信じています。「Will Lab」では、より多くの女性がWillに気づき、実現していくためのサービスや場の提供を行ってまいります。

(「旬刊経理情報」2018年12月1日号より)
(企画・協力 EY新日本有限責任監査法人EY Entrepreneurial Winning Women)

小安美和

小安 美和(こやす・みわ)
(株)Will Lab 代表取締役

1995年東京外国語大学卒業、(株)日本経済新聞社入社。2005年に(株)リクルート入社。13年(株)リクルートジョブズ執行役員、15年(株)リクルートホールディングス「子育てしながら働きやすい世の中を、共に創る iction!」推進事務局長。16年独立し、(株)Will Lab設立。自治体、企業とともに女性の就労促進・リーダー育成を行う。女性起業家支援メディア「そらとひと」も運営。