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関連当事者の開示に関する会計基準の概要

第1回:従来からの変更点

2008.11.13
新日本有限責任監査法人 公認会計士 七海健太郎
新日本有限責任監査法人 公認会計士 中村崇
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1.はじめに

「関連当事者の開示に関する会計基準」(以下、本会計基準)およびその適用指針が企業会計基準委員会から平成18年10月17日に公表されました。平成20年4月1日以後開始する連結会計年度および事業年度から適用(早期適用も可)されます。

関連当事者の開示はこれまで、監査対象とはなっていたものの、会計基準に基づくものではなく証券取引法上の規則に基づいて行われてきました。米国会計基準や国際会計基準などでは会計基準の一つとして位置付けられており、また、関連当事者の定義や開示する取引範囲などにも差異が見られる状況であったため、国際的なコンバージェンスの観点から、会計基準として整備されたものです。

今回のシリーズでは従来との変更点を中心に解説します。第1回である本稿で、従来との変更点を集約して解説し、第2回以降は、変更のない個所も含め項目ごとに解説します。

なお、文中意見にかかわる部分は私見であることをあらかじめお断りしておきます。

2.従来との主な変更点

関連当事者の開示について、従来の証券取引法上の規則に基づく開示との主な変更点は以下のとおりです。

  1. (1)会計基準として整備されたこと
  2. (2)関連当事者の範囲の拡大
  3. (3)連結子会社と関連当事者との取引が開示対象となったこと
  4. (4)一般的な取引条件で行われた旨を記載する場合に、一定の条件が設けられたこと
  5. (5)貸倒引当金繰入額等が開示対象となったこと
  6. (6)法人グループの特別損益項目と個人グループの重要性の判断基準が1百万円から10百万円に緩められたこと
  7. (7)関連当事者の存在に関する開示が新たに開示項目として追加されたこと

この中でも(2)関連当事者の範囲の拡大、(3)連結子会社と関連当事者との取引については、事前準備が特に必要な項目です。

以下、各変更点についての主な内容と留意事項について解説します。

3.関連当事者の範囲

本会計基準では以下の者が追加され、関連当事者の範囲が拡大されました(会計基準第5項(3))。

  1. (1)親会社の役員およびその近親者、これらの者が議決権の過半数を自己の計算において所有している会社およびその子会社
  2. (2)重要な子会社の役員およびその近親者、これらの者が議決権の過半数を自己の計算において所有している会社およびその子会社
  3. (3)従業員のための企業年金(企業年金と会社の間で掛金の拠出以外の重要な取引を行う場合に限る)

連結財務諸表上は連結子会社を除き、個別財務諸表上は重要な子会社の役員およびその近親者ならびにこれらの者が議決権の過半数を自己の計算において所有している会社およびその子会社は対象から除かれます。

なお、関連当事者の範囲は形式的に判定するのではなく、実質的に判定することが明示されています(会計基準第17項)。

関連当事者の範囲について、新たに開示対象となる関連当事者を追加し、会社との関係から本適用指針に記載されている四つのグループに区分し、要約すると図1(PDF,189KB)のとおりとなります。

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