国際財務報告基準
(IFRS、国際会計基準)
IASBの動向

公開草案「農業:果実生成型の生物資産」(IAS第16号「有形固定資産」及びIAS第41号「農業」の改訂案)の公表

2013.07.02

概要

2013年6月26日、国際会計基準審議会(IASB)は、公開草案(ED)「農業:果実生成型の生物資産」(IAS第16号「有形固定資産」及びIAS第41号「農業」の改訂案)を公表しました。提案によれば、一定の定義を満たす果実生成型の生物資産は、IAS第41号ではなくIAS第16号の適用範囲に含まれ、処分費用控除後の公正価値ではなく、原価モデル又は再評価モデルにより測定されることになります。なお、EDでは発効日については提案されていませんが、早期適用が認められる予定です。コメント期限は、2013年10月28日です。

背景

生物資産には、①それ自体が農産物として収穫、又は生物資産として販売される「消費型の生物資産」(例:材木用の樹木、食肉用家畜)と、②それ自体は収穫・販売されず、成熟後、生産寿命にわたって農産物を生みだす「果実生成型の生物資産」(例:ブドウの木等の果樹)の2種類がありますが、現行のIFRSでは、農業活動に関連する生物資産は、①、②にかかわらず、すべてIAS第41号に従い、生物学的変化を反映させた、売却費用控除後の公正価値で測定されます。
しかし、こうした取扱いについては、マレーシア会計基準審議会(MASB)をはじめとするアジア・オセアニア会計基準設定主体グループ(AOSSG)を中心に、以下のような見解及び懸念が表明されていました。

  • 果実生成型の生物資産は、むしろ機械設備といった有形固定資産に類似するものであるため、IAS第16号に従って会計処理すべきである
  • これらの生物資産に対する市場が存在しない中で公正価値測定を行うことに伴うコスト、複雑性、その評価の信頼性、ならびに公正価値測定に伴う純損益のボラティリティ等に関する懸念

IASBは、2011年のアジェンダ・コンサルテーションに寄せられた上記のような関係者からの意見を受け、2012年9月に果実生成型の生物資産に対する限定的な改訂プロジェクトをアジェンダに加えることを決定し、その後、審議の審議を踏まえ、今般、EDを公表しました。
EDの概要は以下のとおりです。

改訂案の対象となる生物資産の範囲

IAS第41号ではなくIAS第16号の適用範囲に含まれる生物資産は、以下の定義を満たす果実生成型の生物資産に限定されます。
以下を満たす植物(すなわち、動物は適用対象外)

  • 農産物の生産、供給のために使用される
  • 1期間を越えて収穫をもたらすことが見込まれる
  • 生きたまま、又は農産物として売却することが意図されていない。なお、偶発的な廃棄による売却は除く

会計処理

上記の定義を満たす果実生成型の生物資産は、IAS第16号に従い、その成熟前は、自家建設資産の取得原価と同様に原価で、その後は、原価モデル又は再評価モデルのいずれかで測定されます。

開示

EDでは、果実生成型の生物資産が原価モデルで測定される場合に、以下のような開示を要求すべきかについて関係者の意見を要請しています。

  • 果実生成型の生物資産の公正価値合計、その評価技法及び、使用した主な仮定やインプット
  • 果実生成型の生物資産の公正価値を決定する上で重要なインプット。ただし、実際に公正価値を測定し、それを開示することは要求されない
  • 果実生成型の生物資産についての年齢、物理的数量及び農産物のアウトプット数量に関する見積りといった、公正価値以外で投資家やアナリストが用いている情報

経過措置及び初度適用に関する取扱い

本改訂は遡及適用することが提案されていますが、項目ごとに、改訂が適用される財務諸表の最も早い比較期間の期首時点における公正価値を、みなし原価とする経過措置が設けられています。また、同様の措置は、初度適用企業にも認められます。

IASBプレスリリース

公開草案「農業:果実生成型の生物資産」


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