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平成27年3月期 有報開示事例分析

第4回:企業結合会計基準等の早期適用会社と会計方針の変更をした場合の適用初年度での経過措置の取扱方法

2015.11.30
新日本有限責任監査法人 公認会計士 清宮 悠太

Question

企業結合会計基準等の早期適用会社と会計方針の変更をした場合の適用初年度での経過措置の取扱方法は?

Answer

(1) 企業結合会計基準等の早期適用会社の状況

【調査範囲】
調査日:平成27年8月
調査対象期間:平成27年3月31日
調査対象書類:有価証券報告書
調査対象会社:平成27年3月31日決算の会社2,720社

【調査結果】
調査対象会社のうち、改正後企業結合会計基準等を早期適用した会社は76社であった。
早期適用した会社76社を業種別に分類した結果は、(図表1)のとおりであり、情報・通信業の早期適用会社数(10社)が最も多く、次にサービス業(9社)が続いた。

(図表1) 業種別の改正企業結合会計基準等の早期適用会社数

業種 会社数
情報・通信業 10
サービス業 9(1)
銀行業 8(4)
機械 6
電気機器 5
輸送用機器 5
卸売業 4
化学 4
小売業 3
食料品 3
陸運業 3(1)
証券、商品先物取引業 3(2)
保険業 3(2)
空運業 2
その他金融業 1
金属製品 1
建設業 1
精密機器 1
繊維製品 1
鉄鋼 1
電気・ガス業 1
不動産業 1
合計 (*)76(10)
  • (*) 76社には、上場会社で有価証券報告書を提出している会社66社に加えて、非上場会社で有価証券報告書を提出している会社10社も含んでいる。
    なお、かっこ書きは非上場会社の数(内数)である。

また、「会計方針の変更をした場合の適用初年度での経過措置の取扱い方法」および「影響額の記載の有無」の観点から分析した結果は、図表2のとおりであった。
この結果、適用初年度の期首から将来にわたって適用する方法を採用した会社数(59社)が遡及適用した場合の影響額を当期首の剰余金に加減する方法を採用した会社数(17社)を上回った。いずれの方法においても、影響額を記載した会社数が最も多かった。

(図表2) 会計方針の変更をした場合の適用初年度での経過措置の取扱方法

区分 影響額の記載の有無 会社数
遡及適用した場合の影響額を当期首の剰余金に加減する方法
(*1)
影響額の記載あり(*3) 14
影響が軽微の記載 2
影響がない旨の記載あり 1
小計 17
適用初年度の期首から将来にわたって適用する方法
(*2)
影響額の記載あり(*3) 36
影響が軽微の記載 18
影響がない旨の記載あり 5
小計 59
合計 76
  • (*1)「遡及適用した場合の影響額を当期首の剰余金に加減する方法を採用している」旨の明示はないものの、連結株主資本等変動計算書から同方法によっていると推定される会社1社を含む。
  • (*2)「適用初年度の期首から将来にわたって適用する方法を採用している」旨の明示はないものの、連結株主資本等変動計算書から同方法によっていると推定される会社1社を含む。
  • (*3)「会計方針の変更」または「追加情報」に、連結貸借対照表・連結損益計算書・連結株主資本等変動計算書・連結キャッシュ・フロー計算書・1株当たり当期純利益または純資産額のうち、いずれか1つ以上の影響額を記載している場合に「影響額の記載あり」としている。

さらに、(図表2)の表で「影響額の記載あり」に分類した会社について、各連結財務諸表等の項目への影響額の記載の有無の観点から分析した結果は、(図表3)のとおりである。この中では、影響額の記載があった会社のうち、連結貸借対照表、連結株主資本等変動計算書、連結損益計算書、連結キャッシュ・フロー計算書、1株当たり情報等の項目別の影響額の記載状況について分析している。

(図表3) 会計方針の変更をした場合の適用初年度での経過措置の取扱方法ごとの各連結財務諸表項目への影響額の記載の有無

区分 影響額の記載の有無
(詳細)
連結貸借対照表または
連結株主資本等変動計算書への影響
連結損益計算書への影響 連結キャッシュ・フロー計算書への影響(*1) 1株当たり純利益または純資産額への影響(*2)
遡及適用した場合の影響額を当期首の剰余金に加減する方法 影響額の記載あり 14 11 0 7
影響が軽微の記載 0 2 0 3
影響がない旨の記載あり 0 1 0 1
影響額の記載なし 0 0 14 3
合計 14 14 14 14
適用初年度の期首から将来にわたって適用する方法 影響額の記載あり 30 23 1 20
影響が軽微の記載 0 10 0 11
影響額の記載なし 6 3 35 5
合計 36 36 36 36
  • (*1)CFの区分変更に関する記載のみの場合は、「影響額の記載なし」としている。
  • (*2)1株当たり情報の注記に記載している場合も含めている。

