新日本有限責任監査法人
業種別会計
リース業

第1章:リース業の概要

2010.11.12
新日本有限責任監査法人 リース業研究会
大山太郎/宮﨑徹/小谷明子

1.はじめに

リース業とは、リース物件を借手に賃貸することにより収益を得る事業をいいます。リース業界には、銀行等の金融機関をはじめ、卸売業、小売業、メーカー、運輸、通信、電力、ガスなどさまざまな業態の企業が参入しています。これらの企業は、自社、またはリース会社を設立してリース事業を行っています。2010年7月1日現在、社団法人リース事業協会に加盟している会社は261社にのぼります。また、リース会社の規模は資本金五千万円以下の会社から百億円超の会社まで大小さまざまです。

本稿でもシリーズのねらいに沿って、リース業のビジネスの特徴、経済環境の特徴を説明するとともに、業種別の特性を反映した取引の発生から会計処理・表示までの業務の流れ、その流れの中で発生する可能性のある財務報告リスクおよびリスクに対応する内部統制について解説します。本稿ではリース業の特徴に焦点をおき、上記の事項を以下の3章に分けて解説します。

なお、意見にわたる部分は執筆担当者の私見であることをお断りしておきます。

リース業の概要を、業界の歴史や業界の現状および業界の特質から派生する会計上の論点について説明します。

1.リース業の歴史

「リース」は、古くは、貸手が保有する動産・不動産を賃貸借する取引を指していましたが、借手のニーズや仕様にあわせた設備等の動産・不動産を貸手が購入し、借手に貸すという、借手の設備資金調達の代替手段として進展を遂げてきました。このような経済的側面から金融としての意味合いをもつリース取引はファイナンス・リース取引と呼ばれ、日本においてはリース市場の90%以上を占めています。

日本における最初のリース会社は1963年に設立されました。高度成長期にあった日本経済において、企業が自らの資金調達能力以上の設備投資を望むようになる中、新たな設備調達手段として、また、物件を所有することからくる煩雑な事務処理から解放される取引として、リース取引は産業界で注目されるようになりました。リース取引は次第に普及し、都市銀行、大手商社やメーカーが相次いでリース業界に参入、リース取引は設備投資の重要な手段の一つとして成長を遂げてきました。さらに、日本においては単なる資金調達の代替手段としてではなく、リース期間中におけるリース会社のサービスやリース期間終了後のリース物件処理などの賃貸借性・サービス性を備えていることが、諸外国のリース取引と比べた際に特徴としてあげられます。

現在、2008年4月以降開始の事業年度から適用された新リース会計基準により、ファイナンス・リース取引に係るリース物件のオンバランス化が義務付けられたことから、リース導入のメリットが薄れ、企業のリース離れが進んでいます。また、景気悪化により、設備投資そのものが減少しています。このような背景からリース取扱高は2008年度に急激に減少しており、近年のリース業界では事業規模の拡大と多様な営業ノウハウの強化を目的とした合併等の企業再編、リース取引以外の環境関連ビジネス等新たな事業への参入が活発化しています。

(リース取扱高)
リース取扱高