これだけは知っておきたい!会計入門 

最終回 決算整理

2013.08.27
公認会計士 武澤 玲子

※今回はココを勉強します

決算整理

1. 決算整理とは?

これまで、日々の取引と決算書の関係を、主な項目9つに分けて説明してきました。最終回となる今回は、日々の取引を決算書にまとめるための決算整理を取り上げます。

あなたが会計を行うには、日々の取引を帳簿に記録します。そして、期末になると決算書(貸借対照表、損益計算書など)を作成するために、項目ごとに、1年間の取引を集計します。しかし、決算書を作るには、単に帳簿を集計するだけでは足りません。決算書を作るには、「決算整理」という、決算時に特有の処理が必要です。日々の取引を記録するだけではなく、決算日時点で資産や負債を評価しなおして、会社の実態を正しく表す決算書を作成するには、決算整理という手続きが必要になるのです。

2. 決算整理の具体例

この連載の第9回までの内容でも、決算整理に関する事項が出てきています。
例えば、売掛金については、過去の実績をもとに、将来、売掛金が貸し倒れる金額を予測して売掛金からマイナスすることが必要になります(「第2回 売上債権」参照)。

図2

棚卸資産についても、実際にあるかどうか(実在性)、販売価額が下落していないか(評価の適正性)を検討し、なくなったもの、価値が落ちたものがあれば、その事実を反映する必要があります(「第4回 棚卸資産」参照)。

図3

また、会計では、現金をいつ払ったかではなく、どの期間に対応する現金を払うのか、という観点で会計処理をすることになります。これを発生主義といいます。通常、日々の取引は現金を受け払いしたタイミングで帳簿に記録します。しかし、決算書を適切に作るには、決算日時点で費用が発生したかどうか、という観点で検討します。そして、決算日時点でサービスを受けているけれど、まだ払っていない費用については、「未払費用」を計上することになります。逆に、すでに払ってはいるものの、サービスを受けていないものについては、「前払費用」を計上します。

例えば、賃借料については、3月末までに、まだ賃借サービスを受けていない部分は、「前払賃借料」とすることになります(「第5回 賃借料と前払い」参照)。人件費については、期末日時点で未払いとなっている給料を「未払給料」として計上する必要があります。ボーナスについても、例えば3月までの期間に対応するボーナスを6月に支給する場合、3月末時点での未払分を、「未払賞与」または「賞与引当金」として計上する必要があります(「第6回 主な人件費」参照)。借入金の金利についても、未払費用、前払費用が生ずる可能性があります。

図4

また、建物、機械などの固定資産については、使用する期間が長期間にわたるため、買ったときの費用とするのではなく、「資産」とすることになりますが、買ったときの価値がそのまま続くわけではありません。そこで、例えば、10年間使える機械なら、10年間で規則的に資産の価値を減らしていく(減価償却)を行う必要があります(「第8回 固定資産」参照)。この減価償却も、固定資産を買ったり売ったり、廃棄したりするという、日々の取引の記録とは別に、「決算整理」として行うことになります。

図5

税金については、期末に法人税や消費税の申告額を計算し、未払法人税や未払消費税などを計上する手続きが決算整理に当たります(「第9回 税金」参照)。

図6

3.決算整理の重要性

決算整理は、1年分の取引を集計したあと、決算書を作成するために必要不可欠な手続きです。日々の取引に直接関係しないため、とっつきにくいという印象があるかもしれません。しかし、日々の取引を記録するだけでなく、資産や負債の評価が会社の実態を正しく反映しているかを見直し、実態に合った決算書を作成するためには、決算整理は行わなければならない大事な処理です。それぞれの決算整理の具体例の中には、イメージしづらいものもあるかもしれませんが、決算整理とは、決算日の会社の財産の状態や、決算日までの1年間の業績を正しく反映する決算書を作成するために行うものであるという点を覚えておいていただければと思います。