旬刊経理情報 連載『女性リーダーからあなたへ』ー 第18回 自ら発信することで、世界が変わる

2018年10月26日

秋元 里奈
(株)ビビッドガーデン 代表取締役社長

Entrepreneurial Winning Womenの企画・協力で、旬刊経理情報に『女性リーダーからあなたへ』を連載しています。2018年8月20日号に掲載された記事をご紹介します。

農業に従事している方の平均年齢が67歳と、徐々に衰退している現状を知り、農業領域をIT化することで日本の農業が抱えるさまざまな課題の解決を図っていきたいと思い、25歳で起業しました。味は美味しく栄養価も高いのに、見た目の問題で淘汰されている野菜がたくさんあることを知り、小規模で生産している小さい農家と、消費者を直接つなぐプラットフォームのような存在になりたいと思ったのです。

全国150軒の農家と消費者を直接結ぶことで、こだわって生産されているオーガニックなものや、気候に合わせて作った旬のものなど、収穫して24時間以内の新鮮な野菜を消費者の方へお届けすることができるようになりました。

消費者の方々から「野菜の概念が変わった」、「知らない野菜に出会えた」との声や、農家の方々から「消費者の声を直接聞くことができ、やる気につながる」、「農家だけではできないと思っていたことが可能になった」との声が寄せられることが、仕事のやりがいにつながっています。

そんな私ですが、学生時代は農業をビジネスとしてやっていくイメージはまったくありませんでした。

実家は農家でしたが、両親から「サラリーマンになりなさい」と言われながら育ったこともあり、大学では金融工学を専攻していました。

就職活動で金融業界をのぞいていくうちに、何年もの下積み時代を経てやっと一人前になれる金融業界の時間軸にふと疑問を抱くようになりました。もともと、チャレンジするのが好きな性格であったこともあり、「新人でも成功率50%の仕事をやってもらう」との言葉に惹かれて、DeNAに入社しました。そこでは自分から意見や考えをどんどん発信する必要があり、自ら発信することの重要性を痛感しました。

SNSが発達している現代は、「個人」をみられる機会が多い時代だと思います。自分はどういう人間なのか? 短くても、間違ってもいいからどんどん発信していくことが重要だと思います。また、発信するとびっくりするくらいたくさんの反応が返ってきます。時には批判されることもありますが、発信し続けていると、自然と仲間や共感者が集まってくるものです。

「コミュニティーを変えると、世界が変わる」というと、ハードルが高く感じますが、社外の人と会うようにしたり、飲みに行く仲間を変えたり、些細なことでも構いません。

外部の人と会うことで、自分の考えや意識が刺激されるのです。私は、さまざまな業界の人と交流したり、他の業界で成功したモデルを分析したりするなど、外部の風を取り込むことを心がけています。

農業の現場はまだまだアナログで、改善の余地が多く残っています。農家の方がITを簡単に利用でき、もっと気軽に出品できるようなサービスを推進していきたいと思っています。

(「旬刊経理情報」2018年8月20日号より)

秋元 里奈(あきもと・りな)
(株)ビビッドガーデン 代表取締役社長
神奈川県相模原市の農家に生まれる。慶應義塾大学理工学部を卒業後、新卒でDeNAへ入社。ウェブサービスのディレクター、営業チームリーダー、新規事業の立ち上げを経験し、2016年11月に(株)ビビッドガーデンを創業。2017年8月よりオーガニック農家のマーケットプレイス「食べチョク」を展開し、小規模簿の生産者でも簡単に消費者とつながれるプラットフォームとして、全国から150軒以上のオーガニック農家が参画している。