固定資産の取得に関する国庫補助金

2015年12月14日
カテゴリー 会計実務Q&A

Question 

国庫補助金、工事負担金等により取得した固定資産についてはどのように会計処理するのでしょうか。

Answer 

国庫補助金、工事負担金等(以下、国庫補助金等という)により固定資産を取得した場合、原則的には国庫補助金等と固定資産取得価額を、総額で別々に処理します。国庫補助金等は「国庫補助金」等として収益に計上するとともに、通常の固定資産と同様に固定資産取得価額をもって資産計上します。
国庫補助金等について、圧縮記帳が行われた場合の会計処理には、①固定資産の取得価額から直接減額を行う方法(以下、直接減額方式という)②株主資本等変動計算書で行う方法(以下、積立金方式という)がありますが、いずれの方法によっても、監査上妥当なものとして取り扱われます。

①直接減額方式とは、取得原価から国庫補助金等の額を控除した価額を取得価額として資産に計上する方法です。直接減額方式を採用した場合、取得資産について圧縮記帳を行った旨及び圧縮額を財務諸表に注記する必要があります。
②積立金方式とは、貸借対照表の純資産に圧縮積立金を計上するとともに、(個別)株主資本等変動計算書に圧縮積立金の積立額を記載(注記により開示する場合を含む)する方法です。圧縮積立金は、当該会計処理が行われた計算書類を株主総会または取締役会で承認することになっています。

仕訳のイメージ

前提: 期首に国庫補助金を100受け入れて価格150の資産(耐用年数5年)を取得した場合

原則的会計処理
固定資産150/現金預金150
現金預金100/国庫補助金100

各期の減価償却費
減価償却費30/減価償却累計額30(=150÷5年)

①直接減額を行う方法
固定資産150/現金預金150
現金預金100/固定資産100

各期の減価償却費
減価償却費10/減価償却累計額10(=50÷5年)

②株主資本等変動計算書において圧縮積立金等で行う方法
固定資産150/現金預金150
現金預金100/国庫補助金100
利益剰余金100/圧縮積立金100

各期の減価償却費
減価償却費30/減価償却累計額30(=150÷5年)

各期の圧縮積立金取り崩し
圧縮積立金20/利益剰余金20(=100÷5年)

根拠条文

  • 企業会計原則 第三 貸借対照表原則 5のD、同注解24
  • 圧縮記帳に関する監査上の取扱い 注1
  • 株主資本等変動計算書に関する会計基準の適用指針 第25項なお書き

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