I.はじめに

第2回目の今回は、物流・倉庫業の業務の流れ及び内部統制の特徴と題して、物流・倉庫業における業務の流れ、物流・倉庫業における財務報告に関する内部統制の特徴について説明します。

なお、本稿において意見にわたる部分は執筆担当者の私見であることを予めお断りしておきます。

II.物流・倉庫業の業務の流れと内部統制の特徴

1.物流・倉庫業における業務の流れ

物流・倉庫業における業務の流れは、荷主の業種や荷主との間の契約形態、物流・倉庫業者の業務内容等により千差万別であるといえますが、一般的には、全国各地の物流地区や荷主の近隣地域に営業所や倉庫等の拠点を設け、荷物の輸送、輸送に伴う荷物の積み下ろし(荷役)、荷物を保管するに当たっての保護(梱包)、荷物へのタグ付けや簡単な加工作業(流通加工)、倉庫での保管、荷物の追跡管理や空車と荷物をマッチングさせるための情報管理の各業務を行っています。

2.物流・倉庫業における財務報告に関する内部統制の特徴

物流・倉庫業において、内部統制を構築する上で考慮すべき点は、全国各地の物流地区や荷主の近隣地域に物流センターや倉庫等の事業所を設けていることが多いことから、どの事業所においても同一類型の取引については同一の事務処理が行われ、均質な財務データの提供が可能となるようにすることが考えられます。また、事業所が本社から離れた遠隔地にある場合も多いことから、本社の目の届かないところで発生しやすい、不正や横領が発生しにくい仕組みを内部統制に織り込んでおくことが考えられます。

(1)物流部門の事業所における業務フロー及び内部統制上考慮すべき点の一例

物流部門の事業所においては、荷主からの受注、貨物量や空車状況を考慮した配車・傭車、売上計上、請求書発行、運送に係る費用(傭車料等)の計上等の業務を行うことが想定されますが、この場合の業務フロー及び内部統制上考慮すべき点の一例を挙げると以下のようになるものと考えられます。

【物流部門における業務フローの一例】

(※画像をクリックすると拡大します。)


【物流部門における内部統制上考慮すべき点の一例】
業務内容 担当者 内部統制上考慮すべき点
受注 配車担当 ○「受注マスター」への単価、数量、距離、日付、取引条件等の登録ミスの防止
○「受注マスター」と「契約書・タリフ」の記載内容の整合性
配車 配車担当 ○「受注マスター」と「輸送担当・傭車先への運行指示書」の記載内容の整合性
輸送 輸送担当 ○「配送先からの検収証」の受領もれの防止
○「輸送担当・傭車先が作成する業務完了報告書」の作成・提出もれの防止
売上計上 営業担当 ○「売上伝票」と「配送先からの検収証」「輸送担当・傭車先からの業務完了報告書」の記載内容の整合性
請求 営業担当 ○「荷主に対する請求書」と「配送先からの検収証」「輸送担当・傭車先からの業務完了報告書」の記載内容の整合性
費用計上 購買担当 ○「費用伝票」と「配送先からの検収証」「輸送担当・傭車先からの業務完了報告書」の記載内容の整合性
○「傭車先からの請求書」と「配送先からの検収証」「傭車先からの業務完了報告書」の記載内容の整合性
配車担当 ○配車担当と傭車先との共謀による費用の過剰計上と担当者個人へのキックバックの防止

(2)倉庫部門の事業所における業務フロー及び内部統制上考慮すべき点の一例

倉庫部門の事業所においては、荷主からの受注、貨物量や倉庫の空き状況等を考慮した入出庫等の作業指示、売上計上、請求書発行、入出庫等に係る費用(下請作業費等)の計上等の業務を行うことが想定されますが、この場合の業務フロー及び内部統制上考慮すべき点の一例を挙げると以下のようになるものと考えられます。

【倉庫部門における業務フローの一例】

(※画像をクリックすると拡大します。)


【倉庫部門における内部統制上考慮すべき点の一例】
業務内容 担当者 内部統制上考慮すべき点
受注 倉庫総務担当 ○「受注マスター」への単価、数量、日付、取引条件等の登録ミスの防止
○「受注マスター」と「契約書・単価表」の記載内容の整合性
作業指示 倉庫総務担当 ○「受注マスター」と「入出庫担当・外注先への作業指示書」の記載内容の整合性
入出庫・保管 入出庫担当 ○「入出庫担当・外注先が作成する業務完了報告書」の作成・提出もれの防止
売上計上 営業担当 ○「売上伝票」と「入出庫担当・外注先からの業務完了報告書」の記載内容の整合性
請求 営業担当 ○「荷主に対する請求書」と「入出庫担当・外注先からの業務完了報告書」の記載内容の整合性
費用計上 購買担当 ○「費用伝票」と「入出庫担当・外注先からの業務完了報告書」の記載内容の整合性
○「外注先からの請求書」と「外注先からの業務完了報告書」の記載内容の整合性
倉庫総務担当 ○倉庫総務担当と外注先との共謀による費用の過剰計上と担当者個人へのキックバックの防止

参考文献

  • 「第11次業種別審査辞典(第9巻) 9013トラック運送業」 金融財政事情研究会
  • 「第11次業種別審査辞典(第9巻) 9027倉庫業」 金融財政事情研究会
  • 本橋信隆(公認会計士)「業種別会計・監査実務をめぐる留意点 貨物運送業・倉庫業」JICPAジャーナル No.445(1992.8) 第一法規
  • 村山徳五郎(公認会計士)監修「制度会計・法会計の実務」(1992.1) 中央経済社

(週刊 経営財務 平成22年3月15日 No.2958 掲載)

物流・倉庫業

情報量は適当ですか?

文章はわかりやすいですか?

参考になりましたか?