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第10部 企業結合及びのれん(2)

今回は、非支配持分の測定及び企業結合の初度適用に関する論点について説明します。

非支配持分の測定

IFRS第3号では、非支配持分の測定について、以下の2つの方法が認められています。この選択は、個々の企業結合取引ごとに行うことができます。各々の選択肢は、のれんの認識に関して、以下の2つのアプローチにつながることになります。

  • 非支配持分も含めた被取得企業全体を公正価値により測定し、のれんは非支配持分に帰属する部分も含めて認識する(全部のれんアプローチ)
  • 非支配持分は、被取得企業の識別可能資産の純額に対する非支配持分割合相当額により測定する(購入のれんアプローチ)

全部のれんアプローチを採用した場合、のれんと非支配持分の金額が貸借対照表上、両建てで同額だけ膨らみ、さらにこの金額は非支配持分割合が増加するほど増加します。そのため、全部のれんアプローチでは、購入のれんアプローチに比べて、企業結合後に減損が生じた場合の減損損失の金額が大きくなる可能性があります。

日本の基準では、以下の方法により、少数株主持分の金額を算定します。

  • 子会社の資産及び負債のすべてを、支配獲得日の公正な評価額(時価)により評価し、少数株主持分に相当する部分については、支配獲得日における子会社の識別可能純資産の公正価値のうち、少数株主持分割合の金額で算定する方法(全面時価評価法)

よって、「全部のれん」を計上することは認められていないため、のれんは取得原価が取得した資産及び引き受けた負債に配分された純額に対する持分相当額を超過する額として算定され、少数株主持分はのれんの測定に含めないことになります(購入のれんアプローチ)。

初度適用における適用免除規定

すべての初度適用企業は、IFRS移行日以降はIFRS第3号に従って、企業結合の会計処理を行う必要があります。そのため、表示される比較対象期間におけるすべての企業結合について、同基準書に従って修正再表示することが必要となります。

しかし、IFRS移行日より前の企業結合に関しては、IFRS第3号の適用は任意となっています。ただし、初度適用企業がIFRS移行日より前のいずれかの日以降に行われた企業結合をIFRS第3号に準拠して修正再表示することも認められ、その場合にはそれ以降のすべての企業結合についてIFRS第3号に準拠して修正再表示を行い、また、同日よりIAS第27号も適用する必要があります。

したがって、初度適用企業は、以前に行われた企業結合について、以下のいずれかを選択することができます。

  • IFRS移行日より前のすべての企業結合に関し、IFRS第3号を遡及適用する。
  • IFRS移行日以前の一定の日を定め、その日以降に行われた企業結合に関して、IFRS第3号を遡及適用する。(この場合、IAS第27号「連結および個別財務諸表」(2008年改訂)も同日より適用する。)
  • IFRS移行日より前のすべての企業結合に関し、IFRS第3号を遡及適用しない。

上記の免除規定は、過去に行われた関連会社及びジョイント・ベンチャーに対する持分の取得にも適用されます。また、企業結合について修正再表示することを選択する任意の日は、関連会社及びジョイント・ベンチャーに対する持分の取得の再表示にも適用する必要があります。

留意点として、免除規定を適用できるのは、IFRS第3号の定義を満たす「企業結合」についてのみであるという点があります。IFRSにおける企業結合とは、「事業」を構成する資産または資産グループの取得であり、単なる資産の取得等にはこの免除規定は適用できません。

また、この免除規定を適用する場合、過去に行われた企業結合については従前の会計基準に基づく企業結合の会計処理を維持します。たとえば、過去用いられた会計処理がたとえ持分プーリング法であっても、これを維持することとなります。

のれんについては、以下の修正を行った上で、従前の会計基準における残高をそのまま引き継ぎます。

  • 従前の会計基準で認識していた無形資産が、IFRSにおいて認識要件を満たさない場合、無形資産からのれんに振り替える。
  • 従前の会計基準で認識していなかった無形資産が、IFRSにおいて認識要件を満たす場合、のれんから無形資産に振り替える。
  • 減損の兆候の有無に関わらず、IFRS移行日時点でのれんの減損テストを行う。減損処理を行う場合の減損損失は、利益剰余金で処理する。

今回で、「企業結合及びのれん」は最終回となります。次回は「従業員給付」です。

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