国際財務報告基準
(IFRS、国際会計基準)
IFRS Developments

IFRIC第23号「法人所得税務処理に関する不確実性」

2017.10.12
重要ポイント
  • IFRS解釈指針委員会(IFRS IC)は、税法の適用に不確実性が存在する場合、企業による報告方法にばらつきが見られることに着目した。
  • IFRS ICは、法人所得税を会計処理するにあたり、不確実性をどのように反映すべきかを規定する、IFRIC第23号を開発した。
  • 本解釈指針は、税務処理上の不確実性を別個に検討すべきか、もしくは一体で検討すべきか、税務当局による調査、不確実性を反映する適切な方法、及び事実と状況に変化が生じた場合の会計処理に関するガイダンスを定めている。
  • 本解釈指針は2019年1月1日以降開始する年次報告期間から適用されることになるが、一定の移行時の免除規定も設けられている。

概要

国際会計基準審議会(IASB)は2017年6月7日、IFRIC第23号「法人所得税務処理に関する不確実性」(以下、本解釈指針)を公表した。本解釈指針により、法人所得税の税務処理における不確実性に対して、IAS第12号「法人所得税」の認識及び測定規定をどのように適用すべきかが明確化されている。具体的には、本解釈指針は以下の点を取り扱っている。

  • 税務処理における不確実性を別個に検討することになるのか
  • 税務当局による税務調査に関する仮定
  • 課税所得(税務上の欠損金)、税務基準額、未使用の繰越欠損金、未使用の繰越税額控除及び税率の決定方法
  • 事実及び状況の変化をどのように考慮すべきか

適用範囲

本解釈指針は、法人所得税の会計処理を検討するにあたり、IAS第12号の適用に影響を及ぼす税務処理上の不確実性の取り扱いについて規定している。本解釈指針は、IAS第12号の適用範囲外となる税金又は賦課金に適用されることはなく、不確実な税務処理に関連して生じる利子又はペナルティに関する規定も特に定められていない。

税務処理における不確実性を別個に検討することになるのか?

企業は、税務処理上の不確実性について、別個に検討すべきか、それとも他の税務処理上の不確実性と合わせて一体で検討すべきなのかを判断する必要があるが、不確実性がどのように将来解消されていくのかをより適切に描写するアプローチを採用する必要がある。

税務当局による税務調査に関する仮定

税務処理上の不確実性が、課税所得(税務上の欠損金)、税務基準額、未使用の繰越欠損金、未使用の繰越税額控除及び税率の決定に影響を与えるか、及び(影響を与える場合、)どのような影響が生じるかを評価する。その際、税務当局は調査する権利を有している金額は調査する、そして調査時にはすべての関連する情報についての十分な知識を有している、と仮定する必要がある。

課税所得(税務上の欠損金)、税務基準額、未使用の繰越欠損金、未使用の繰越税額控除及び税率の決定

課税所得(税務上の欠損金)、税務基準額、未使用の繰越欠損金、未使用の繰越税額控除及び税率を決定する際に、税務処理上の不確実性を税務当局が容認する可能性を検討しなければならない。この点について本解釈指針の規定は、以下の図のようにまとめられる。

課税所得(税務上の欠損金)、税務基準額、未使用の繰越欠損金、未使用の繰越税額控除及び税率の決定

事実及び状況の変化をどのように考慮すべきか

事実及び状況に変化が生じた場合、もしくは新たな情報が明らかになった場合には、それまでの判断や見積りを見直す必要がある。事実や状況の変化の影響、又は新たな情報の出現は、IAS第8号「会計方針、会計上の見積りの変更及び誤謬」に従って、会計上の見積りの変更として処理される。報告日後に発生した変化が修正を要する後発事象なのか、修正を要しない後発事象なのかを判断する際には、IAS第10号「後発事象」が適用される。

開示

本解釈指針には新たな開示規定は設けられていないが、既存の開示規定にハイライトしている。

  • 判断、置いた仮定及びその他の見積りに関する情報は、IAS第1号「財務諸表の表示」第122項及び第125項から第129項に従って開示される。
  • 税務当局が、税務処理上の不確実性を容認する可能性が高い場合、IAS第12号第88項に従って、税金関連の偶発事象に関する開示が行われる。

発効日及び経過措置

本解釈指針は2019年1月1日以降開始する年次報告期間から適用されるが、2つの移行措置が設けられており、いずれかを選択することができる。

  • IAS第8号を用いて本解釈指針を遡及適用する(事後的な判断を行わなくても遡及適用できる場合のみ)。
  • 本解釈指針を遡及適用し、適用開始時点の累積的影響額を適用開始日の資本に対する調整として認識する。このアプローチでは、比較情報を修正再表示しない。適用開始日は、企業が本解釈指針を最初に適用する報告年度の期首である。
弊社のコメント

本解釈指針の公表により、法人所得税に関する税務処理上の不確実性に関し、IAS第12号の適用方法が明確になった。本解釈指針の適用には、新たな仮定、見積り及び重要な判断が求められる。

次のステップ

本解釈指針の適用は、多国籍企業であるがゆえに、その税務環境がより複雑な企業を中心に、負荷の大きいものとなるかもしれない。

企業はまた、本解釈指針を適用し、求められる開示を行うのに必要な情報を適時に入手するためのプロセス及び手続が適切に整備されているかを確認する必要があろう。


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