新日本有限責任監査法人
国際財務報告基準
(IFRS、国際会計基準)
IFRS Developments

IFRS第10号、IFRS第11号及びIAS第28号の限定的な修正に関する公開草案の公表

2012.12.20
重要ポイント
  • IFRS第11号の修正により、IFRS第3号の事業の定義を満たす共同営業(joint operation)に対する持分の取得に関する会計処理が明確になる。
  • IAS第28号及びIFRS第10号の修正により、投資者による関連会社またはジョイント・ベンチャー(joint venture)に対する資産の売却/拠出の会計処理が明確になる。拠出される資産が、IFRS第3号の事業の定義を満たすかどうかにより会計処理が異なる。
  • これらの修正案は、発効日以後将来に向かって適用される。
  • コメント提出期限は2013年4月23日である。

概要

2012年12月、国際会計基準審議会(IASB)は、以下の2つの公開草案を公表した。

  • 共同営業に対する持分の取得(IFRS第11号「共同契約(ジョイント・アレンジメント)」の修正案)
  • 投資者と、関連会社またはジョイント・ベンチャーの間の資産の売却または拠出(IFRS第10号「連結財務諸表」及びIAS第28号「関連会社及びジョイント・ベンチャーに対する持分」(IAS第28号(2011年修正))の修正案)

いずれの公開草案も、コメント提出期限は2013年4月23日である。

以下で、それぞれの公開草案の内容について解説している。


共同営業に対する持分の取得(IFRS第11号の修正案)

IFRS第11号及びIAS第31号「ジョイント・ベンチャーに対する持分」(IAS第31号は、2013年1月1日にIFRS第11号に置き換えられる)のいずれも、共同営業の活動がIFRS第3号の事業の定義を満たす場合に、当該共同営業に対する共同営業者による持分の取得をどのように会計処理すべきかについてガイダンスを提供していない1

この問題に関して、IAS第31号を適用するにあたり、実務上大きなばらつきが生じていたため、2011年にIFRS解釈指針委員会(IFRSIC)により審議が開始された。IASBは、実務上の大きなばらつきはIFRS第11号においても同様に継続することを懸念した。そこで、IASBは、IFRS第11号を修正し、共同営業者が共同営業に対する持分を取得する際は、共同営業者はIFRS第3号(及び他の関連するIFRS)の企業結合に関する原則を適用すること、また、企業結合に関して要求される情報を開示することを提案している。

企業結合会計の原則には以下が含まれる。

  • 識別可能資産及び負債を公正価値で測定する
  • 取得関連費を、当該コストが発生してサービスが提供された期間の費用として認識する
  • 資産または負債の当初認識により生じた繰延税金資産及び繰延税金負債を認識する
  • 移転された対価が取得日時点の公正価値を上回る場合にはのれんを認識する

修正案は、以下に対する持分の取得に適用される。

  • 既存の共同営業
  • 既存の事業が共同営業に拠出される場合の共同営業の組成

経過措置

この修正は、発効日から将来に向かって適用される。したがって、過去の期間において共同営業に対する持分を取得した際に認識した金額は修正されない。

IASBは、実務上の大きなばらつきはIFRS第11号においても同様に継続することを懸念した。そこで、IASBは、IFRS第11号を修正し、共同営業者が共同営業に対する持分を取得する際は、共同営業者はIFRS第3号(及び他の関連するIFRS)の企業結合に関する原則を適用すること、また、企業結合に関して要求される情報を開示することを提案している。

投資者と、関連会社またはジョイント・ベンチャーの間の資産の売却または拠出(IFRS第10号及びIAS第28号(2011年修正)の修正案)

共同支配企業(JCE)または関連会社に対する資本持分と交換に子会社が拠出され、その結果子会社に対する支配が喪失した場合の会計処理に関して、IAS第27号「連結及び個別財務諸表」とSIC第13号「共同支配企業―共同支配投資企業による非貨幣性資産の拠出」の間に矛盾が存在する。

