国際会計基準の導入の議論が進められています。それに関連して、連結財務諸表と単体の個別財務諸表との関係をどのように考えるかについても議論が進められています。

連結が単体に先行する「連結先行論」と連結と単体の分離を恒久化する「連単分離論」があり、決着がついていない状況かと思います。

そのような状況において、連単分離が実質的に進行しているような局面もあります。企業結合や事業分離の領域です。

一つには、逆取得をめぐる会計処理です。逆取得とは、吸収合併や株式交換の際に、実質的な取得企業が法形式上は消滅会社や完全子会社となる取引です。個別財務諸表では被取得企業が取得企業の資産および負債を簿価で引き継ぎますが、連結財務諸表では取得企業による被取得企業の取得として処理します。従って、被取得企業の資産および負債は、個別上は簿価のままですが、連結上は時価に修正されます。

もう一つは、段階取得をめぐる会計処理です。新しい企業結合会計基準では、段階取得による場合の取得の対価は企業結合日における時価によって測定されます。従前に取得していた被支配企業の株式等は、企業結合日の時価に洗い替えられ、従前の簿価との差額は段階取得差損益として損益計算書に計上されます。しかし、この扱いは、連結財務諸表上のもので、個別財務諸表においては取得原価のまま据え置かれます。いろいろな議論があったようですが、結果として段階取得差損益の認識が個別と連結で異なることになりました。

連結財務諸表の作成手続においては、個別財務諸表上の金額を修正することになり、相殺消去仕訳の前に仕訳が一組追加されることになります。これも、連単分離の一つの形と考えられます。

そもそも論を言えば、子会社が支配された段階で子会社の資産および負債を連結上時価評価するわけですが、この時点で子会社の個別財務諸表も修正してしまう方法も考えられます。この修正を施していなかった段階で、連単分離の状態にあります。

日本の会計も様変わりしましたが、自らの資産および負債の時価評価を許容しない(と解釈されている)会社法の影響や、評価益を計上すればすぐに課税所得に結びつけて議論が行われる風土など、個別財務諸表をめぐる制度的基盤は、なかなか変わらないでいるようです。