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太田達也の視点

持分法適用会社の未認識項目に係る連結上の処理
~改正退職給付会計基準の適用2期目における留意点~

2014.12.01
公認会計士 太田 達也

はじめに

前回の本コラムでは、連結子会社の未認識項目に係る連結上の処理を取り上げました。改正退職給付会計基準の適用2期目に特有の留意点がある点についてご理解をいただけたかと思います。

今回のコラムでは、もう一つ押さえておかなければならない論点として、持分法適用会社の未認識項目に係る連結上の会計処理を解説します。これについても、適用2期目に特有の処理が発生します。組替調整に係る処理については、特に留意が必要であると考えられます。本コラムでは、設例を用いて具体的に解説します。

持分法適用会社の未認識項目

持分法適用会社の純資産の当期増加額のうち、当期純損益に係る投資会社持分額は、持分法による投資損益に計上されます。一方、純資産の部のその他有価証券評価差額金は当期純損益に計上されないため、投資会社の持分額は、持分法適用上、その他有価証券評価差額金の当期増加額に直接計上します。それと同様に、持分法適用会社に係る退職給付に係る調整累計額についても、持分法適用会社の未認識項目のうち投資会社の持分相当額について、連結上認識する必要があります。

連結子会社の処理と異なる

連結子会社の場合とは異なり、投資会社の持分相当額のみが計上され、投資会社株式を相手勘定として計上されます。

持分法は「一行連結」と表現されますように、持分法適用会社の各資産科目および負債科目を連結貸借対照表上そのまま合算しません。投資会社株式の増減で処理します。持分法適用会社の未認識項目についても、同様に、連結上の退職給付に係る負債には一切影響させないで、投資会社株式の増減で処理します。

また、連結子会社の未認識項目の場合は、連結包括利益計算書上、「退職給付に係る調整額」という科目でその他の包括利益に反映されますが、持分法の場合は、その他の包括利益の項目は「持分法適用会社に対する持分相当額」などとして一括表示されます。「退職給付に係る調整額」という科目で処理するわけではありません。

設例

以下、設例により具体的に解説します。

設例 持分法適用会社の未認識項目に係る連結上の処理

前提条件
持分法適用関連会社A社(投資会社の持分割合30%)の当期に新たに発生した未認識項目は500(借方差異、すなわち不利差異)でした。法定実効税率を40%とし、繰延税金資産の回収可能性はあるものとします。また、A社の個別上の未認識項目に係る費用処理額が10であったとします。

解答
未認識項目の即時認識および組替調整の処理をそれぞれ順番に説明します。

1. 未認識項目の即時認識に係る仕訳
未認識項目の即時認識に係る仕訳
※持分法適用上認識する未認識項目は、500×(1-0.4)×30%=90です。

連結包括利益計算書においては、「退職給付に係る調整額」として表示されるわけではなく、上記のように「持分法適用会社に対する持分相当額」などとして表示されます。「持分法適用会社に対する持分相当額」90は、その他の包括利益を通じて、連結貸借対照表の純資産の部の「退職給付に係る調整累計額」に計上されます。また、持分法ですので、退職給付に係る負債に反映しないで、投資会社株式に反映します。

要するに、連結貸借対照表上は、資産の部の「投資会社株式」と純資産の部の「退職給付に係る調整累計額」のみが増減する点で、連結子会社の場合とは内容が異なります。

2. 組替調整に係る仕訳

退職給付に係る調整累計額に計上されたもののうち費用処理された部分については、その他の包括利益の調整(組替調整)を行うことになります。従って、組替調整に伴うその他の包括利益の増減額が連結包括利益計算書上に計上されます。しかし、持分法の場合は、先に説明したのと同様に、その他の包括利益の項目は「持分法適用会社に対する持分相当額」などとして一括表示される点に留意する必要があります。

また、持分法適用会社の個別財務諸表において未認識項目の費用処理が行われていて、その分個別財務諸表において負債が増加していますが、下記のように組替調整で再度損益に影響させると重複することになるため、連結子会社の取り扱いと同様に、個別の振戻しが必要であると考えられます。ただし、連結子会社の場合のように、負債を相手勘定として振り戻すのではなく、投資会社株式を相手勘定として振り戻します。それについての税効果の調整も必要ですが、これについても繰延税金資産ではなく投資会社株式を相手勘定とします。

(1)個別の振戻し

個別の振戻し
※1 A社の個別上の未認識項目に係る費用処理額10×30%=3
※2 3×40%=1.2

(2)組替調整

組替調整

法人税等調整額が貸方に1.2計上されているのは、組替調整に伴う税効果の調整であり、この点は連結子会社の取り扱いと同様です。持分法による投資損益が借方に計上され、連結上の税金等調整前当期純利益が減少するのに合わせて、法人税等調整額が貸方に計上されることにより税金費用が減少し、連結上の利益と税金費用がバランスすることになります。


当コラムの意見にわたる部分は個人的な見解であり、新日本有限責任監査法人の公式見解ではないことをお断り申し上げます。

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