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四半期

第5回:四半期連結財務諸表の会計処理および四半期財務諸表の表示

2011.04.22
新日本有限責任監査法人 公認会計士 山岸聡

四半期連結財務諸表の会計処理

  • 子会社の取得・売却等における四半期決算日のみなし処理(基準16、52)
  • 連結会社間の債権債務の差異調整の省略(適用指針28)
  • 連結会社間取引の合理的な方法に基づく相殺消去(適用指針29)
  • 未実現利益消去における棚卸資産の金額および損益率の合理的な見積もり等の利用(適用指針30)

1. 子会社のみなし取得日・みなし売却日の取り扱い

四半期連結財務諸表の作成においても、原則として、年度の会計処理の原則および手続きに準ずるとされています(基準15)。なお、子会社の取得日・売却日におけるみなし日には、四半期決算日を含みますが、取得と判定される企業結合の場合には「みなし取得日」は、企業結合の合意公表日以降となることに注意が必要です。

2. 連結会社間の債権債務および取引の相殺消去における簡便的な会計処理

連結会社相互間の債権債務の額に差異がある場合で、当該差異の金額に重要性が乏しいときは、差異の調整を行わずに、債権と債務を相殺消去することができます。これは、中間連結財務諸表作成基準注解でも認められている方法です。
さらに、四半期会計基準では、連結会社相互間の取引金額に差異がある場合で、当該差異の金額に重要性が乏しいときは、親会社の金額に合わせるなどの合理的な方法に基づき相殺消去することが認められています。

3. 未実現損益の消去における簡便的な会計処理

結会社相互間の取引によって取得した棚卸資産に含まれる未実現利益の消去に当たっては、棚卸資産全体に占める連結会社間の取引による棚卸資産の金額および当該取引に係る損益率を合理的に見積もって計算することができます。
また、取引状況に大きな変化がない場合には、前年度および直前の四半期で使用した損益率や合理的な予算制度に基づいて計算された損益率を使用して計算することも認められています。

四半期財務諸表の表示

  • 科目の集約記載の容認(基準17)
  • 年度の財務諸表の表示区分との整合性を考慮(基準18)

1. 科目の集約記載

四半期財務諸表の表示は、原則的には、年度の財務諸表に準じますが、科目の集約記載が認められています。科目の集約記載に当たっては、質的および金額的な重要性を考慮することが必要とされています。
なお、科目表示における重要性や様式について定める四半期連結財務諸表規則(以下、四半期連結財規)および四半期財務諸表等規則(以下、四半期財規)が公布されており、次の点に留意が必要です。

(1) 連結貸借対照表

① 商品、製品、半製品、原材料、仕掛品については、四半期連結財務諸表では、商品及び製品、(半製品を含む)、仕掛品、原材料及び貯蔵品に区分掲記することが求められています(四半期連結財規第35条)。

② 未払法人税等
未払法人税等は、原則的には区分掲記が求められ、総資産の100分の1以下の場合には一括記載ができるとされています(四半期連結財規第49条)。

(2)連結損益計算書

連結損益計算書の販管費の内訳について、引当金の繰入額と販管費の100分の20を超えるものは独立掲記が求められています。営業外収益、営業外費用、特別損益についても、基本的にそれぞれの合計額の100分の20を超えるものは独立掲記が必要です。現在の連結財務諸表および中間連結財務諸表では、100分の10が基準となっていることと比べると、簡便な開示が認められています(四半期連結財規第69条、第71条等)。

(3)キャッシュ・フロー計算書 (2011年4月1日以後開始する連結会計年度及び事業年度の第1四半期会計期間から、第1・第3四半期の開示は省略可能)

科目の集約および 「小計」 の記載の省略が認められています。

(キャッシュ・フロー計算書における 「小計」 の役割)

営業活動によるキャッシュ・フローは、営業に直接関係するキャッシュ・フロー(商品及び役務の販売による収入や購入による支出など)と営業に間接的に関係するあるいは活動区分が困難なキャッシュ・フロー(法人税や損害賠償金の支払いなど)から構成されることから、場合によっては営業活動によるキャッシュ・フローを正常に反映できない可能性があります。

このため、キャッシュ・フロー計算書においては、営業活動によるキャッシュ・フローの中に、営業に直接関係するキャッシュ・フロー項目の「小計」を設けることにより、営業活動によるキャッシュ・フローの明瞭性の確保を図っています。

2. 年度の財務諸表の表示区分との整合性

四半期財務諸表の表示区分は、四半期財務諸表単独で判断するという考え方もありますが、会計基準は、年度の財務諸表の表示区分との整合性を考慮する考え方を採用しています。ただし、金額的重要性により表示区分が変わる場合には、期中での表示区分の変更は容認されており(基準54)、前の四半期累計期間において特別損益として表示された科目が、後の四半期累計期間において営業外損益に表示されることなどが考えられます。
また、注記を行う上での重要性は、年度において注記される事項との整合性を考慮し判断することができるとされています(基準55)。


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