「包括利益の表示に関する会計基準(案)」等のポイント (2010.01.07)
<企業会計基準委員会が平成21年12月25日に公表>
1. 「包括利益の表示に関する会計基準(案)」について
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①目的
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財務諸表における包括利益およびその他の包括利益の表示について定めることを目的としています。当期純利益を構成する項目およびその他の包括利益を構成する項目に関する認識および測定については、他の会計基準の定めに従います。
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②包括利益およびその他の包括利益の定義
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「包括利益」とは、ある企業の特定期間の財務諸表において認識された純資産の変動額のうち、当該企業の純資産に対する持分所有者との直接的な取引によらない部分をいいます。
当該企業の純資産に対する持分所有者には、当該企業の株主のほか当該企業の発行する新株予約権の所有者が含まれ、連結財務諸表においては、当該企業の子会社の少数株主も含まれます。
「その他の包括利益」とは、包括利益のうち当期純利益及び少数株主損益に含まれない部分をいいます。
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③包括利益の計算
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(1)個別財務諸表においては、当期純利益にその他の包括利益の内訳項目を加減して包括利益を計算します。
(2)連結財務諸表においては、少数株主損益調整前当期純利益にその他の包括利益の内訳項目を加減して包括利益を計算します。
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④包括利益を表示する計算書
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包括利益を表示する計算書は、次のいずれかの形式によります。
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(1)当期純利益を計算する損益計算書と、包括利益を計算する包括利益計算書とで表示する形式(2計算書方式)
(2)当期純利益の計算と、包括利益の計算を一つの計算書(「損益及び包括利益計算書」)で表示する形式(1計算書方式)
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⑤その他の包括利益の内訳の開示
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その他の包括利益の内訳項目は、その内容に基づいて、その他有価証券評価差額金、繰延ヘッジ損益、為替換算調整勘定等に区分して表示します。持分法を適用する被投資会社のその他の包括利益に対する投資会社の持分相当額は、一括して区分表示します。
その他の包括利益の内訳項目は、原則として税効果を控除した後の金額で表示し、各内訳項目別の税効果の金額を注記します。
当期または過去にその他有価証券評価差額金が計上されており、当期に当該その他有価証券の売却があった場合のように、当期純利益を構成する項目のうち、当期または過去の期間にその他の包括利益に含まれていた部分については、その他の包括利益の調整(組替調整)が行われますが、当該組替調整額は、その他の包括利益の内訳項目ごとに注記します。
その他の包括利益の税効果および組替調整額に関する注記は、個別財務諸表(連結財務諸表を作成する場合に限ります)および四半期財務諸表においては、省略することができます。
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⑥範囲
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個別財務諸表および連結財務諸表(いずれも四半期財務諸表を含みます)における包括利益およびその他の包括利益の表示に適用されます。
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⑦適用時期
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平成22年4月1日以後開始する事業年度の年度末に係る財務諸表から適用します。ただし、当該事業年度の期首から適用することができます。また、平成22年6月30日以後に終了する事業年度の年度末に係る財務諸表から適用することができます。
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⑧適用初年度の取り扱い
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適用初年度においては、その直前の年度における包括利益およびその他の包括利益の内訳項目の金額を注記します。また、四半期財務諸表に最初に適用する年度においては、前年度の対応する四半期会計期間および期首からの累計期間について、これらの金額を注記します。
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(参考)包括利益の表示例(出典:本公開草案「コメントの募集及び概要」より一部修正)
連結財務諸表
| 【2計算書方式】 | 【1計算書方式】 | ||
