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仮想通貨

仮想通貨に関する制度の概要 
資金決済法改正と税法・私法上の取扱い

2016.12.06
坂本 有毅 (さかもと ゆうき)
坂本 有毅 (さかもと ゆうき)
EY弁護士法人
エグゼクティブディレクター
弁護士・宅地建物取引士・公益社団法人日本証券アナリスト協会検定会員 
東京大学法学部卒業後、2006年10月長島・大野・常松法律事務所入所。
流動化、証券発行、買収ファイナンス等の資金調達取引、金融商品取引法、銀行法その他の金融規制に係る助言等の案件に従事。
2012年7月から2014年6月まで金融庁総務企画局政策課へ出向し、国際課税原則の見直しをはじめとする金融関係の税制改正に関与した後、2014年7月よりEY弁護士法人に入所。

Summary

  • 近年、仮想通貨について利用者保護や資金洗浄・テロ資金供与対策といった観点から、規制の強化が課題となっています。
  • そのような背景を踏まえ、「情報通信技術の進展等の環境変化に対応するための銀行法等の一部を改正する法律」(以下「平成28年銀行法等改正法」)により資金決済法が改正され、仮想通貨に関する規制も新たに導入されました。改正後の資金決済法では、仮想通貨交換業者(取引所)には、登録や分別管理、情報の安全管理措置、資金洗浄・テロ資金供与対策等の義務が課せられます。
  • 仮想通貨の私法上の位置付けや税制上の取扱いは、資金決済法の改正によってもあまり明確になっていません。

仮想通貨の私法上の位置付けおよび仕組みの概要

仮想通貨は強制通用力がないため「通貨」ではなく、電子マネー等とも異なり、現金とは無関係で、それ自体に一定の財産的価値が認められます。財産的価値の源泉は、資産価値保全、決済や送金の安価かつ迅速な実行、「発掘」による収益獲得の機会等ですが、受け取る相手方がその財産的価値を理解し、信用できるかどうかが通用の可否に影響します。
仮想通貨には特定の発行者は存在せず、取引の記録は利用者全員が保持する分散型の仕組みとなります。利用者は、仮想通貨の仕様が実装されたウォレットというソフトウェアを入手する必要がありますが、ウォレットを自ら作成し、仮想通貨を自主管理すれば取引に対する規制は及ばず、本人確認を受けることなく匿名性を維持したまま利用することも可能となります。

仮想通貨に係る資金決済法改正および税制(主に消費税法)

平成28年銀行法等改正法により、仮想通貨の価値を記録した情報が消失し仮想通貨も消滅した場合に備え、情報の安全管理措置や、業務を委託した場合の委託先に対する指導が仮想通貨交換業者に義務付けられました。また、同法で仮想通貨交換業者も犯罪収益移転防止法の適用対象に追加され、一定の限界はありますが資金洗浄・テロ資金供与の抑止が図られています。なお、同法では仮想通貨の私法上の性質や効力、税法上の取扱いについては新たに規定されていません。
仮想通貨の売買は本質的には非課税とすることが望ましいですが、現在の消費税法上は課税取引に該当し、非課税とするには税制改正が必要となります。この点、仮想通貨に対する規制の導入を踏まえ、平成29年度税制改正において、金融庁が仮想通貨に関する税制上の取扱いの整理を求める要望を行っています。

How we see it

  • 仮想通貨の制度動向は、短期的には金融機関に大きな影響を与えるものではありません。
  • もっとも、決済手段としての存在感が増し、金融機関の業務にも関係してくる可能性は否定できず、仮想通貨の公法的な規制、私法上の位置付けおよび税法上の取扱いを考察しておくことは重要といえます。
  • その際には、例えば、平成28年銀行法等改正でも、仮想通貨の規制のみを対象としているように、新しく制定された法令の対象事項を正確に把握することが求められます。

【お問い合わせ先】

EY弁護士法人
エグゼクティブディレクター 坂本 有毅
Tel: 03 3509 1687
E-mail: yuki.sakamoto@jp.ey.com, RAAT@shinnihon.or.jp

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