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退職給付(平成10年会計基準)

第3回:年金資産と期待運用収益

2010.09.28
新日本有限責任監査法人 公認会計士 井澤依子

1.年金資産・退職給付信託

年金資産とは、企業年金制度に基づき退職給付に充てるため積み立てられている資産をいい(退職給付会計基準一2)、厚生年金基金制度および適格退職年金制度において保有する資産等がこれに該当します(退職給付会計実務指針6項)。

(1)年金資産と見なされるための要件

特定の退職給付制度のために、その制度について企業と従業員との契約(退職金規程等)に基づき、以下のすべての要件を満たした特定の資産は年金資産と見なされます(退職給付会計実務指針6項)。

  • 退職給付以外に使用できないこと
  • 事業主および事業主の債権者から法的に分離されていること
  • 積立超過分を除き、事業主への返還、事業主からの解約・目的外の払い出し等、事業主の受給者等に対する詐害的行為が禁止されていること
  • 資産を事業主の資産と交換できないこと

(2)信託を用いる場合の年金資産

年金資産として退職給付(退職一時金および退職年金)目的の信託(以下、退職給付信託)を用いることができます。
退職給付信託が年金資産として認められるためには、以下のすべての要件を満たす必要があります(退職給付会計実務指針7項)。

  • 当該信託が退職給付に充てられるものであることが退職金規程等により確認できること
  • 当該信託は信託財産を退職給付に充てることに限定した他益信託であること
  • 当該信託は事業主から法的に分離されており、信託財産の事業主への返還および受益者に対する詐害行為が禁止されていること
  • 信託財産の管理・運用・処分については、受託者が信託契約に基づいて行うこと

(3)年金資産の評価

年金資産の額は、期末における公正な評価額により計算します(退職給付会計基準二3)。
公正な評価額とは、資産取引に関し十分な知識と情報を有する売り手と買い手が自発的に相対取引するときの価格によって資産を評価した額をいいます(退職給付会計実務指針9項)。

(4)年金資産が企業年金制度に係る退職給付債務を超える場合の処理

年金資産については、その額が企業年金制度に係る退職給付債務に当該企業年金制度に係る未認識過去勤務債務および未認識数理計算上の差異を加減した額を超える場合には、前払年金費用として処理します(退職給付会計基準二1)。
複数の企業年金制度、例えば退職一時金制度と企業年金制度を持っている場合、企業年金制度において積立超過となり前払年金費用が生じても、退職一時金制度における退職給付引当金と相殺することはできません(退職給付会計基準注解(注1)2)。この場合、貸借対照表上、前払年金費用と退職給付引当金が両建計上されることになります。

2.期待運用収益

期待運用収益は、期首の年金資産額について合理的に期待される収益額をいい(退職給付会計実務指針12項)、期首年金資産に期待運用収益率を乗じて計算されます。

期待運用収益=期首年金資産×期待運用収益率

退職給付(平成10年会計基準)

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