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平成28年3月期 有報開示事例分析

第2回:マイナス金利

2016.11.04
新日本有限責任監査法人 公認会計士 新井 篤

Question

平成28年3月期決算で話題になったマイナス金利の開示状況は?

Answer

【調査範囲】
調査日:平成28年8月
調査対象期間:平成28年3月31日
調査対象書類:有価証券報告書の以下の項目
調査対象会社:平成28年4月1日現在の日経株価指数300のうち、以下の条件に該当する198社
①3月31日決算
②平成28年6月30日までに有報を提出
③日本基準を採用
④連結財務諸表作成会社

【調査結果】
「マイナス金利付き量的・質的金融緩和」が導入され、平成28年3月31日時点では10年物の長期国債でも国債金利がマイナスとなった。

企業会計基準委員会(ASBJ)は、退職給付債務の計算における割引率がマイナスとなった場合の取扱いについて議論を行い、「第331回企業会計基準委員会議事 議事概要別紙(審議事項(4)マイナス金利に関する会計上の論点への対応について)」を平成28年3月9日に公表した。そこでは、「平成28年3月決算においては、割引率として用いる利回りについて、マイナスとなっている利回りをそのまま利用する方法とゼロを下限とする方法のいずれの方法を用いても、現時点では妨げられないものと考えられる」という考えが示され、マイナス金利の取扱いについては各社で判断することとなった。

そこで、主に国債利回りを基礎に割引率等を決定する注記項目について、割引率等がマイナスやゼロとなっている事例を調査した。

(図表1)で示したとおり、各注記項目でマイナス金利を使用している事例が検出された。マイナス金利を使用していることについて脚注等で追加説明をしている事例は、本稿の分析対象会社からは検出されなかった。一方で、分析対象外の会社においては、実際の利回り等はマイナスであるが、計算上はゼロを採用している旨を明示している事例があった。

(図表1)マイナス金利・ゼロ金利を適用した会社数
調査項目 使用された値の最小値 合計
マイナス ゼロ ゼロ超 不明
退職給付 (割引率) 6 19 168 0 193
資産除去債務 (割引率) 1 10 31 8 50
ストック・オプション (無リスク利子率) 6 2 60 0 68

(*1)開示された値にマイナスであることを示す記号(「△」や「-」)が付されている場合に、マイナス金利を使用していると判断した。
(*2)複数の率や使用した率のレンジが開示されている場合には、開示されている値の中で最低の率を調査した。
(*3)「不明」とは、例えば「耐用年数に応じた国債利回り」等と文章で開示されていて、数値が記載されていない場合等を示している。
(*4)合計欄に記載している会社数は、分析対象会社のうち、当該注記を記載している会社数を示している。

(旬刊経理情報(中央経済社) 平成28年9月20日号 No.1457 「平成28年3月期『有報』分析」を一部修正)

平成28年3月期 有報開示事例分析

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