新日本有限責任監査法人
業種別会計
外食産業

第4章:外食産業におけるフランチャイズ展開

2016.04.12
新日本有限責任監査法人 外食セクター
公認会計士 戸田 哲生 山﨑 祐史

第4章 外食産業におけるフランチャイズ展開

外食産業における規模拡大のための一手段としてフランチャイズ展開があり、多くの企業がフランチャイズ展開を行っています。本章では、外食産業におけるフランチャイズ・ビジネスの概要と会計処理について解説します。

1. 外食フランチャイズ・ビジネスの概要

(1) フランチャイズの定義

フランチャイズとは、フランチャイザー(フランチャイズ権を持つ者)がフランチャイジー(フランチャイズ権の付与を受ける者)との間で契約を結び、自己の商標、サービスマーク、トレードネームその他の営業の象徴となる標識、及び経営上のノウハウを用いて、同一のイメージの下に商品の販売その他の事業を行う権利をフランチャイジーに与える一方、フランチャイジーはその見返りとして一定の対価(ロイヤルティ)を支払い、事業に必要な資金を投下してフランチャイザーの指導及び援助のもとに事業を行う両者の継続的関係をいいます(なお、本章ではフランチャイザーを「本社」、フランチャイジーを「加盟店」と呼びます)。加盟店は、フランチャイズ契約によりフランチャイズ・ビジネスにおける各種の権利を有することになりますが、それらの権利は具体的には次の項目で構成されます。

  • 本社の商標、サービスマーク、チェーン名称を使用する権利
  • 本社が開発した商品やサービス、情報など、経営上のノウハウを使用する権利
  • 本社から継続的に指導や援助を受ける権利

通常、これらはひとまとまりのパッケージとして加盟店に提供されるため、フランチャイズパッケージと呼ばれます(図表2参照)。

【図表2】 フランチャイズパッケージの仕組み

【図表2】 フランチャイズパッケージの仕組み資

加盟店は、本社から提供されるフランチャイズパッケージにより包括的な支援を受けられるため、安定した環境で店舗運営を行うことが可能となります。

(2) 本社の役割

本社は、フランチャイズチェーン全体の魅力を高めるため、次のような各種の役割を担っています。

① 出店・エリア戦略の策定
② 物流網の構築
③ 商品開発及び在庫管理
④ 広告宣伝活動
⑤ ITインフラの構築
⑥ 経営指導及び経営資料の作成代行

(3) ロイヤルティ

加盟店は本社より前述のような各種経営上のノウハウの提供を受けます。この見返りとして、加盟店はフランチャイズ契約上、一定の対価を支払う義務を負い、その一定の対価はロイヤルティと呼ばれます。ロイヤルティの算定方法は各企業により様々ですが、概ね次のような算定方法に分類されます。

  • 売上歩合方式:加盟店の売上高に一定の率を掛けて得られた金額を徴収する方式。
  • 粗利分配方式:売上高から売上原価を控除した加盟店の売上総利益に一定の率を掛けて得られた金額を徴収する方式。
  • 定額方式:毎月、一定金額をロイヤルティとする方式。

通常、ロイヤルティの計算は、本社主導で行われます。本社は加盟店へ販売管理システム、発注管理システム等のITインフラを提供し、本社と加盟店の間でのITネットワークを構築します。本社はこうしたITシステムにより集計された売上高や売上総利益を用いてロイヤルティの計算を行い、加盟店へ報告・請求を行います。

(4) 店舗資産取得資金、賃借料等

店舗物件(土地・建物)に関しては、加盟店が自己資金で調達する場合と、本社が店舗物件を加盟店に賃貸する場合があります。加盟店が自己資金で調達する場合は、土地・建物に係る店舗資産取得資金が必要となります。一方、本社が加盟店に賃貸する場合、本社は加盟店に対して賃貸店舗の賃貸料を請求することになります。

(5) 加盟金・保証金

フランチャイズ契約を締結する場合、通常、加盟店は本社に対し加盟金を支払います。当該加盟金は、フランチャイズパッケージの実施許諾の対価としての性質があるため、通常、本社は返還義務を負いません。また、本社に対し保証金を差し入れる場合もありますが、通常、当該保証金は契約終了時点に返還されます。

(6) オープン・アカウント制度

通常、加盟店の売上金は、フランチャイズ契約により本社が管理することになっており、加盟店は本社へ定期的に送金します。本社では、加盟店から預かった売上金から、一定期間におけるロイヤルティ、家賃、広告宣伝費等を差し引いた金額を、定期的に加盟店へ送金し精算します。その際、本社は各加盟店について、関連する債権債務を一つの勘定により管理し、定期的な決済に利用しています。これをオープン・アカウント制度と呼び、通常は、加盟店に対する純額の債務を本社が加盟店に支払うことにより決済されます。一方で、加盟店が赤字の場合等は、本社は加盟店に対し純額の債権を持つ場合があります。

2. 外食フランチャイズ・ビジネスにおける会計処理

外食フランチャイズ・ビジネスにおける会計の特徴は、オープン・アカウント制度を通じた、本社と加盟店間の取引の処理にあります。この関係を図示すると次のとおりです。

【図表3】 本社と加盟店間の取引のイメージ

【図表3】 本社と加盟店間の取引のイメージ

以下、設例を用いて、本社と加盟店間の取引の会計処理を解説します。

【前提条件】

  • ロイヤルティの計算は売上歩合方式であり、料率は10%である。
  • 加盟店のX1年1月の売上高は100円であった。
  • 本社は店舗物件を加盟店に賃貸しており、月間賃貸料は5円であった。

【仕訳例】

① 加盟店から本社への売上金送金

(本社)
(借)現金及び預金 100 (貸)オープン・アカウント 100

(加盟店)
(借)オープン・アカウント 100 (貸)現金及び預金 100

② ロイヤルティの計上

(本社)
(借)オープン・アカウント 10 (貸)受取ロイヤルティ 10

(加盟店)
(借)支払ロイヤルティ 10 (貸)オープン・アカウント 10

③ 賃貸料の計上

(本社)
(借)オープン・アカウント 5 (貸)受取賃貸料 5

(加盟店)
(借)支払賃借料 5 (貸)オープン・アカウント 5

④ オープン・アカウントによる精算

(本社)
(借)オープン・アカウント 85※ (貸)現金及び預金 85
※100-10-5

(加盟店)
(借)現金及び預金 85 (貸)オープン・アカウント 85

最終章 まとめ

本稿では外食産業について、その特徴、会計処理及び内部統制の特徴、業種特有の論点等を中心に解説しました。本稿が、特に会計、監査等の立場から初めて同業種に関与する方々の理解の一助になれば幸いです。

参考文献等

  • 社団法人日本フランチャイズチェーン協会
    http://www.jfa-fc.or.jp/
  • よくわかる外食産業 日本実業出版社
  • 図解 雑学 外食業界のしくみ ナツメ社
  • 外食業界がわかる 技術評論社
  • フランチャイズ契約の実務(新日本法規出版株式会社 平成12年8月22日発行)
  • 業種別審査事典第6巻(株式会社きんざい 平成28年1月発行)
  • フランチャイズ・ビジネス概論(株式会社創成社 平成21年4月20日発行)
  • ザ・フランチャイズ http://frn.jfa-fc.or.jp/
  • 外食産業のしくみと会計実務Q&A(中央経済社 新日本有限責任監査法人編)

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