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ストック・オプション

第6回:未公開企業における取り扱い

2007.12.18
新日本有限責任監査法人 公認会計士 山岸聡

1.ストック・オプション等に関する会計基準の適用会社

ストック・オプション等に関する会計基準は一般に公正妥当と認められる会計基準であるため、原則としてすべての会社に適用されます。従って、公開企業のみならず未公開企業においても、ストック・オプションを付与した場合には、当該会計基準が適用されることになります。

(注)「公開企業」とは、株式を証券取引所に上場している企業またはその株式が組織された店頭市場に登録されている企業をいい、「未公開企業」とは、公開企業以外の企業をいいます(会計基準第2項(14))。ここでは、企業の株式がグリーン・シート市場において取引されている場合は、公開企業には該当しません。

2.未公開企業の公正な評価単価の計算

ストック・オプション等に関する会計基準は、公開企業のみならず、未公開企業も含めた全ての会社に適用されますが、未公開企業では、評価単価の計算基礎となる自社の株価情報が収集不可能であるため、ストック・オプションの公正な評価額について、適切な費用計上額の算定の基礎とするだけの信頼性をもって見積ることが困難である場合が多いと考えられます。

そこで、未公開企業では、一般投資家が存在しないことも考慮し、ストック・オプションの公正な評価単価に代えて、その単位当たりの本源的価値の見積りによることも認められることとしました。ストック・オプションの本源的価値とは、算定時点においてストック・オプションが権利行使されると仮定した場合の価値であり、以下の算式によって計算されます(会計基準第13項)。

表

ここで、ストック・オプションは、一般に、将来の株価の上昇を期待して従業員等に付与されるものであり、行使価格は付与時点の株式の評価額よりも高く設定されます。

従って、原資産である自社株式の評価額よりも低い行使価格を設定した場合を除き、付与時点におけるストック・オプションの本源的価値は、ゼロ評価(本源的価値の算定結果がマイナスの場合は、ゼロとして評価)される場合が多いと考えられます。

3.本源的価値の見直しと注記

ストック・オプションの本源的価値は、公開企業における公正な評価単価と同様に、付与日時点で計算され、その後の見直しは行われません。

ただし、ストック・オプションの公正な評価額を本源的価値により計算した場合には、以下の注記が必要となります(会計基準第16項(5)、適用指針第31項、第73項)。

  • 会計期間末における本源的価値の合計額
  • 各会計期間中に権利行使されたストック・オプションの権利行使日における本源的価値の合計額
  • 自社の株式の評価方法

ここでは、各会計期間末及び権利行使日における本源的価値の算定の基礎となる株式価値の評価方法については、その開示を条件として、その時点において企業価値を最もよく表し得ると考えられる方法を採用すればよく、必ずしも評価方法の継続性は求められていません(適用指針第61項)。

4.公開直後の企業の取り扱い

公開直後の企業では、ストック・オプションの公正な評価単価を見積もる際に、過去の株価の推移など、過去の一定期間の情報を利用するとしても、入手した情報の信頼性(株価の参照期間が短く、株価の乱高下も多いため、株価変動性が非常に大きくなる)に疑問があるとの考え方があります。

しかし、ストック・オプション等に関する会計基準では、公開直後の企業にあっても、本源的価値による計算は認められず、観察される株価情報に基づき公正な評価単価を計算することが要求されています(会計基準第63項)。

公正な評価単価を計算する場合には、可能な範囲で収集される自社の株価情報を基礎としながらも、当該企業の類似の株式オプションの市場価格から株価変動性を逆算する方法や、類似企業の株価変動性を参考にすることで、不足する情報を補足するとしています(適用指針第12項、第47項)。


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