新日本有限責任監査法人
業種別会計
外食産業

第4章:外食産業におけるフランチャイズ展開

2011.02.08
新日本有限責任監査法人
北村康行/長沼徳宏/吉塚倫明/堀井秀樹

第4章:外食産業におけるフランチャイズ展開

外食産業における規模拡大のための一手段としてフランチャイズ展開があり、多くの企業がフランチャイズ展開を行っています。本章では、外食産業におけるフランチャイズ・ビジネスの概要と会計処理について解説します。

1. 外食フランチャイズ・ビジネスの概要

(1)フランチャイズの定義

フランチャイズとは、フランチャイザーがフランチャイジーとの間に契約を結び、自己の商標、サービスマーク、トレード・ネームその他の営業の象徴となる標識、及び経営上のノウハウを用いて、同一のイメージの下に商品の販売その他の事業を行う権利を与え、一方、フランチャイジーはその見返りとして一定の対価を支払い、事業に必要な資金を投下してフランチャイザーの指導及び援助のもとに事業を行う両者の継続的関係をいいます。(なお、本章では、フランチャイザーを"本部"、フランチャイジーを"加盟店"と呼びます。)加盟店は、フランチャイズ契約によりフランチャイズ・ビジネスにおける各種の権利を有することになりますが、それらの権利は具体的には次の項目で構成されます。

  1. 本部の商標、サービスマーク、チェーン名称を使用する権利
  2. 本部が開発した商品やサービス、情報など、経営上のノウハウを使用する権利
  3. 本部が加盟店に継続的に行う指導や援助を受ける権利

通常、これらは一つのパッケージとして加盟店に提供されるため、フランチャイズパッケージと呼ばれます(図表2参照)。

【図表2】フランチャイズパッケージの仕組み
【図表2】フランチャイズパッケージの仕組み

加盟店は、本部から提供されるフランチャイズパッケージにより包括的な支援を受けられるため、安定した環境で店舗運営を行うことが可能となります。

(2)本部の役割

本部は、フランチャイズチェーン全体の魅力を高めるため、次のような各種の役割を担っています。

  1. 出店・エリア戦略の策定
  2. 物流網の構築
  3. 商品開発及び在庫管理
  4. 広告宣伝活動
  5. ITインフラの構築
  6. 経営指導及び経営資料の作成代行

(3)ロイヤリティ

加盟店は本部より前述のような各種経営上のノウハウの提供を受けます。この見返りとして、加盟店はフランチャイズ契約上、一定の対価を支払う義務を負い、その一定の対価はロイヤリティと呼ばれます。ロイヤリティの算定方法は各企業の本部により様々ですが、代表的なものとして次のような算定方法に分類されます。

  • 売上歩合方式:加盟店の売上高に一定の率を掛けて得られた金額を徴収する方式。
  • 粗利分配方式:売上高から売上原価を控除した加盟店の売上総利益に一定の率を掛けて得られた金額を徴収する方式。
  • 定額方式:毎月、一定金額をロイヤリティとする方式。

通常、ロイヤリティの計算は、本部主導で行われます。本部は加盟店へ販売管理システム、発注管理システム等のITインフラを提供し、本部と加盟店の間でのITネットワークを構築します。本部はこうしたITシステムにより集計された売上高や売上総利益を用いてロイヤリティの計算を行い、加盟店へ報告・請求を行います。

(4)家賃、広告宣伝費等

通常、加盟店は店舗物件を自ら保有しますが、本部が店舗物件を加盟店に賃貸するケースや、加盟店に代わって店舗の賃貸借契約者となり加盟店に転貸するケースがあります。その場合、本部は加盟店に対し、賃貸店舗の家賃を請求することになります。また、フランチャイズ・ビジネスでは広告宣伝活動は本部主導で行われ、加盟店が負担すべき金額を請求します。

(5)加盟金・保証金

フランチャイズ契約を締結する場合、通常、加盟店は本部に対し加盟金を支払います。当該加盟金は、フランチャイズパッケージの実施許諾の対価としての性格があるため、本部は返還義務を負わないのが通常です。また、本部に対し保証金を預託する場合もありますが、当該保証金は、契約終了時点に返還されるのが通常です。

(6)オープン・アカウント制度

通常、加盟店の売上金は、フランチャイズ契約により本部が管理することになっており、加盟店は本部へ定期的に送金します。本部では、加盟店から預かった売上金から、一定期間におけるロイヤリティ、家賃、広告宣伝費等を差し引いた金額を、定期的に加盟店へ送金し精算します。その際、本部は各加盟店について、関連する債権債務を一つの勘定により管理し、定期的な決済に利用しています。これをオープン・アカウント制度と呼び、通常は、加盟店に対する純額の債務を本部が加盟店に支払うことにより決済されます。一方で、加盟店が赤字の場合等は、本部は加盟店に対し純額の債権を持つ場合があります。