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金融庁

「銀行法等の一部を改正する法律案」の国会提出について

2017.03.16

平成29年3月3日、金融庁は今国会(第193回国会)に「銀行法等の一部を改正する法律案」を提出しました。本法案は電子決済等代行業に関する法制度の整備とその他の改正事項からなっており、一部規定を除き公布日から1年以内の政令指定日からの施行を予定しています。

電子決済等代行業に関する法制度については、金融審議会金融制度ワーキング・グループの報告※1を受け整備されたものです。同報告では、「FinTechの動きが世界的規模で進展する中、金融機関とFinTech企業とのオープン・イノベーション(連携・協働による革新)を進めていくことが金融サービス、利用者利便の向上等の観点から重要な課題となっている。近年、決済関連分野において、電子決済等代行業者※2(FinTech企業)が登場・拡大しており、これら業者は、顧客との接点を確保しつつ金融機関とも接続することで、多様なサービス展開等の可能性を有している。また、金融機関とこれら業者との接続の方法としては、API※3を利用した方法が、利用者のセキュリティを確保しつつ、業者が銀行システムにアクセスして様々なFinTechに関連したサービスを提供することを可能とする技術となっている。」としています。

こうした提言などを踏まえ、今回の改正においては、電子決済等代行業者に登録制を導入し、情報の適切な管理を求めるとともに、金融機関に対し、電子決済等代行業者が金融機関のシステムに接続できるようなプログラムを提供する(オープンAPI)に当たり、その接続の基準を策定・公表することなどを義務付けています。

電子決済等代行業に関する主な整備事項は以下のとおりです。

  • 1.電子決済等代行業者に対する登録制の導入
  • 2.電子決済等代行業者の利用者保護・体制整備・安全管理に係る措置
    (1) 利用者に対する事前説明(電子決済等代行業者の商号・名称・住所、権限、損害賠償に関する事項等)
    (2) 利用者に関する情報の適正な取扱い及び安全管理
    (3) 財産的基礎の確保
  • 3.電子決済等代行業者の銀行との契約締結
    (1) サービス提供にあたり以下の事項を含む契約の締結
    (2) 利用者の損害に係る賠償責任の分担
    (3) 利用者に関する情報の適正な取扱い及び安全管理措置
  • 4.銀行による基準の作成等
    (1) 電子決済等代行業者との契約締結に係る基準の作成・公表
    (2) 電子決済等代行業者に対する不当な差別的な取扱いの禁止
  • 5.電子決済等代行業者に関する監督
    帳簿書類及び報告書の作成、報告又は資料の提出命令、立入検査、業務改善命令、登録の取消し、登録の抹消等
  • 6.電子決済等代行業者に関する罰則
    無登録で電子決済等代行業を営んだ者は、3年以下の懲役若しくは3百万以下の罰金(又は併科)等

以上が、主な整備事項です。

今回の改正により、金融機関とFinTech企業とのオープン・イノベーションに向けた制度整備が図られ、ITを活用した多様なサービスの展開や利用者利便の向上等への期待が高まっています。金融機関においては、利用者への付加価値を向上させる観点に立ち、ITの進展をいかに戦略的に取り込んでいくかが重要になってきております。

なお、本法案には、このほか「外国銀行支店の事業年度に関する特則」や「銀行代理事業者が行う変更届出義務の緩和」などの改正事項も盛り込まれており、十分な留意が必要と思われます。

※1 平成28年12月27日「オープン・イノベーションに向けた制度整備について」
※2 金融機関と顧客との間に立ち、顧客からの委託を受けて、ITを活用した決済指図の伝達や金融機関における口座情報の取得・顧客への提供を業として行う者
※3 銀行以外の者が銀行のシステムに接続し、その機能を利用することができるようにするためのプログラム。このうち、銀行がFinTech企業等にAPIを提供し、顧客の同意に基づいて、銀行システムへのアクセスを許諾することを「オープンAPI」という。

【筆者プロフィール】

小林 謙太郎 (こばやし けんたろう)
新日本有限責任監査法人
金融アドバイザリー部 エグゼクティブディレクター 
2015年7月検査局検査監理官を最後に金融庁を退職。在職中は、幅広く金融検査・監督行政に携わり、入所後は、セミナー活動やトップマネジメント・インタビューなどに従事。

※所属・役職等は掲載当時

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