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情報センサー2015年4月号 Tax update

平成27年3月期 法人税申告の留意事項

EY税理士法人 税理士 猪野竜司
2008年にEY税理士法人に入所。多国籍企業の企業税務コンプライアンスや税務アドバイザリー業務に従事。法人税に関するセミナーも多数行っている。

Ⅰ はじめに

平成27年3月期に係る法人税申告においては、今3月期から適用される平成26年度税制改正の内容に留意が必要です。特に、所得拡大促進税制や生産性向上設備投資促進税制等の民間投資活性化等のための税制措置について、その適用年度に留意が必要です。本稿では、平成27年3月期(自平成26年4月1日至平成27年3月31日)決算法人の申告を想定しています。

Ⅱ 留意すべき主要な改正事項

1. 所得拡大促進税制

国内雇用者に対する給与等の支給額が増加した場合として一定の要件を満たす場合には、その法人の一定の雇用者給与等支給額増加額の10%相当額の税額控除が平成26年3月期から適用可能となっています。
当初の支給額増加割合要件は「基準事業年度(3月期決算法人の場合は平成25年3月期)と比較して5%以上の増加」でしたが、平成26年度税制改正により、この要件が適用初年度(平成26年3月期)に遡(さかのぼ)って緩和されており、平成26年3月期においては「2%以上の増加」とされました。これにより、他の諸要件を満たせば、平成26年3月期において5%未満の支給額増加であっても、2%以上の支給額増加である場合には税額控除の適用が可能となっています。
この緩和後の要件に基づく税額控除の適用を受けるのは、平成26年3月期ではなく今3月期となるため、留意が必要です。
また、平成26年度税制改正では平均給与等支給額の見直しも行われており、国内雇用者が継続雇用者に変更され、加えて「平均給与等支給額が前年度以上であること」の要件が「前年度を上回ること」に変更されています。
なお、本税制による税額控除は当期の法人税額の10%相当額(中小企業者等※1は20%相当額)を限度とすることとされています。

2. 生産性向上設備投資促進税制

青色申告書を提出する法人が、産業競争力強化法の施行の日(平成26年1月20日)から平成29年3月31日までの期間(以下、指定期間)内に、特定生産性向上設備等※2の取得等をして、これを国内にある、その法人の事業の用(貸付の用を除く)に供した場合には、その事業の用に供した日を含む事業年度※3において、その特定生産性向上設備等の取得価額に対し、<表1>の特別償却と税額控除のいずれかを選択適用することができます。また、平成28年3月31日までの期間(以下、特定期間)内に設備等の取得等をした場合には、より有利な特別償却又は税額控除を選択適用できます。
平成26年4月1日前に終了した事業年度(3月期決算法人の場合は平成26年3月期)において、産業競争力強化法の施行の日である平成26年1月20日から平成26年3月31日の間に対象資産の取得等をして事業の用に供した場合には、今3月期において、特別償却と税額控除の選択適用ができるので、留意が必要です。
なお、本税制による税額控除は当期の法人税額の20%相当額を限度とすることとされています。

(下の図をクリックすると拡大します)


3. 復興特別法人税の廃止前倒し

平成24年4月より、法人税に加え、復興特別法人税(法人税額の10%相当額)が3年間の時限措置として課せられていましたが、この復興特別法人税が1年前倒しで廃止されたことから、今3月期の法人税(東京都・地方税含む)の実効税率は、38.01%から35.64%に低下します。

4. 交際費等の損金不算入制度

平成26年度税制改正により、交際費等の額のうち「接待飲食費」の額の50%に相当する金額は、損金の額に算入されることになりました。
中小法人については、800万円(定額控除限度額)以下の交際費が全額損金算入できることになっており、平成26年度税制改正による損金算入(接待飲食費の額の50%相当額)と、定額控除限度額までの損金算入の、いずれか有利な方を事業年度ごとに選択適用できます。
なお、1人当たり5,000円以下の飲食費で書類の保存要件を満たしているものについては、従前どおり「交際費等に該当しない」こととされています。飲食費(社内飲食費は除く)については、「1人当たりの金額が5,000円以下の飲食費」が交際費から除外されるものであり、「1人当たりの金額が5,000円超の飲食費」が50%損金算入の対象となる接待飲食費になります。1人当たり5,000円超の飲食費について、その5,000円以下の部分が交際費から除外されるわけではないので、留意が必要です。

5. 研究開発税制

研究開発税制の上乗せ措置(増加型・高水準型)の適用期限は、3月決算期法人の場合には平成26年3月期までとされていましたが、平成26年度税制改正によりこれが3年間延長され、平成29年3月31日までに開始する事業年度までとされました。そのため、今3月期においても上乗せ措置の適用が可能です。
また、今3月期から試験研究費増加額の5%を税額控除できる増加型について、一定の要件を満たした場合に、増加試験研究費の額に最大で30%を乗じて計算した金額の税額控除ができることとなります。


  • ※1租税特別措置法第42の4第6項に規定する中小企業者等
  • ※2生産設備を構成する機械及び装置・工具、器具及び備品・建物・建物付属設備・構築物並びに一定のソフトウェアで、産業競争力強化法第2条第13項に規定する生産性向上設備等に該当するもののうち、一定の取得価額要件を満たすものをいう。
  • ※3平成26年4月1日以後に終了する事業年度に限り、合併以外の事由による解散の日を含む事業年度及び清算中の各事業年度を除く。

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