出版物 / 刊行物 / 調査資料
情報センサー2015年3月号 Tax update

平成27年度税制改正大綱

EY税理士法人 税理士 山極 誠
2007年9月、EY税理士法人に入所。グローバル コンプライアンス アンド レポーティング部に所属。日系企業や外資系企業に対する法人税等の申告書作成業務および税務アドバイス業務に従事。

Ⅰ はじめに

昨年12月30日に、平成27年度与党税制改正大綱が公表されました。衆議院選挙が平成26年12月に実施されたため、例年に比べてその取りまとめ・公表が遅れたものの、大綱で明らかにされた主要な改正項目は秋口あたりから議論されていた内容におおむね沿ったものです。以下、法人に関連する主要な改正項目を中心に説明します。
なお、一部項目については、国会での法案審議の過程において、修正・削除・追加などが行われる可能性があることにご留意ください。

Ⅱ 法人課税

1. 法人実効税率の引下げ

法人税の税率が平成27年4月1日以後開始事業年度から23.9%(現行:25.5%)に引き下げられます。これにより、国・地方を通じた現行の標準的な法人実効税率34.62%は32.11%に引き下げられます。この引下げは、法人事業税所得割の税率引下げ(7.2%から6.0%へ)も加味しています。引下げを織り込んだ改正税法が平成27年3月31日までに公布された場合には、3月決算法人は、決算時の繰延税金資産・負債の計算に留意する必要があります。
なお、平成28年度改正においては31.33%へのさらなる引下げが行われ、数年で20%台まで引き下げることが目指されます。

2. 欠損金繰越控除制度の改正

大法人の繰越欠損金の当期所得に対する控除上限(現行:当期所得の80%まで)が、平成27・28年度は65%に、平成29年度以降は50%に引き下げられます。繰越期間(現行:9年間)は、平成29年度以降に生じる欠損金について10年になります。なお、中小法人等には原則として上記の改正は適用されません。再建中の法人や新設法人(大法人等の100%子法人を除く)については、7年間は所得の全額を控除可能とする特例が導入されます。

3. 受取配当金益金不算入制度の改正

株式の保有比率区分ごとの益金不算入額が<表1>のように改正されます。保有比率が5%以下の株式については、益金不算入割合が50%(現行)から20%に大幅に引き下げられます。


表1

なお、保険会社については、特例として、「保有比率5%以下」の株式の配当金額について40%が益金不算入とされます。
また、株式投資信託の分配金は、全額益金算入となります(特定株式投資信託の分配金は80%益金算入)。

4. 所得拡大促進税制の改正

適用要件のうち、雇用者給与等支給増加割合要件が<表2>のように緩和されます。


表2

5. 外形標準課税の改正(法人事業税)

(1) 税率

法人事業税の税率が改正されることになり、所得割と外形標準課税(付加価値割・資本割)の割合(現行は3:1)が段階的に見直されます(平成27年度は5:3、平成28年度は1:1)。

(2) 付加価値割

所得拡大促進税制における給与等支給増加額を付加価値割の課税標準から控除する制度が創設されます。また、一定規模以下の法人において、外形標準課税の拡大により負担増となる場合、2年間に限り、負担変動の軽減措置が講じられます。

(3) 資本割

資本割の課税標準が、「資本金等の額」と「資本金と資本準備金の合計額」のいずれか大きい額に改正されます。

6. 研究開発税制の見直し

いわゆる「総額型」の法人税額に対する税額控除限度額(30%:平成26年度末まで)が25%に引き下げられます。一方、特別試験研究費(一定の共同・委託研究費等)にかかる税額控除率は引き上げられ、法人税額に対する税額控除限度額が別枠(5%)で手当てされます。また、税額控除限度超過額の繰越が認められなくなります。

Ⅲ 国際課税

タックスヘイブン対策税制における低税率国の判定基準である実効税率(いわゆるトリガー税率)が「20%以下」から「20%未満」に変更されます。この改正は、特定外国子会社等の平成27年4月1日以後に開始する事業年度から適用されます。
外国子会社配当益金不算入制度において、子会社所在地国の法令上損金算入の対象となる配当は益金不算入の対象から除外されます。

Ⅳ 消費課税

1. 消費税率の再引上げ

現行の8%から10%への再引上げは平成29年4月1日まで延期されました。再引上げ時には、消費税の軽減税率については、関係事業者を含む国民の理解を得た上で、税率10%時に導入することを目指すこととされています。

2. クロスボーダー役務提供等の消費税課税見直し

海外事業者から日本居住者・日本法人への電気通信役務の提供(電子書籍や音楽・広告の配信等)について、平成27年10月1日から消費税が課せられるようになります。いわゆるB to C取引(消費者向け取引)については、国外事業者申告納税方式により課税が行われ、B to B取引(事業者向け取引)については、原則としてリバースチャージ方式により、サービスの提供を受ける国内事業者が申告納税することになります。


情報センサー 2015年3月号