IFRS解説(最新動向)はこちら
IFRSの基準や改訂の動向に関する解説、さらにそれらがビジネスに与える影響など、実際の業務に役立つ情報をさまざまな切り口で用意しています。

国際財務報告基準(IFRS:International Financial Reporting Standards)とは、国際会計基準審議会(IASB)およびIASBの前身である国際会計基準委員会(IASC)により設定された会計基準(IASおよびIFRS)およびIFRS解釈指針委員会(IFRIC)およびIFRICの前身である解釈指針委員会(SIC)により発表された解釈指針(SICsおよびIFRICs)の総称です。このうち会計基準については、財務諸表の作成および表示に関する概念フレームワーク、IAS第1号からIAS第41号およびIFRS第1号からIFRS第13号(2011年6月時点)までの個別基準書から構成されています。

IFRSの設定主体

IFRSの設定主体であるIASBは独立した民間専門組織で、IASBのメンバーは各国の国内会計基準の策定委員や監督機関の代表者、会計分野の実務経験者および専門家などにより構成されています。また、各メンバーは欧州委員会、米国証券取引委員会(SEC)、各国の金融規制当局や中央銀行、民間企業、アナリストや学識者などとも緊密な連携を図りながら、財務報告の透明性を向上させるべく、高品質の会計基準の策定に取り組んでいます。

IFRSをめぐる世界と日本の動き

IFRSは、2005年1月より欧州連合(EU)がEU域内の上場企業の連結財務諸表作成基準として適用が義務付けられたのを契機に全世界で導入が広まり、現在は100以上の国や地域で自国の会計基準として、あるいはそれに準ずる基準として利用されています。この動きは経済規模の大きい国だけでなく、発展途上国にも浸透しつつあり、数年後には150程度の国や地域がIFRSを採用すると予想する向きもあります。

2007年11月に米国証券取引委員会(SEC)が発表した、IFRSを用いる外国民間登録企業に対する米国会計基準への調整表の作成義務廃止決定は、世界的なIFRSへのコンバージェンス(収れん)の流れを、より一層加速するきっかけとなりました。さらに、現在は、米国の上場企業の財務報告制度にIFRSをどう組み込むかが検討されています。

日本においても、企業会計基準委員会(ASBJ)によるコンバージェンスプロジェクトが進行中であり、日本企業においても、今後、より一層、対応の重要性が増すものと思われます。

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アドプションとコンバージェンス

IFRSを自国基準として全面採用する(アドプション)というアプローチを選択する国が増える一方で、自国基準を維持しつつ、IFRSとの差異を縮小する会計基準の収れん(コンバージェンス)に向けた動きも全世界のいたるところで活発化しています。

アドプション(全面採用)とは

IFRSを自国基準に単純に置き換えることをいいます。従って、アドプションの下では、例えば自国の管理当局に提出する法定財務諸表は、自国基準ではなく、IFRSを用いて作成されることになります。
日本がIFRSを採用した場合は、日本の上場企業が、金融庁に有価証券報告書を提出する際、それに含まれる財務諸表はIFRSに準拠して作成されます(または作成することも可能となります)。すでに、特定の会社については、2010年3月期からのIFRSの任意適用が認められています。
なおコンバージョン(転換)は、従来の自国基準からIFRSへの転換、移行、またはIFRSを導入することを意味する言葉として使用されています。つまり、企業の所在地国がIFRSのアドプションを行うことにより、企業はIFRSへのコンバージョンが必要となります。蛇足ではありますが、下記のコンバージェンスと音(おん)が似ているため混同されることがありますが、意味する内容はまったく異なるため留意が必要です。

コンバージェンス(収れん)とは

自国基準を維持しながら、IFRSと実質的に同等の基準とするための作業を永続的に実施することをいいます。この場合、自国の管理当局に提出する法定財務諸表は、引き続きIFRSではなくIFRSに実質的に同等と判断される自国基準を用いて作成されることになります。
現在のIFRSに対する日本のアプローチは公式にはコンバージェンスです。従って、日本に上場している企業が、金融庁に有価証券報告書を提出する場合に、それに含まれる財務諸表はIFRSに実質的に同等な日本基準で作成されます。
ここで何をもって実質的に同等と判断されるかが問題となりますが、それは同等性評価を行う主体の判断により異なります。いわゆる2009年問題として、日本で大きく取り扱われている同等性評価は、EUによる同等性評価であり、そこでの同等性の意味は、「全くの同一(identical)を意味するのではなく、自国基準によっても投資者がIFRSに準拠した財務諸表によった場合と類似した投資判断ができること」とされています。