旬刊経理情報 連載『女性リーダーからあなたへ』― 第8回 「個人<チーム」で成果を出すことの大切さ

齋藤 亜也子
合同会社PVHジャパン ファイナンスコントローラー

Entrepreneurial Winning Womenの企画・協力で、旬刊経理情報に『女性リーダーからあなたへ』を連載しています。2017年11月1日号に掲載された記事をご紹介します。

Time flies. 私が社会人、そして会計人となって、もう20年以上が経ちました。税理士試験合格後、最初に入った会計事務所では会計や税務の実務基礎を学ばせていただき、その経験がその後の私の礎になっています。「会計、税務にもう1つ何かを」と考え語学留学をして英語を身につけ、環境のまったく異なる事業会社での経理・財務への転職を決めたのも、この会計事務所での経験があったからこそでした。

最初の事業会社はグローバルでは非常に大きな米国企業でしたが、日本ではたった1つのクライアントのIT部門をサポートする社員70名、経理、人事、総務総勢4~5名という小さな会社でした。日本での業務縮小を機に、グローバルスポーツブランドに転職しましたが、コントローラーとはいえ、社員100名、経理10名という会社全体が見渡せるこじんまりとした規模でした。

これら外資系企業2社ではそれまで触れたことのないUSGAAPやSOXの経験を積むことができ、その経験をもとに事業会社3社目で日本の売上が全世界売上の20%を占めるという、これまでに経験のない大きな会社に転職することができました。

転職後、私の当時の使命はチームのカルチャーを変えること、デスクに座って伝票やPCばかりと向き合っている経理部から、より戦略的に経理を考えることのできるチームにすることでしたので、さまざまな変化を起こす必要がありました。毎日残業の嵐で、おぼれかけていた私に上司が「齋藤さん、個人でできることは限られているのよ。チームで結果を出す方法を考えることでより大きな成果を残すことができるんだから」と声をかけてくれました。これまでの私は前職までの企業のサイズ感から無意識のうちに「自分が頑張ればたいていの業務はなんとかなる」と思いこみ、自分1人で何とかしよう、結果を出そう、ともがいていたのです。長年の経験で身についてしまった働き方ですから、変えることは簡単ではありませんでしたが、それでもチームで進めることを第1に考えるようになり、、チームメンバーが成長すること、チームとして成功することの素晴らしさを体験することができ、より大きな成果を出せるようになりました。

現職でもこれまでの経験をフル活用して、企業カルチャーチェンジという、より大きな使命をチームで推進しています。

客観的にみると、とても優秀な方でも、チームで結果を出すことの効果や重要性に気づいていないことが案外多いように感じます。決してチームワークが悪いわけではなく、せっかくチームという心強い味方がいるのに、個人で背負い込んでしまい、最良の結果を出せずにいるのではないかと思います。そんな状況を目にすると10年前の自分をみているようで歯がゆく、上司から教えられた「チームでより大きな結果を出すことの大切さ」をぜひ知って試してみて!と思わず声をかけたくなります。

(「旬刊経理情報」2017年11月1日号より)

齋藤亜也子

齋藤 亜也子(さいとう・あやこ)
合同会社PVHジャパン ファイナンスコントローラー
中央大学商学部会計学科卒業。税理士試験合格後に太田昭和Ernst & Young(株)(現EY税理士法人)に入社。E&Y在籍中の1年間の米国語学留学をきっかけに外資系企業へ転職。Perot systems Japan、Reebok Japan、Coach Japanの米国系企業3社を経て2013年よりTOMMY HILFIGERおよびCALVIN KLEINを展開する合同会社PVHジャパンのファイナンスコントローラーとして勤務。AccountingとFP&Aの2つのチームを管理するとともに社内唯一の女性ディレクターとしてマネジメントグループに参画。