役員報酬の開示分析 第5回:コーポレート・ガバナンスの状況の記載内容の分析

2017年12月20日
カテゴリー 解説シリーズ

公認会計士 大竹 勇輝

Question 

コーポレート・ガバナンスの状況の「役員の報酬の額又はその算定方法の決定に関する方針の内容及び決定方法の記載内容」にどのような内容が記載されているのか知りたい。

Answer 

【調査範囲】

  • 調査日:平成29年9月
  • 調査対象期間:平成29年3月31日
  • 調査対象書類:有価証券報告書
  • 調査対象会社:平成29年4月1日現在の日経株価指数300に採用されている会社のうち、以下の条件に該当する186社
    ① 3月31日決算
    ② 日本基準を採用

【調査結果】

コーポレート・ガバナンスの状況の「役員の報酬の額又はその算定方法の決定に関する方針の内容及び決定方法の記載内容」の分析結果は<図表1>のとおりである。

<図表1>役員の報酬の額又はその算定方法の決定に関する方針の内容及び決定方法の記載内容

方針の内容及び
決定方法の有無
記載内容
会社数(※1)
なし

5
あり 役員の職責や業績等を勘案して決定している旨のみ 37
株主総会等で決定された報酬限度額又は各報酬についての限度額等を明示(※2) 102
業績を加味して報酬を決定している場合にどのような業績を評価指数としているかを明示 57
具体的な算定方法を明示(※3) 30
報酬の決定に関する基本方針や各報酬についての目的を明示(※4) 84

(※1) 複数の記載内容に該当するケースでは、それぞれ1社としてカウントしている。

(※2) 有価証券報告書において「役員区分ごとの報酬等の総額,報酬等の種類別の総額及び対象となる役員の数」の図表の注書きとして記載している会社も含む。

(※3) 業績連動等としている場合に、限度額の算定方法や個人別の業績連動報酬の算定方法を具体的に明示している場合。

(※4) 基本方針として明示しているケースのみならず、<図表2>の2017年3月期の日清食品ホールディングス株式会社のように報酬についての目的を明示しているケースも含む。

<図表2>2017年3月期の日清食品ホールディングス株式会社の開示内容

取締役の役位や役割の大きさ等に応じて支給される「基本報酬」と、中長期的に継続した業績向上と企業価値向上への貢献意欲や士気を高めることを目的とした「株式報酬型ストック・オプション」で構成しております。

<図表3>2017年3月期のオリンパス株式会社の短期インセンティブ制度の取締役賞与の支給算定式開示内容

総支給額=(平成29年度連結営業利益(その他利益およびその他費用を除く)-300億円)× 0.2706%×(対象となる取締役の役位ポイントの総和 ÷ 663 )(1万円未満四捨五入)

日経300採用会社のうち97%超の会社が役員の報酬の額又はその算定方法の決定に関する方針の内容及び決定方法を定めている。

また、コーポレートガバナンス・コードの補充原則3-1①において、役員報酬の決定方針等の具体的な開示が求められたことを受けて、「役員の職責や業績等を勘案して決定している旨のみ」を開示している会社は、20%未満となっており、80%を超える会社が、「株主総会等で決定された報酬限度額または各報酬についての限度額等」、「業績を加味して報酬を決定している場合にどのような業績を評価指数としているか」又は「報酬の決定に関する基本方針や各報酬についての目的」を明示している。

一方、業績連動報酬等について、例えば、<図表3>の2017年3月期のオリンパス株式会社のように具体的な算定方法を明示している会社は、30社にとどまっている。コーポレートガバナンス・コードの導入を反映して、報酬の決定に関する方針や株主総会等で決定された限度額等を明示する会社が半数を超える一方、各報酬の具体的な算定方法まで記載する会社は、全体の16%程度となっている。

(旬刊経理情報(中央経済社) 平成29年11月1日増大号 No.1494「役員報酬の開示分析」を一部修正)

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