金融機関が税務ガバナンスを構築する上での課題
金融機関の税務ガバナンスは、企業価値の向上と経営戦略やビジネス活動の継続的で円滑な遂行を目的とするものです。実務上の課題となるのは、主に以下の点です。
- 自社税務コンプライアンスと顧客税務コンプライアンスに関する全社統一的なリスク管理体制の構築・運用
- 対外的な税務情報の開示
- 外部委託リスクの管理体制の構築・運用
- 会社法や金融商品取引法など既存の関連法令(内部統制システム、コーポレートガバナンスの強化など)や自己資本比率規制等金融規制の下で整備・運用される体制との連携
各国の税制や国際課税ルールは、今後も各国の連携の下で改正されていくことが想定されます。税務リスクの高まりと税務の透明性が要請される時代にあって、金融機関は許容可能な税務リスクや税務コスト水準の下でビジネスを継続していくため、自社税務と顧客税務の両面で適切な税務ガバナンスの構築を検討していく必要があるでしょう。
サマリー
BEPS行動計画に基づく課税ルールの変更、一部のグローバル企業に見られる新聞報道やパナマ文書を発端とした租税回避行為に対する社会の関心の高まりなど、金融機関を取り巻く税務環境が大きく変化しています。
金融機関は自社税務コンプライアンスとともに、経営戦略やビジネスの遂行、金融機関のレピュテーションに対する影響の観点で、顧客税務コンプライアンスについても税務リスクを有しています。