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関連当事者の開示に関する会計基準の概要

第4回:対象取引の重要性

2009.01.16
新日本有限責任監査法人 公認会計士 七海健太郎
新日本有限責任監査法人 公認会計士 中村崇
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第2回で記載した関連当事者の開示フローに沿って、第4回では開示対象取引の重要性について解説します。なお、文中の意見にかかわる部分は筆者の私見であることをあらかじめお断りしておきます。

1.関連当事者との取引の開示における重要性

関連当事者との取引のうち、重要な取引が開示対象とされます。重要性の判断については、関連当事者の開示に関する会計基準の適用指針(以下、適用指針)第13項から第18項および第20項に基準が記載されています。この数値基準は、開示の公正性の観点などから定められているものと考えられます。

関連当事者との取引の開示に関する重要性の判断基準は、関連当事者を分類した四つのグループごとに、取引の内容に応じて、定められています。関連当事者との取引の開示が必要かどうかの判断は、関連当事者の所属するグループの判定、関連当事者と行った取引の分類、というプロセスを経るといえます。

2.関連当事者の分類

関連当事者を、法人または個人の別、支配または被支配の別、影響力の度合などに基づき、四つのグループに区分します。財務諸表作成会社の上位に位置する法人のグループである「親会社及び法人主要株主等」、財務諸表作成会社の下位に位置する法人のグループである「関連会社等」、財務諸表作成会社の上位に位置する法人の子会社のグループである「兄弟会社等」、財務諸表作成会社の役員・個人主要株主等のグループである「役員及び個人主要株主等」の四つのグループです(適用指針第13項)。これらのグループはさらに、法人グループと個人グループにカテゴライズすることができます。

法人グループ 親会社及び法人主要株主等、関連会社等、兄弟会社等
個人グループ 役員及び個人主要株主等

関連当事者の開示に関する会計基準(以下、会計基準)の第5項(3)に明示されている関連当事者を各グループに分類すると図1のとおりとなります。

図1:関連当事者のグループ分け

グループ 属する関連当事者
親会社
及び法人主要株主等
① 親会社
④ その他の関係会社
⑥ 主要株主(法人) 等
関連会社等 ② 子会社
⑤ 関連会社
⑪ 従業員のための企業年金 等
兄弟会社等 ③ 親会社の子会社
④ その他の関係会社の子会社
⑩-6 主要株主(法人)が自己の計算において過半を保有している会社 等
役員
及び個人主要株主等
⑥ 主要株主(個人)
⑦ 役員
⑧ 親会社の役員
⑨ 重要な子会社の役員
⑩-6・7・8・9 ⑥⑦⑧⑨が自己の計算において過半を保有している会社 等

各グループに含まれる関連当事者の詳細および関連当事者間の関係については第2回掲載の図3:関連当事者の範囲(PDF,179KB)をご参照ください。⑪従業員のための企業年金が、企業集団を構成する概念である子会社、関連会社と同じグループであることに違和感を覚える方もいるかもしれませんが、財務諸表作成会社の影響を受ける者として、同じ関連会社等のグループに分類されているものと考えられます。

個人グループのうち、役員もしくはその近親者(⑦⑧⑨)が、他の法人の代表者を兼務しており(⑩の会社での兼務は除く)、当該役員等がその法人の代表者として会社と取引する場合には、法人グループの場合の取引に属するものとして取り扱われます(適用指針第16項)。役員の代表者の兼務が、関連当事者に該当する関係会社等(親会社及び法人主要株主等、関連会社等、兄弟会社等)に限られなくなったことは監査委員会報告第62号「関連当事者との取引に係る情報の開示に関する監査上の取扱い」からの変更点です。


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