1.はじめに

電気事業とは、エネルギーである電気を生産(発電)、送電し、販売する事業と定義することができます。電気事業のビジネスの特徴および経営環境について以下の4回に分けて解説します。

  1. 第1回:電気事業とは
  2. 第2回:電気事業ビジネスの特徴と流れ
  3. 第3回:電気事業の会計処理の特徴
  4. 第4回:特殊な会計処理

2.電気事業とは

わが国の電気事業(者)の概要は図表1のようになります。

【図表1】(出典:資源エネルギー庁「我が国の電気事業制度について」ウェブサイト)

(※画像をクリックすると拡大します。)

(1)電気事業(者)の種類

電気事業は、電気事業法により事業の運営が規制されるとともに、電気事業を営む者は経済産業大臣の許可を受けなければならないとされており(電気事業法第3条)、その事業および事業者の種類は次のように規定されています。

電気事業法(以下、事業法)とは、電気事業に関する法律です。その目的は、電気事業の運営を適正かつ合理的ならしめることによって、電気の使用者の利益を保護し、および電気事業の健全な発達を図るとともに、電気工作物の工事、維持および運用を規制することによって、公共の安全を確保し、および環境の保全を図ることとされています。電気事業者はこの法律に基づいて事業を営むこととなります。

①一般電気事業者

一般電気事業者とは、一般の需要に応じて電気を供給する者をいいます(事業法第2条第1項1~2号)。いわゆる電力会社、すなわち北海道・東北・東京・中部・北陸・関西・中国・四国・九州・沖縄の10電力がこれに該当します。一般需要家はこの一般電気事業者から電気を購入します。本稿は、主にこの一般電気事業者を想定した解説をします。

②卸電気事業者

卸電気事業者とは、一般電気事業者に電気を供給する事業者で、かつ、経済産業省令で定める要件である発電出力200万キロワットを超える発電設備を有する者をいいます(事業法第2条第1項第3~4号)。電源開発(株)・日本原子力発電(株)に加え、みなし卸電気事業者がこれに該当します。

※みなし卸電気事業者
平成7年電気事業法改正において、卸電気事業者に出力規模要件が付け加えられましたが、改正前に卸電気事業者であった者は、平成22年まで引き続き卸電気事業者として取り扱われる経過措置が設けられています。これをみなし卸電気事業者といいます。なお、経過措置期間終了後、みなし卸電気事業者は卸供給事業者に分類されます。

③特定電気事業者

特定電気事業者とは、特定の供給地点の需要に応じて電気を供給する者をいいます(事業法第2条第1項第5~6号)。例えば、大型ビル群を対象とした電力の小売供給業者などがこれに該当します。

④特定規模電気事業者(PPS:Power Producer and Supplier)

特定規模電気事業者とは、電気の使用者の一定規模の需要であって経済産業省令で定める要件に該当するもの(以下、特定規模需要)に応ずる電気の供給を行う事業であって、一般電気事業者がその供給区域以外の地域における特定規模需要に応じ他の一般電気事業者が維持し、および運用する電線路を介して行う者ならびに一般電気事業者以外の者が行う者をいいます(事業法第2条第1項第7~8号)。これは、例えば工場や大規模オフィスビルなど、大口需要家に対して電気を供給する者をいい、いわゆる電力自由化による小売自由化部門への新規参入者が該当します。なお、PPSは電気事業者に含まれますが、事業の一部については事業法の規制を受けません。

(参考)卸供給事業者(IPP:Independent Power Producer)
一般事業者に電気を供給する事業者で、かつ、一定量を超える供給契約を一般電気事業者と交わしている者(卸電気事業者に該当する者を除く)をいいます(事業法第2条第1項第11~12号)。

(2)電力市場の種類

①規制部門

一般電気事業者のみが電気を供給する市場をいいます。小口の一般需要家は、この規制部門において一般電気事業者から電気を購入します。規制部門においては、独占的地位にある一般電気事業者が不当に高い料金を設定しないよう、事業法において電気料金の設定方法が規制されています。

②自由化部門

一般電気事業者に加えて特定規模電気事業者も電気を供給する市場をいいます。工場など大口需要家は、この自由化部門において一般電気事業者または特定規模電気事業者から電気を購入します。自由化部門においては、競争原理を取り入れてコスト低減を図るよう、電気料金を自由に設定することができます。

※電力自由化
平成7年の電気事業法改正以降、段階的に電力自由化の範囲が拡大されてきています。現在では、50キロワットを超える需要家が自由化の対象となっています。

(3)電気事業(者)の財務報告

PPSを除く電気事業者(一般・卸・特定)については、その会計に事業法第35条の規定に基づき定められた電気事業会計規則(以下、規則)が適用され、経済産業省令で定めるところにより毎事業年度終了後、財務諸表を経済産業大臣に提出しなければならないとされています(事業法第34条第2項)。

電気事業

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