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情報センサー2015年7月号 Tax update

受取配当等の益金不算入制度の改正

EY税理士法人 税理士 日野良太
2008年にEY税理士法人に入所。トランザクション タックス部に所属。主に、M&Aや企業組織再編に関連する税務デューデリジェンス業務や税務ストラクチャリングに関するアドバイザリー業務などに従事。

Ⅰ はじめに

平成27年度税制改正において、内国法人からの受取配当等の益金不算入制度の見直しが行われました。今般の法人税改革は、「課税ベースを拡大しつつ税率を引き下げる」ことにより、法人課税を成長志向型の構造に変えるものであり、その一つとして受取配当等の益金不算入制度の見直しが行われ、益金不算入の対象となる株式等の区分や益金不算入割合等が従前とは異なる取扱いとされました。

Ⅱ 改正の内容

1. 概要

受取配当等の益金不算入制度について次の改正が行われ、「平成27年4月1日以後に開始する事業年度」の所得に対する法人税から適用されます。

(1) 益金不算入の対象となる株式等の区分等

益金不算入の対象となる株式等の区分、益金不算入額及び負債利子控除の対象が<表1>のように見直されました。

(下の図をクリックすると拡大します)


(2) 公社債投資信託以外の証券投資信託の収益の分配の額

公社債投資信託以外の証券投資信託の収益の分配の額は、その全額が益金算入とされます。ただし、特定株式投資信託(ETFなど)の収益の分配の額についてはその受益権を株式等と同様に扱い、<表1>の非支配目的株式等として、その収益の分配額の20%相当額が益金不算入とされます。

(3) 保険会社の受取配当等の益金不算入の特例

青色申告書を提出する保険会社が受ける非支配目的株式等に係る配当の額について、その40%相当額を益金不算入とする特例が創設され、損害保険会社の受取配当等の益金不算入等の特例(特別利子に係る負債利子控除の特例)は廃止されました。

2. 株式等の区分

受取配当等の益金不算入額は、その受ける配当等の額に係る株式等の区分に応じて計算されますが、平成27年度税制改正により、株式等の区分は次のように見直されました。

(1) 完全子法人株式等

完全子法人株式等に係る取扱いは、平成27年度税制改正後においても従前の内容と実質的な変更点はなく、受取配当金の全額が益金不算入とされます。
完全子法人株式等とは、配当等の額の計算期間の初日から末日まで継続して内国法人と他の内国法人との間に完全支配関係(100%のグループ関係)があった場合の他の内国法人の株式等をいい、計算期間とは、前回の配当等の額の支払に係る基準日の翌日から今回の配当等の額の支払に係る基準日までの期間※1とされています。

(2) 関連法人株式等

関連法人株式等とは、内国法人が他の内国法人の発行済株式等(自己株式等を除く)の3分の1超の株式等を、配当等の額の計算期間の初日から末日まで引き続き有している場合における他の内国法人の株式等※2をいい、受取配当金の全額(負債利子控除後)が益金不算入とされます。
なお、計算期間の起算日は「配当等の額の支払に係る効力が生ずる日」から「配当等の額の支払に係る基準日」に改正されており、完全子法人株式等の計算期間の起算日とその取扱いが統一されています。
また、配当等の額の計算期間が一年であるとしても、前回の配当等の額の支払に係る基準日の翌日が、今回の配当等の額の支払に係る基準日から起算して6月前の日以前の日である場合は、当該6月前の日の翌日が計算期間の初日とされるため、一般的なケースにおいては、今回の配当等の額の支払に係る基準日以前6月間継続して保有していることが要件とされます。

(3) その他の株式等

(1)完全子法人株式等(2)関連法人株式等及び後述の(4)非支配目的株式等のいずれにも該当しない株式等については、受取配当金の50%相当額が益金不算入とされます。

(4) 非支配目的株式等

非支配目的株式等とは、内国法人が他の内国法人の発行済株式等(自己株式等を除く)の5%以下の株式等を、配当等の額の支払に係る基準日※3において有する場合における他の内国法人の株式等※4をいい、受取配当金の20%相当額が益金不算入とされます。
なお、非支配目的株式等の判定は、短期保有株式※5は除外してカウントすることに留意が必要です。

3. 負債利子控除

(1) 対象となる株式等の区分

平成27年度税制改正により、負債利子控除計算の対象は、関連法人株式等からの配当のみとなります。

(2) 総資産の帳簿価額の計算方法

控除負債利子の計算は、確定した決算に基づく貸借対照表に計上されている総資産の帳簿価額に一定の加減算をした金額のうちに期末関連法人株式等の帳簿価額の占める割合を負債利子の額の合計額に乗じて計算した金額とされていますが、この一定の加減算が必要とされている項目のうち、その他有価証券の評価益相当額を減算し、評価損相当額を加算する調整は不要とされました。

(3) 簡便法の基準年度

関連法人株式等に係る負債利子控除額の計算の簡便法の基準年度は、平成27年4月1日から平成29年3月31日までの間に開始する事業年度とされました。


  • ※1期間が1年超となる場合には、今回の配当等の額の支払に係る基準日以前1年間
  • ※2Ⅱ2. (1)の完全子法人株式等を除く。
  • ※3みなし配当(資本の払戻しに係る部分を除く)の場合には効力発生日の前日
  • ※4Ⅱ2. (1)の完全子法人株式等を除く。
  • ※5配当等の額の支払に係る基準日以前1月以内に取得し、かつ、基準日後2月以内に譲渡された株式

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