新日本有限責任監査法人
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材料費の原価計算

2009.06.30

材料費の原価は、材料の消費価格と消費数量を乗じて計算します。今回は材料費の原価計算について説明していきましょう。

(1)材料費の分類

材料費は物品の消費によって発生します。ここで物品別に材料費を認識すると、材料費は材料(素材)費および原料費、買入部品費、燃料費、工場消耗品費、消耗工具器具備品費に分類されます。材料費および原料費はさらに主要材料費・原料費と補助材料費に分類されます。これらのうち、主要材料費・原料費と買入部品費は通常、直接材料費となり、それ以外のものは間接材料費とされます。

(2)原価計算の総論

材料費は、次の①か②のいずれかによって計算されます。ただし、原則は①であって、②は簡便法であると考えてください。

①材料費=消費価格×消費数量
②材料費=当月仕入高

材料および原料、買入部品などの金額的に重要な物品については、常に購入や出庫が記録されています。こうした購入・出庫記録により、消費価格と消費数量が認識されていることで、①のような計算ができることになります。しかし、工場消耗品などのように、単価が小さく、他方で多種類にわたるようなものにまで、購入や出庫の記録をすべて実施するとなると、それに対して必要な手間がものすごくかかることになります。そこで、受け払いの記録を省略する工場消耗品などについては、②式を使用して材料費の計算をしてしまうことになります。ただし、金額が小さいほか、毎月の月末在庫量が極めて小さく一定であることが暗黙の前提となっていることに注意が必要です。

(3)材料消費量の計算

さて、ここで説明したように、材料・原料および買入部品については、購入や出庫の記録が要求されています。これらの記録によって消費量が確定できます。購入や出庫の記録の方法については、継続記録法と棚卸計算法があります。継続記録法は購入・出庫ともに記録して常時帳簿棚卸高を記録しておく方法です。この方法によれば、払い出しの都度、どの製品にどれくらいの数量が払い出されたか、その結果、どのくらいの数量の材料が残っているかが常に確認できるようになります。他方、棚卸計算法は、購入については記録しますが、出庫については記録を省略します。月末に実地棚卸をすることで棚卸数量を確定すれば、次の式で当月の材料消費数量を確定します。

材料消費数量=月初材料棚卸数量+当月仕入数量‐月末材料棚卸数量

なお、継続記録法では、帳簿棚卸数量と実地棚卸数量を比較することで、棚卸減耗を算定することができます。棚卸計算法では、棚卸減耗は、当月の材料消費数量に含まれてしまい、不正確な計算しかできません。このため、主要材料・原料や買入部品といった重要な材料の消費量計算については継続記録法を使用すべきであると考えられているのです。

(4)材料消費価格の計算

材料消費数量が確定すれば、それに材料消費価格を乗ずれば材料費の計算ができます。そこで、材料消費価格の計算方法について考えていきましょう。材料消費価格を計算する前提として、材料購入価格を算定しなければなりません。

材料購入価格=材料購入原価÷材料購入数量

材料購入原価には購入したときの材料本体の価格(送り状価格)だけではなく、材料副費と呼ばれる材料を引き取り、管理し、出庫するために必要な費用を加算しなくてはなりません。材料副費には、引取運賃、関税、買入手数料など、企業外部に対する支払いを伴う外部副費と、企業内部で発生する購入事務、検収、入庫費などの内部副費があります。『原価計算基準』では、外部副費は材料購入原価に加算しなければならず、内部副費は加算せずに製造間接費とすることもできます(ただし、企業会計上は外部副費の重要性が低ければ、これも購入原価に加算しないことが認められています)。

これで、材料購入価格の計算が終わりました。次に考えなければならないのは、複数の購入価格が存在する場合、消費価格としてどの価格を使用するかという問題です。これについては、一般的には個別法、先入先出法、総平均法、移動平均法などが提唱されています。個別法は、消費された物品が、いつ、どこから、いくらで仕入れられたものかを個別に認識する方法です。現在の技術では、バーコードや非接触型ICタグなどを利用すれば、こうした情報は容易に材料に張り付けておけます。しかし、それでも個別法が払出価格計算の主流にはなりません。これを認めると、原価が偶然性に支配されてしまうからです。つまり、たまたま倉庫係の選んだ材料が安かった(あるいは高かった)という事実が原価計算に反映されてしまいます。さらには、たまたまではなく、安い(あるいは高い)材料を意図的に選ぶこともあり得ます。こうしたことを避けるために、先に入った材料が先に払い出されるという、材料の多くの場合に適用されるモノの流れを原価計算に反映させるというルールに従って(このため消費価格に関する偶然性や意図を排除することができます)消費価格を計算する先入先出法や、月間の消費価格についてすべての払い出しに単一の金額を使用する総平均法を使用することが求められるわけです。また、原料が液体や気体であるような場合には、購入の都度平均価格を計算しなおす移動平均法も合理的となります(なぜなら、新たに購入した段階で新旧の材料が混じり合って混然一体となるからです)。

なお、後入先出法と呼ばれる方法も長年にわたり使用されてきました。これは、後から仕入れたものが先に払い出されるという仮定に基づいて消費価格が算定される方法です。多くの場合、後入先出法は材料・原料の価格変動が激しく、市況感に左右される業界において採用されていた方法です。つまり、仕入れのタイミングによって価格が大きく変動するなら、販売に一番近いタイミングの価格で材料費を計算したいというものです。しかし、後入先出法は、改正企業会計基準第9号『棚卸資産の評価に関する会計基準』(2008年9月26日 企業会計基準委員会発表)により、2010年4月1日以後開始する事業年度から使用できなくなることが決まっています。