第15部 会計方針(1)
「会計方針」の部では、3回にわたり、以下の項目について想定される主な実務上の論点に触れていきます。
- 会計方針の適用のヒエラルキー(優先順位)
- 会計方針の変更
- 会計上の見積りの変更
- 誤謬の訂正
- 開示規定
はじめに
IAS第8号「会計方針、会計上の見積りの変更及び誤謬」において、会計方針の適用及び変更に伴う会計処理及び開示上の取扱いが規定されています。
会計方針とは、企業が財務諸表を作成表示するにあたって適用する特定の原則、基準、慣行、規則及び実務をいいます。原則として、類似の取引その他の事象及び状況については選択された会計方針を継続して適用しなければなりません。
今回は、会計方針を適用する際のヒエラルキーについて説明します。
会計方針の適用のヒエラルキー(優先順位)
ある取引その他の事象及び状況についての会計方針を決定するにあたっては、当該項目を直接取り扱った関連する基準書又は解釈指針書を適用し、IASBが当該基準書又は解釈指針書に付随して公表する適用ガイダンスを考慮しなければなりません。
IFRSで特定の事象、取引やその他の状態が取り扱われていない場合、経営者は作成及び表示される財務諸表が次のような情報をもたらすように、会計方針を設定、適用するよう判断を行うことが求められます。
- 利用者の経済的意思決定のニーズに照らして目的適合的である
- 財務諸表が次の事項を満たしており信頼がおける
- 企業の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローを忠実に表す
- 法的形式のみによることなく、取引その他の事象及び状況の経済的実態を表す
- 中立である、すなわち偏った見方がされていない
- 慎重である
- すべての重要な局面を網羅している
経営者がこれらについて判断を行う場合には、下記を順番に参照し、適用可能性について検討しなければなりません。
- 類似の事項や関連する事項について扱っている基準書及び解釈指針書の規定及び指針
- フレームワークにおける資産、負債、収益及び費用に関する定義、認識要件及び測定概念
さらに、経営者は判断を行う際に、会計基準の策定にあたり類似の概念フレームワークを使用しているIASB以外の会計基準設定機関が定める現在有効な規定、その他の会計に関する専門的な文献、さらに一般に認められる業界実務慣行を、上記 a 及び b に反しない範囲で、参考とすることができます。実務上、類似の概念フレームワークを使用している会計基準として取り扱われているのは、米国会計基準です。
次回は、会計方針の変更、会計上の見積りの変更や誤謬の訂正が生じた場合の会計処理について解説します。