投資信託 第3回:投資信託における会計(=「計理」)の特徴

2011年4月19日
カテゴリー 業種別会計

投資信託研究会
白取 洋

投資信託の会計は「計理」という言葉が使われ、一般に用いられている経理と区別する意味で"ごんべんけいり"という呼ばれ方もします。これは投信計理がとくに日々の基準価額を正確に算定することを第一義的な目的としている点に由来します。

投資信託には受益者を公平に扱うべきという基本原則があり、これは残存受益者間のみならず、新規に参入してくる受益者や解約する受益者も含め、すべての受益者を公平に扱わなければならないとするものであります。投資信託は日々追加設定や一部解約によって資金の流出入がありますが、その際、受益者が支払うべき追加設定代金又は受取るべき解約代金はその時点の基準価額に基づいて決定されます。よって、もしこの基準価額が誤って算定されると、あるべき水準よりも過大又は過小な基準価額に基づいて追加・解約が行われる結果、いずれかの受益者が不利益を被ることとなります。したがって、日々基準価額を正確に算定することが非常に重要となるのです。

このような要請に応えるためには基準価額は常に現在の価値を正しく反映した適正な価額でなければならず、投信計理では主に「発生主義」、「約定日基準」及び「時価評価」の原則が貫かれています。これらの原則は一般の企業会計においても同様に求められていますが、投信計理ではこれらが毎日求められているという点が特徴的であるといえます。このほか、受益者間の公平を図る観点からいくつかの独特な会計処理が行われています。

(週刊 経営財務 平成22年11月15日 No.2991 掲載)

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