システム調達工程における企業が抱えている課題を例示するとともに、システム化戦略計画策定の重要性について紹介します。
1. システム化戦略計画策定の目的
企業がシステム化戦略計画を策定する目的は、経営方針や事業戦略(又は情報システム戦略)に基づき、売上向上や間接費削減等、企業収益の向上に資する次期システムの構想及び基本方針を立案することです。これにより、システム導入の目的及び、システム投資に対する期待効果を明確に定め、経営方針や事業戦略に即したシステム導入ができます。
<システム化戦略計画の記載項目の例示>
- システム導入の目標と目標達成のロードマップ
- システム及び業務改善の方向性及び期待効果(定量効果・測定方法)
- 次期システムの構成概要
- 機能要求及び非機能要求一覧
- 設計・開発工程の進め方(スケジュール・作業計画概要)
- 次期システムに関する費用概算(nヶ年計画)
2. システム調達における課題や問題点の例示
システム化戦略計画を策定しないままシステムを調達した場合、経営方針や事業戦略の実現に貢献できず、期待された効果が出ません。その結果、追加開発等のコストが発生し、無駄な投資が繰り返し行われることになりかねません。当法人がシステム調達工程のアドバイザリー支援を行った、様々な企業が抱えていた課題や問題を以下に列挙します。
- 経理部門と業務部門間で十分な要件整理が行われず、それぞれの要望をシステムに取り込んだため、経費精算業務や債権管理業務等において、各部門と経理部門による重複作業や、表計算ソフト等の手作業によるデータ加工等、非効率な業務が発生し、システム導入前と比較して作業負荷が高くなってしまった。
- 事業戦略に適した業務の標準化を図らず、システム利用部門の現場要望のみを多く取り込んでシステム開発を行ったため、システムのカスタマイズ工数が増加し、開発工程において仕様追加・変更が相次ぎ、システム調達費用が膨張した。
- 都度のシステム開発を繰り返したため、システムの複雑化が進行し、保守容易性が低いシステムとなってしまった。
- システムベンダーの提案どおりにシステム開発を行ったため、膨大な調達コストがかかり、且つ、事業戦略に適合しないシステムを構築してしまった。
3. システム化戦略計画策定のアプローチ
企業がシステムへ投資する際、必ず投資に見合った効果を求めます。現状業務を分析・改善し、新システムの導入又は現行システムの改善を図ることで、新事業の展開に対応することや、既存事業の品質や顧客満足度を向上させ、結果として企業に収益をもたらすことを期待します。このような経営方針や事業戦略と、現状業務及びシステムとの間には、必ずGAP(差異)が存在します。経営方針や事業戦略と、現状業務及びシステムとの差異を現状課題として抽出し、経営方針や事業戦略を実現するための改善の方向性を定めた上で、次期システムの構想を描くことが重要です。
新日本有限責任監査法人では、システム調達工程における課題抽出・計画立案及び、業務改善策の策定に係る作業支援、提案依頼書作成支援等、システム調達に関するトータルサービスを提供しています。