旬刊経理情報 連載『女性リーダーからあなたへ』― 第2回 活発化する女性起業の支援活動を利用しよう!

田村 真理子
日本ベンチャー学会事務局長

Entrepreneurial Winning Womenの企画・協力で、旬刊経理情報に『女性リーダーからあなたへ』を連載しています。2017年5月1日号に掲載された記事をご紹介します。

超高齢化や人口減少によって女性の活躍が求められる時代になり、経済活性化の担い手のひとりとして女性起業家が注目されています。女性の社会進出が進み、起業の分野でも女性を支援する環境が整ってきたためとみられます。

たとえば、「日本のママに勇気と元気を、企業には『ママパワー』提供」と謳う女性起業家、宮本直美さん((株)コッコト代表取締役)は、「女性の就業」をテーマに、リアルイベント事業を通じてママの視点と企業のマッチングを手がけています。また、静岡県で創業した寺田望さんは、広報コンサル業務の傍ら、三島市で県内初となる子連れで利用できる女性起業家のためのコワーキングスペース「コトリスラボ」を2014年に開設し、Webデザイナーや税理士など多彩なスキルを持つ地域の女性たち50名以上が会員となり、企業だけでなく行政や商工会議所などとも連携しながら商品開発をしています。

確かに、地域のニーズに対応し、時代に適した商品やサービスを新たに提供しようと多様な視点で事業化する女性起業家が増え、彼女たち自身が主体となり同じ目線で女性の起業を支援する動きが求められているのかもしれません。

このような動きを捉えて、経済産業省では平成28年度より地域社会における女性の活躍に向け、地域の支援機関等を中心に「女性起業家等支援ネットワーク」を全国10カ所に形成しており、地域との連携を図った女性の起業を支援する環境が整えられつつあります。

さらに、創業支援の一環として女性のビジネスプランを促進する動きも活発化しています。2017年2月、品川区の「第6回ウーマンビジネスグランプリ」では、ご自身の体験をもとに「お母さんをラクにする!~カンタンに着せられるおしゃれな病児服~」を発表した奥井のぞみさんがグランプリに輝きました。

2016年6月、日本政策投資銀行の「第5回DBJ女性新ビジネスプランコンペティション」では、「働く女性を"窮屈さ"から解放したい」という思いから、働く女性の仕事服ブランドを2011年から展開している毛見純子さん(kay me(株)代表取締役)が、女性起業大賞に選ばれました。このように女性の起業サポート活動は広がっているといえます。

(株)東京商工リサーチの2015年「全国女性」社長調査によると、全国280万社のうち、女性社長の数は同調査の開始以来5年間で1.6倍の33万社以上となり、女性社長は確実に増えていることがわかります。この背景として、少子高齢化社会のいま、就職、結婚、出産、介護などで培ってきた人脈やスキル、経験を活かして事業化する女性の起業スタイルが求められ、新たな需要や雇用の創出を図り、わが国経済を活性化させる原動力として、女性起業家の力に期待が高まっているからといえます。私自身も、今後女性の企業が増えることでビジネスの視点が多様化し、新たな市場価値が創造されることを期待しています。

(「旬刊経理情報」2017年5月1日号より)

田村真理子

田村 真理子(たむら・まりこ)

日本ベンチャー学会事務局長
(株)日本経済新聞社、(株)日経BPを経て、日本ベンチャー学会事務局長。早稲田大学アントレプレヌール研究会理事、早稲田大学女子学生起業家交流会代表。経済産業省、文部科学省等政府委員等。主にベンチャー企業や起業家に関する調査・取材を手がけながら、事業創造論や事業計画、キャリアクリエイト等を早稲田大学、上智大学、事業創造大学院大学等で担当している。