|1|23次のページ

1.販売取引と売り上げの会計処理

(1)販売取引の特徴

食品メーカーにおいては、消費者へ直接販売を行う直売方式はまれであり、大体の場合が、卸店、特約店、代理店、販売子会社など、複雑な経路を通じて、小売業者に販売することが一般的です。複雑な流通経路を採用している点、直接の販売先(卸店、代理店等)と最終の販売者(小売業者等)が異なっている点が、この業界の大きな特徴です(図1)。また、信用力補完、与信リスク分散を目的として、大手商社が流通経路に介在する場合もあります。このような商流があることから、以下の点にも留意が必要です。

【図1 販売取引の例】

(※画像をクリックすると拡大します。)

①販売先と納入先の相違(物流と商流の相違)

複雑な流通経路をとるため、販売先と納入先が異なることが少なくありません。すなわち、販売先は卸店等になっているものの、物流は、メーカーの営業倉庫から二次卸店や小売業者等に直送される場合が多く見られます。

このように、物流と商流が異なっている場合の売上計上に際しては、物品受領書の回収確認等、製品が確実に直送先である二次卸店や小売業者等に受領されているかについて注意が払われます。

②流通在庫

流通在庫とは、メーカーから出荷は行われたものの最終の販売者に製品が届いておらず、流通過程に存在している製品のことをいいますが、一般的には、卸店等が保有している在庫のことを意味することが多いと思われます。流通在庫に関しては、卸店や小売店などから販売実績データを入手し、自社の販売実績との比較により、流通在庫数量の把握・管理を行っていることが一般的です。

流通在庫は、メーカーからの出荷が完了しているため、卸店や代理店に所有権が移転しているのが一般的であり、在庫リスク(返品、破損リスクなど)については、基本的にメーカー側は負担しません。しかしながら、在庫リスクの負担関係については、契約等で別途取り決めがなされている場合もありますので、そのような場合には、売上高の計上や在庫の評価を慎重に行う必要があると考えられます。

(2)販売取引の流れと会計処理

①受注

卸店等からの受注形態は、オンラインシステム、Eメール、FAX、電話などさまざまですが、最近ではオンラインシステムによる受注が、取引金額の大半を占めるようになってきています。

得意先から受注をした場合、品名・納期などを確認し、営業倉庫に対する在庫確認、工場に対する生産スケジュール確認を行います。これらの確認により、受注品について出荷可能と判断されれば、受注が確定し販売システムで受注確定処理がなされます。同時に、営業倉庫に対して出荷指示を行います。売上高計上の会計処理はなされないものの、受注確定データが生成された段階で、売上高のデータがほぼ確定するのが一般的です。

②出荷

出荷指示は販売システムで行われることが多く、営業倉庫では出荷指示を販売システムで確認し、卸店ごとに製品の積込を行っていきます。出荷準備が整えば、出荷確定処理がなされると同時に、出荷関係書類(出荷指示書、送り状、物品受領書など)を販売システムから出力し、製品出荷が行われることになります。

③売上計上

食品・飲料メーカーにおいても、売上計上基準は出荷基準の採用が多いようです。但し、業界慣行により検収基準や見なし着荷基準での売上計上を行っているケースもあります。出荷基準を前提とすると、出荷段階において、販売システム上で出荷データが生成され、この出荷データが会計データの基礎データとなります。従って、売上高計上は、販売システム上の出荷データが会計システムへ反映されることが一般的です。販売システムから会計システムへの反映は、日次で行われるケースや、月次で一括で行われるなど、会社によってさまざまです。

【図2 販売プロセスの例】

図2 販売プロセスの例

|1|23次のページ