新日本有限責任監査法人
国際財務報告基準
(IFRS、国際会計基準)
IFRS Developments

廃石物除去(剥土)費用の会計処理 - IFRIC解釈指針第20号の概要

2012.01.27
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重要ポイント
  • 本解釈指針は、露天掘り鉱山の生産段階で生じる剥土費用に対してのみ適用される。
  • 当該剥土費用は一定の要件を満たした場合に資産の一部として計上され、当該資産は「剥土活動資産」と呼ばれる。
  • 剥土活動資産は、他の方法がより適切である場合を除き、生産高比例法で減価償却又は償却される。
  • 本解釈指針は、2013年1月1日以降開始事業年度から適用される(早期適用も可)。
  • 本解釈指針は、表示される最も古い比較年度の期首以降に生じる生産段階の剥土費用に対して適用される。

概要

IFRS解釈指針委員会(以下、解釈指針委員会)は、IFRIC解釈指針第20号「露天掘り鉱山の生産段階で生じる剥土費用(以下、本解釈指針)」を公表した。本解釈指針は、2013年1月1日以降開始事業年度から適用される。企業は、表示される最も古い比較年度の期首以降に生じる生産段階の剥土費用に対して、本解釈指針の要求事項を適用する必要がある。このため、多くの企業は、少なくとも2012年1月1日以降、本解釈指針の適用開始に伴う影響を把握する必要がある。

以下では、本解釈指針の主要な要求事項の概要を説明するとともに、鉱業会社が当該要求事項を実務で適用する際に直面するであろう、いくつかの課題について検討している。

主要な要求事項

  • 本解釈指針は、露天掘り鉱山の生産段階で生じる剥土費用(生産段階の剥土費用)に対してのみ適用される。
  • 当該剥土活動の実施に伴い生じる費用は、二つの潜在的な便益を生じさせるものと位置付けられている。すなわち、①当期における棚卸資産の生産、及び/又は②将来の期に採掘される鉱石への改善されたアクセスが当該便益に該当する。
  • 生産段階の剥土費用は、以下のすべての要件を満たすことを企業が立証できる場合に限り、資産の一部として計上される。当該資産は、「剥土活動資産」と呼ばれる。
    • 将来の経済的便益が企業に流入する可能性が高い
    • 原価が信頼性をもって測定できる
    • アクセスが改善された鉱床の特定箇所を識別できる
  • 原価を当期に生産された棚卸資産と剥土活動資産とに個別に配分できない場合には、本解釈指針に基づき、企業は関連する生産指標を基礎とする配分方法を使用する必要がある。

本解釈指針の適用範囲

本解釈指針は、露天掘り鉱山の生産段階で生じる廃石物除去(剥土)費用(生産段階の剥土費用)に対してのみ適用される。開発段階の剥土費用は適用範囲外であり、IAS第16号「有形固定資産」に基づき、引き続き資産計上される。

生産段階の剥土費用の会計処理

認識要件

本解釈指針に基づき、以下のすべての要件を満たす場合には、企業は生産段階の剥土費用を資産の一部として計上する必要がある。

  • 剥土活動に関連する将来の経済的便益(鉱床への改善されたアクセス)が企業に流入する可能性が高い
  • 企業は、アクセスが改善された鉱床の特定箇所を識別することができる
  • 当該特定箇所への改善されたアクセスに要した原価を信頼性をもって見積ることができる

本解釈指針は、生産段階の剥土費用が以下の2つの経済的便益を生じさせるものと考えている。

  • 当期における鉱石(棚卸資産)の採掘
  • 将来の期に採掘される鉱床に対する改善されたアクセス

経済的便益が棚卸資産の生産という形で当期に実現する場合には、企業は関連する生産段階の剥土費用をIAS第2号「棚卸資産」の規定に基づき会計処理することが求められる。

経済的便益が将来の期に採掘される鉱石への改善されたアクセスを生じさせる場合、企業は、一定の要件を満たすことを条件に、これらの生産段階の剥土費用を非流動資産として認識しなければならない。本解釈指針はこの非流動資産を「剥土活動資産」と呼称している。

剥土活動資産の分類

本解釈指針において、剥土活動資産はそれ自体が単独の資産というよりも、既存の資産を追加又は補強する性格を有すると述べられている。したがって、剥土活動資産は、そのように会計処理される必要があり、既存の資産の一部として扱われることになる。

実務上、剥土活動資産がその一部を構成する資産を決定するにあたり、様々な既存の資産を追加又は補強するものと判断される可能性がある。たとえば、そのような資産には、鉱山権益(土地)、鉱物埋蔵量自体、鉱石を採掘する無形の権利、鉱山の開発段階で生じる資産などが含まれる。このため、本解釈指針は剥土活動資産の内容を特定せず、その代わり、関連する既存の資産の性質に基づき、剥土活動資産が有形又は無形資産に分類されることを述べているだけである。

弊社のコメント
我々は、剥土活動資産は、有形固定資産に通常分類される鉱山権益(土地の性格に近い)又は鉱物埋蔵量に関連するため、有形固定資産として分類される場合が多いと予測している。稀な場合であるが、剥土費用が埋蔵量ではなく資源量に現在分類されている鉱床の特定箇所に関連して発生する場合が考えられる。この場合、資源量に関連する費用は通常、無形資産に分類される。

鉱床の特定箇所の識別

剥土費用が資産として認識されるためには、上述した3つすべての認識要件が満たされる必要がある。要件を満たさない場合には、剥土活動資産を認識することはできず、関連する費用は発生時に費用処理される。認識要件を満たすために、企業は、アクセスが改善された鉱床の特定箇所を個別に識別できる必要がある。

本解釈指針において、特定箇所とは、剥土活動によって将来のアクセスが改善された鉱床の特定量であると規定されている。さらに、識別される鉱床の特定箇所は通常、鉱山の鉱床全体の一部であることが多いと述べられている。鉱山の特定箇所を決定する際に起こり得る論点については、下記でさらに検討する。

弊社のコメント
アクセスが改善された鉱床の特定箇所を識別する規定は新たな要求事項であり、実務で現在広く使用されている鉱山の全耐用年数にわたる平均剥土比率アプローチとも異なる。一定の状況では、特定箇所での廃石物除去が実際に鉱床全体に便益をもたらす場合も考えられるが、解釈指針委員会は、このような状況の発生を通常想定していないと我々は理解している。
したがって、企業はアクセスが改善された特定箇所を識別するために相当な判断を行使することが求められる。鉱床全体がアクセスの改善された特定箇所であると主張する場合、企業は十分な証拠に基づき当該主張を裏付ける必要がある。

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