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有形固定資産

第1回:有形固定資産の概要

2016.11.28
新日本有限責任監査法人 公認会計士 蛇谷 光生
新日本有限責任監査法人 公認会計士 高野 昭二

1.はじめに

【ポイント】
この解説シリーズでは、有形固定資産の取得・減価償却・除売却・その他の個別論点について解説していきます。

固定資産会計については、国際的な会計基準とのコンバージェンスを図るために、固定資産の減損に係る会計基準(2002年)、リース取引に関する会計基準の改正(2007年)、資産除去債務に関する会計基準(2008年)、賃貸等不動産の時価等の開示に関する会計基準(2008年)とそれぞれ公表されてきました。

これらの会計基準については解説シリーズにおいても取り上げてきましたが、固定資産の基本的な論点である取得、減価償却、除売却については解説シリーズで取り上げていませんでした。会計上は、連続意見書第三「有形固定資産の減価償却について」(1960年)、監査・保証実務委員会実務指針第81 号「減価償却に関する当面の監査上の取扱い」(2007年)等において固定資産の取得原価や減価償却の概要について記載がありますが、具体的な耐用年数等の定め等はなく、実務上は法人税法の規定に準じて各社の実態に合わせて見積もった会計処理が行われているのが現状です。

上記を受けて、この解説シリーズでは、固定資産会計のうち有形固定資産の取得・減価償却・除売却・その他の個別論点について解説していきます。

(固定資産会計の分類)
  会計論点 企業会計ナビの解説箇所
固定資産会計 有形固定資産 取得
減価償却
修繕
除売却
土地評価差額金
圧縮記帳等
不動産の流動化
当解説シリーズのテーマ
リース
資産除去債務
【解説シリーズ】リース
【解説シリーズ】資産除去債務
無形固定資産 ソフトウェア 【解説シリーズ】無形資産・ソフトウェア
投資その他の資産 賃貸等不動産
(評価・開示等)
【解説シリーズ】賃貸等不動産
共通の個別論点 減損 【解説シリーズ】減損会計

2.有形固定資産の概要

(1) 有形固定資産の範囲・分類

【ポイント】
有形固定資産とは、物理的な形態を持ち、1年を超える長期にわたり利用される事業用資産であり、原則として営業の用に供されるものに限られます。

有形固定資産には、次のような資産が含まれます。

(有形固定資産の範囲)
No. 種類 備考
建物及び付属設備 建物には、事務所用、店舗用などの建物本体が含まれます。
付属設備には、電気設備、冷暖房設備、ガス設備などが含まれます。
構築物 構築物には、トンネル、塀、ドック、橋、岸壁、焼却炉、用水池、堤防、防波堤、上下水道などが含まれます。
機械及び装置 工場等に設置される様々な製造機械設備が対象となります。また、機械式駐車場設備も機械装置に含まれます。
船舶及び水上運搬具 漁船やモーターボート、タンカーが含まれます。
車両及び陸上運搬具 一般的な自動車のほか、鉄道車両や航空機が含まれます。
工具器具備品 工具には金型や検査工具等が含まれ、器具及び備品には社内で使用する机、いす、パソコン等のほか、看板などが含まれます。
土地 工場及び事務所の事業用敷地のほか、社宅敷地、運動場等の事業に付属する土地も含まれます。
リース資産 ファイナンス・リース取引により借りているリース物件が該当します。
建設仮勘定 設備の建設のために支出した手付金や前渡金、建設のために取得した機械や資材などが含まれます。
その他 その他の有形資産で流動資産又は投資たる資産に属しないものが該当します。

また、有形固定資産は償却資産、非償却資産、減耗性資産に分類されます。

(有形固定資産の分類)
分類 内容
償却資産 償却資産は、使用や時の経過により価値が減少するものです。取得原価は、減価償却を通じて、耐用年数にわたり費用配分されます。 建物、建物付属設備、構築物、機械装置、車両運搬具、工具器具備品など
非償却資産 非償却資産は、使用や時の経過を通じて価値が減少しないものです。減損処理を除き、原則として費用配分は行われません。 土地、骨董品など
減耗性資産 減耗性資産は、採取されるにつれて枯渇していく天然資源です。 鉱山、油田、山林など

(2) 有形固定資産の主な論点

有形固定資産の取引は、取得から除却までの一連の過程をたどります。有形固定資産の主な論点としては、①取得原価をどのように決定するか、②その取得原価を各年度に費用配分する減価償却をどのように行うか、③修理・改良等についてどのように処理するか、④除却又は売却した場合にどのように処理するかが挙げられます。
次章からは、それぞれの論点を順に解説していきます。

(図1-1) 有形固定資産の主な論点

(下の図をクリックすると拡大します)


有形固定資産



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