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賃貸等不動産の時価等の開示に関する会計基準の概要

第3回:年度および会社法における開示

2010.03.09
(2013.10.21 更新)
新日本有限責任監査法人 公認会計士 中村崇

5.年度の財務諸表における注記事項

年度の財務諸表において、賃貸等不動産の時価等の開示として下記の4項目の注記が求められています。また、管理状況等に応じて、注記事項を用途別、地域別等に区分して開示することができます(会計基準第8項)。

①賃貸等不動産の概要

賃貸等不動産の概要としては、主な賃貸等不動産の内容、種類、場所を記載します(適用指針第9項)。管理状況等に応じた区分により開示を行う場合には、当該区分と関連付けて記載することが適当とされています(適用指針第24項)。

②賃貸等不動産の貸借対照表計上額および期中における主な変動

(ア)賃貸等不動産の貸借対照表計上額

貸借対照表計上額については、原則として、取得原価から減価償却累計額および減損損失累計額を控除した金額を記載します。

ただし、当期末における減価償却累計額および減損損失累計額を別途記載する場合には、取得原価をもって記載できます。この場合には、当期末における取得原価から減価償却累計額および減損損失累計額を控除した金額についても記載します(適用指針第10項(1) )。

貸借対照表計上額に資産除去債務が含まれている場合等、貸借対照表計上額と当期末における時価とが対応しない場合には、資産除去債務の金額を記載するなど、追加的な説明を行うことが適当とされています(適用指針第25項)。

(イ)期中における主な変動

期中の変動に関する注記は、必ずしも増加額と減少額を個別に記載する必要はありませんが、貸借対照表計上額の変動額に重要性がある場合にはその事由および金額を記載します(適用指針第10項(2) )。期中における変動には、取得、処分、償却、減損損失による変動に加え、販売用不動産との間の振替による変動も含まれます(適用指針第26項)。

③賃貸等不動産の当期末における時価およびその算定方法

当期末における時価は、賃貸等不動産の貸借対照表計上額と比較できるように記載します。時価およびその算定方法については、第2回にて解説したとおりです。

④賃貸等不動産に関する損益

当該注記は、賃貸等不動産に関する賃貸に係る損益、売却損益、減損損失およびその他の損益等を適切に区分して記載します。損益については総額で記載することもでき、賃貸費用は主な費目に区分して記載することができます。

損益に関する注記は、損益計算書における金額に基づいて記載しますが、管理会計上の数値に基づいて適切に算定した額その他の合理的な方法に基づく金額によって開示できます。連結財務諸表において注記する場合には、連結会社間の賃貸借取引を相殺消去した金額を注記します。

6.会社法の取り扱い

平成21年3月27日に改正された会社計算規則において、計算書類においても賃貸等不動産に関する注記が必要であることが明確化されました。

具体的な記載事項として、下記の2項目の注記が求められています(会社計算規則第110条第1項)。

  1. (1)賃貸等不動産の状況に関する事項
  2. (2)賃貸等不動産の時価に関する事項

計算書類においては、下記のような注記を行うものと考えられます。

1.賃貸等不動産の状況に関する事項

当社及び一部の子会社では、東京都その他の地域において、賃貸用の商業施設を有しております。

2.賃貸等不動産の時価に関する事項

(単位:百万円)
連結貸借対照表計上額 時価
××× ×××

(注1)連結貸借対照表計上額は、取得原価から減価償却累計額及び減損損失累計額を控除した金額であります。

(注2)当期末の時価は、主に「不動産鑑定評価基準」に基づいて自社で算定した金額(指標等を用いて調整を行ったものを含む。)であります。

上記のとおり、会社計算規則の注記事項は財務諸表と比べて概括的なものとされているため、各社の実情に応じて必要な開示を行うことになると考えられます。なお、時価の算定方法等に関しては、会社計算規則において具体的な規定はないため、会計慣行を斟酌(しんしゃく)し(会社計算規則第3条)、会計基準等に従って算定するものと考えられます。

なお、会計監査人設置会社以外の株式会社(公開会社を除く)においては、当該注記は不要とされています(会社計算規則第98条第2項第1号)。また、連結注記表を作成している会社は個別注記表における記載を要しないとされています(会社計算規則第110条第2項)。


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