(2) 企業結合会計基準等の早期適用会社の事例紹介

改正後企業結合会計基準等を早期適用している事例①
~遡及適用した場合の影響額を当該期首の剰余金に加減する方法~

(企業結合に関する会計基準等の適用)
「企業結合に関する会計基準」(企業会計基準第21号 平成25年9月13日。以下「企業結合会計基準」という。)、「連結財務諸表に関する会計基準」(企業会計基準第22号 平成25年9月13日。以下「連結会計基準」という。)及び「事業分離等に関する会計基準」(企業会計基準第7号 平成25年9月13日。以下「事業分離等会計基準」という。)等が平成26年4月1日以後開始する連結会計年度の期首から適用できることになったことに伴い、当連結会計年度からこれらの会計基準等(ただし、連結会計基準第39項に掲げられた定めを除く。)を適用し、支配が継続している場合の子会社に対する当社の持分変動による差額を資本剰余金として計上するとともに、取得関連費用を発生した連結会計年度の費用として計上する方法に変更しております。また、当連結会計年度の期首以後実施される企業結合については、暫定的な会計処理の確定による取得原価の配分額の見直しを企業結合日の属する連結会計年度の連結財務諸表に反映させる方法に変更しております。
企業結合会計基準等の適用については、企業結合会計基準第58-2項(3)、連結会計基準第44-5項(3)及び事業分離等会計基準第57-4項(3)に定める経過的な取扱いに従っており、過去の期間のすべてに新たな会計方針を遡及適用した場合の当連結会計年度の期首時点の累積的影響額を資本剰余金及び利益剰余金に加減しております。
この結果、当連結会計年度の期首において、のれんが***百万円減少し、資本剰余金*百万円が増加するとともに、利益剰余金が***百万円減少しております。また、当連結会計年度の営業利益、経常利益がそれぞれ*百万円増加し、税金等調整前当期純利益が***百万円増加しております。
これにより、当連結会計年度の1株当たり純資産額は*円**銭減少し、1株当たり当期純利益金額は、**円**銭増加しております。

なお、セグメント情報に与える影響は軽微であります。

改正後企業結合会計基準等を早期適用している事例②
~適用初年度の期首から将来にわたって適用する方法~

(「企業結合に関する会計基準」等の適用)
 平成26年4月1日以後開始する連結会計年度の期首から、「企業結合に関する会計基準」(企業会計基準第21号 平成25年9月13日。以下「企業結合会計基準」という。)、「連結財務諸表に関する会計基準」(企業会計基準第22号 平成25年9月13日。以下「連結会計基準」という。)および「事業分離等に関する会計基準」(企業会計基準第7号 平成25年9月13日。以下「事業分離等会計基準」という。)等が適用できるようになったことに伴い、当連結会計年度よりこれらの会計基準等(ただし、連結会計基準第39項に掲げられた定めを除く。)を適用し、支配が継続している場合の子会社に対する当社の持分変動による差額を資本剰余金として計上するとともに、取得関連費用を発生した連結会計年度の費用として計上する方法に変更しております。また、当連結会計年度の期首以後実施される企業結合については、暫定的な会計処理の確定による取得原価の配分額の見直しを企業結合日の属する連結会計年度の連結財務諸表に反映させる方法に変更しております。
企業結合会計基準等の適用については、企業結合会計基準第58-2項(4)、連結会計基準第44-5項(4)および事業分離等会計基準第57-4項(4)に定める経過的な取扱いに従っており、当連結会計年度の期首時点から将来にわたって適用しております。
この結果、当連結会計年度末の資本剰余金が***百万円増加しております。当連結会計年度の営業利益、経常利益および税金等調整前当期純利益に与える影響は軽微であります。

なお、1株当たり純資産額は*.**円増加しております。

(旬刊経理情報(中央経済社) 平成27年9月20日号 No.1424 「平成27年3月期『有報』分析」を一部修正)

平成27年3月期 有報開示事例分析


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