新日本有限責任監査法人
業種別会計
電気事業

第3回:電気事業の会計処理の特徴

2010.04.15
新日本有限責任監査法人 電力・ガス業研究会
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2.電気事業固定資産

(1)電気事業固定資産の分類

【図表7:電気事業固定資産の分類の例】(出典:電気事業会計規則 別表第1、電気事業会計規則取扱要領 別表)
科目(機能別分類) 項(形態別分類) 資産単位物品
項目 単位物品
水力発電設備 土地    
  建物 鉄筋コンクリート造 建物
      建物暖冷房設備ほか
    金属造ほか  
  構築物ほか    
汽力発電設備 土地ほか    

①勘定科目の分類

電気事業者は、電気事業会計規則(以下、規則)別表第1に整理された勘定科目を用いることとされています(規則第3条)。

規則別表第1において、電気事業固定資産は図表7のように、まず機能別分類により資産の用途に応じて分類された後、形態別分類により資産の物理的構造に応じて細分されます。

②資産単位の分類

電気事業固定資産は、規則取扱要領別表(資産単位物品表)に整理された資産単位物品のごとに記録されます。

資産単位物品は、後述する資本的支出と収益的支出を区分する際の目安としても用いられます。

(2)電気事業固定資産の価額の構成

【図表8:電気事業固定資産の帳簿価額の構成】
図表8:電気事業固定資産の帳簿価額の構成

①帳簿原価=物品帳簿原価+工費帳簿原価

電気事業固定資産の取得に際して借方に計上する価額を帳簿原価といい(規則第6条)、これは物品帳簿原価と工費帳簿原価に区分されます(規則第15条)。

物品帳簿原価とは資産そのものの購入価額または建設価額をいい、工費帳簿原価とは資産の取得に付随して要した価額をいいます。例えば機械装置の取得であれば、機械装置の購入価額が物品帳簿原価であり、装置を所定の場所に据え付けるために要した工事費用が工費帳簿原価です。

②工費の種類

据付工事費・請負工事代のように資産の取得に直接要したもののほかに、次のように間接的に要したものも工費として、帳簿原価を構成します。

(a)分担関連費

固定資産の建設および他の管理事業の運営の両方に関連する支出が発生した場合、その全額を帳簿原価または一般管理費のどちらか一方で会計処理することは適切ではありません。支出した金額のうち、固定資産の建設に関連する部分を帳簿原価に配賦し、それ以外は一般管理費として発生時に費用処理することが妥当と考えられます。当該帳簿原価に配賦された部分を、建設分担関連費といいます。

(b)総係費

建設に係る共通的な諸経費であり、各資産に個別的に賦課することが妥当でないような費用を総係費といい、例えば工事現場の建設事務所支出などが挙げられます。総係費は、工事が完了したときに、各資産の帳簿価額に配賦されます。

③取得原価=帳簿原価-工事費負担金等

帳簿原価から工事費負担金等を控除した金額が取得原価として貸借対照表に計上されます。電力会社やガス会社は、公共の利益を図る目的の事業を営むことから、需要者に供給約款に基づき事業に必要な設備を設けるための工事費を負担してもらう場合があります。工事費負担金等とは、このように需要者から受け取る金銭等をいいます。工事費負担金等は帳簿原価から控除されることとなり、減価償却は、この取得原価を対象として行われます。

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