| <連結損益計算書> | <連結損益及び包括利益計算書> | ||
| 売上高 | ××× | 売上高 | ××× |
| ----- | ----- | ||
| 税金等調整前当期純利益 | ××× | 税金等調整前当期純利益 | ××× |
| 法人税等 | ××× | 法人税等 | ××× |
| 少数株主損益調整前当期純利益 | ××× | 少数株主損益調整前当期純利益 | ××× |
| 少数株主利益 | ××× | 少数株主利益(控除) | ××× |
| 当期純利益 | ××× | 当期純利益 | ××× |
| <連結包括利益計算書> | 少数株主利益(加算) | ××× | |
| 少数株主損益調整前当期純利益 | ××× | 少数株主損益調整前当期純利益 | ××× |
| その他の包括利益: | その他の包括利益: | ||
| その他有価証券評価差額金 | ××× | その他有価証券評価差額金 | ××× |
| 繰延ヘッジ損益 | ××× | 繰延ヘッジ損益 | ××× |
| 為替換算調整勘定 | ××× | 為替換算調整勘定 | ××× |
| 持分法適用による持分相当額 | ××× | 持分法適用による持分相当額 | ××× |
| その他の包括利益合計 | ××× | その他の包括利益合計 | ××× |
| 包括利益 | 2,000 | 包括利益 | 2,000 |
| (内訳) | (内訳) | ||
| 親会社株主に係る包括利益 | 1,600 | 親会社株主に係る包括利益 | 1,600 |
| 少数株主に係る包括利益 | 400 | 少数株主に係る包括利益 | 400 |
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その他の包括利益の内訳の注記例(連結)
【組替調整額と税効果を別々に開示する場合の例】
①組替調整額の開示(連結)
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その他有価証券評価差額金: 当期発生額 ××× 組替調整額 △××× ××× 繰延ヘッジ損益: 当期発生額 ××× ××× 税効果調整前合計 ××× 税効果額 △××× その他の包括利益合計 ××× ②税効果の開示(連結)
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税効果調整前 税効果額 税効果調整後 その他有価証券評価差額金 ××× △××× ××× 繰延ヘッジ損益 ××× △××× ××× その他の包括利益合計 ××× △××× ×××
2. 「包括利益の表示に関する会計基準(案)」に関連する企業会計基準および企業会計基準適用指針の改正案について
「包括利益の表示に関する会計基準(案)」の公表に伴い、基本的な財務諸表に関する企業会計基準および企業会計基準適用指針に限定した以下の改正案が公表されています。
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①企業会計基準公開草案第36号(企業会計基準第22号の改正案)「連結財務諸表に関する会計基準(案)」
②企業会計基準公開草案第37号(企業会計基準第12号の改正案)「四半期財務諸表に関する会計基準(案)」
③企業会計基準公開草案第38号(企業会計基準第6号の改正案)「株主資本等変動計算書に関する会計基準(案)」
④企業会計基準適用指針公開草案第33号(企業会計基準適用指針第14号の改正案)「四半期財務諸表に関する会計基準の適用指針(案)」
⑤企業会計基準適用指針公開草案第34号(企業会計基準適用指針第9号の改正案)「株主資本等変動計算書に関する会計基準の適用指針(案)」
これらの企業会計基準および企業会計基準適用指針において、「評価・換算差額等」を「その他の包括利益累計額」に改めるほか、損益および包括利益計算書または包括利益計算書について必要な記述を追加するなど、所要の改正が提案されています。
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本稿は包括利益に関する会計基準(案)およびそれに関連する企業会計基準および企業会計基準適用指針の改正案の概要を記述したものであり、その詳細については、以下の財務会計基準機構/企業会計基準委員会のウェブサイトをご参照ください。 企業会計基準公開草案第35号「包括利益の表示に関する会計基準(案)」、 企業会計基準公開草案第36号(企業会計基準第22号の改正案)「連結財務諸表に関する会計基準(案)」、 企業会計基準公開草案第37号(企業会計基準第12号の改正案)「四半期財務諸表に関する会計基準(案)」、 企業会計基準公開草案第38号(企業会計基準第6号の改正案)「株主資本等変動計算書に関する会計基準(案)」、 企業会計基準適用指針公開草案第33号(企業会計基準適用指針第14号の改正案)「四半期財務諸表に関する会計基準の適用指針(案)」、 企業会計基準適用指針公開草案第34号(企業会計基準適用指針第9号の改正案)「株主資本等変動計算書に関する会計基準の適用指針(案)」の公表 |



平成21年12月25日に、企業会計基準公開草案第35号「包括利益の表示に関する会計基準(案)」ならびにこれに関連する企業会計基準および企業会計基準適用指針の改正案(以下、本公開草案)が公表されています。
本公開草案では、会計基準のコンバージェンスの観点から、財務諸表の表示に関する現行の国際財務報告基準(IFRS)との差異のうち、包括利益の表示について短期的に対応することとして、現行のIFRSと同様の定めを設けることが提案されています。
本公開草案は平成22年2月1日(月)までコメントが募集されています。