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太田達也の視点

取得関連費用の取扱いと留意点
~子会社株式の付随費用に係る連結と個別との関係に要注意~

2015.01.05
公認会計士 太田 達也

取得関連費用に係る改正

企業結合における取得関連費用のうち一部について、改正前の企業結合会計基準では取得原価に含めることとしていましたが、改正後は発生した事業年度の費用として処理することとされました(企業結合会計基準26 項)。また、取得原価に含められなかった取得関連費用は注記により開示することとされました(企業結合会計基準49 項)。個別財務諸表上の合併の会計処理における取得関連費用のほか、個別財務諸表では付随費用として子会社株式の取得原価に含まれているような取得関連費用についても、連結財務諸表上は費用処理されることになります。なお、個別財務諸表上で子会社株式の取得原価に含まれる付随費用と、財務諸表の注記の対象ともなる企業結合における取得関連費用の関係が、金融商品Q&AのQ15-2項で詳しく説明されています。

個別財務諸表上子会社株式の取得原価に含まれている付随費用を連結財務諸表上費用処理する取扱いは、連結修正手続により行い、その差額は連結財務諸表固有の一時差異に該当し、税効果会計の対象となります(連結税効果実務指針29-3項)。また、株式の段階取得により支配を獲得した場合には、支配獲得前に保有していた株式の取得原価に含まれる取得関連費用は、段階取得による損益として処理します(資本連結実務指針8項)。

適用時期は、平成27年4月1日以後に開始する事業年度の期首から適用されますが、平成26年4月1日以後に開始する事業年度の期首から早期適用することができるものとされています。

子会社株式の一部売却に伴う付随費用の調整

子会社株式の売却時において、付随費用は個別財務諸表上の売却簿価に含まれますが、連結財務諸表上の売却持分には含まれません。このため、個別財務諸表上の売却簿価に含まれている付随費用のうち売却した部分に対応する額については、連結財務諸表上、個別財務諸表に計上した子会社株式売却損益の修正として取り扱います。

また、引き続き保有する部分に対応する額については、子会社が連結子会社および関連会社のいずれにも該当せず連結範囲から除外される際に、連結株主資本等変動計算書上の利益剰余金の区分に連結除外に伴う利益剰余金減少高(または増加高)等その内容を示す適当な名称をもって計上することになります(資本連結実務指針46-2項)。

子会社株式の一部売却により持分法適用会社となった場合の処理

持分法適用会社の株式を取得(追加取得を含む)した場合の付随費用は、連結財務諸表上、個別財務諸表と同様に、株式の取得原価に含めて取り扱うものとされています(持分法実務指針36-4項)。一方、連結子会社の株式の連結財務諸表上の取得原価には、付随費用は含まれません。

子会社株式を一部売却し、連結子会社から持分法適用会社になった場合、当初は取得原価に含めていなかった付随費用を持分法適用会社の株式の取得原価に含める調整が必要であるかどうかが論点となります。この点については、「支配を喪失して子会社から関連会社となり、持分法を適用することとなった場合には、連結財務諸表上、関連会社株式の投資原価には支配喪失以前に費用処理した支配獲得時の付随費用を含めない。」(資本連結実務指針46-2項)とされており、調整しないものとして取り扱われます。

子会社株式の一部売却により子会社・関連会社でなくなった場合の処理

子会社株式の一部売却により、同社に対する投資が子会社にも関連会社にも該当せず、その他有価証券になった場合、その他有価証券は個別財務諸表上の帳簿価額で評価されます(連結会計基準29項なお書)。この個別財務諸表上の帳簿価額には取得関連費用が含まれることになりますが(資本連結実務指針46項)、この調整はすでに説明しましたように、次のように行います。連結財務諸表上、子会社が連結子会社および関連会社のいずれにも該当せず連結範囲から除外される際に、連結株主資本等変動計算書上の利益剰余金の区分に連結除外に伴う利益剰余金減少高(または増加高)等その内容を示す適当な名称をもって計上することとなります。この調整は、売却損益を通じて行うのではなく、連結株主資本等変動計算書の利益剰余金の部で直接加算するものとされている点に留意が必要です。

当コラムの意見にわたる部分は個人的な見解であり、新日本有限責任監査法人の公式見解ではないことをお断り申し上げます。

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