IAS第27号34項は、子会社に対する支配の喪失時に生じる利得または損失のすべてを認識することを要求している。一方、SIC第13号は、JCEに対する非貨幣性資産の拠出により生じる利得または損失は、JCEに対する関連のない投資者の持分の範囲でのみ認識することを求めている。

IAS第27号とSIC第13号の間に矛盾が存在したことで、実務においてばらつきが生じていたため、2011年5月にIFRSICにより審議が開始されることとなった。それ以来、IFRSICは、解決策を探すべく、IASBと協力してきた。公開草案によれば、拠出されるのがIFRS第3号に定義されるところの事業1である場合には、拠出対象が子会社であろうとそうでなかろうと、全てIAS第27号の原則にしたがって会計処理される(すなわち、利得または損失をすべて認識する)。それ以外の拠出(すなわち事業以外の資産の拠出)の場合には、SIC第13号の原則にしたがって会計処理される(すなわち、利得または損失を、関連のない投資者の持分の範囲でのみ認識)。

2013年1月1日より、現在IAS第27号に含まれている連結に係る原則は、IFRS第10号に置き換えられる。また、IAS第28号「関連会社に対する投資」(2003年公表)及びSIC第13号は、IAS第28号(2011年修正)に置き換えられる。しかし、IASBは、これら新基準においてもIAS第27号及びSIC第13号の間に存在していた矛盾が継続することに留意した。というのも、子会社に対する支配の喪失時の会計処理は、新基準においても従来の基準と全く同じだからである。そこで、IASBはIAS第28号(2011)及びIFRS第10号を以下のとおり修正することにした。

IAS第28号(2011年修正)の修正

  • 投資者による、関連会社またはジョイント・ベンチャーに対する事業を構成しない資産の売却または拠出により生じる利得または損失は、関連のない投資者の持分の範囲でのみ認識される
  • 投資者による、関連会社またはジョイント・ベンチャーに対する事業を構成する資産の売却または拠出により生じる利得または損失はすべて認識される

IFRS第10号の修正

  • 投資者による、関連会社またはジョイント・ベンチャーに対する事業を構成しない子会社の売却または拠出により生じる利得または損失は、関連のない投資者の持分の範囲でのみ認識される

これらのIFRS第10号及びIAS第28号に対する修正により、事業を構成する子会社に対する支配を喪失した場合、企業が投資先に対して共同支配または重要な影響力を維持していたとしても利得または損失の全てが認識されることがより明確になる。

経過措置

この修正案は、発効日以降に開始される事業年度に発生する売却または拠出について、将来に向かって適用される。

弊社のコメント

上記2つの公開草案に関し、弊社は、関連する基準の原則を明確にすることによって、実務におけるばらつきを減らそうとするIASBの努力を支持している。

しかし、弊社は、実務においてIFRS第3号の事業の定義を適用するのに困難が生じていると考えている。実際、IFRSICはIASBに対して事業の定義についてIFRS第3号の適用後レビューで取り扱うことを提案している。それまでの間、事業の定義に依拠した公開草案の会計処理に従うと、実務における適用上のばらつきがさらに生じることにもなりかねない。

また、弊社は、IFRS第11号の修正に関連して、当初取得後の持分の増加及び事業ではない共同営業に対する持分の取得についてもガイダンスを提供すべきであると考えている。

弊社は、これらの公開草案に対する我々の見解を示したコメント・レターを今後作成する予定である。


IFRS第10号及びIAS第28号に対する修正により、事業を構成する子会社に対する支配を喪失した場合、企業が投資先に対して共同支配または重要な影響力を維持していたとしても利得または損失の全てが認識されることがより明確になる。

  1. 事業は、IFRS第3号で「投資家又はその他の所有者、構成員又は参加者に対し、配当、コストの低減又はその他の経済的便益という形でのリターンを直接的に提供する目的で実施され管理される、活動及び資産の統合された組合せ」と定義されている。

情報量は適当ですか?

文章はわかりやすいですか?

参考になりましたか?