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金融商品の時価等の開示

第3回: 概要 その3

2009.09.01
新日本有限責任監査法人 公認会計士 山岸聡

4.金融商品の時価等に関する事項(適用指針4項)

金融商品の時価は、金融商品会計基準等に定める時価に基づいて、委託手数料等取引に付随して発生する費用を含めずに、金融商品に関する貸借対照表の科目ごとに、貸借対照表計上額、貸借対照表日における時価およびその差額ならびに当該時価の算定方法を注記します。

  1. (1)金融商品に関する貸借対照表の科目ごとに、貸借対照表計上額、貸借対照表日における時価およびその差額ならびに時価の算定方法
  2. (2)有価証券については、保有目的ごとに定める事項、保有目的の変更に関する事項および減損処理に関する事項(※1)
  3. (3)デリバティブ取引(ヘッジ会計が適用されているものを含む)については、取引の対象物の種類ごとに、契約額、時価および時価の算定方法等(※2)
  4. (4)金銭債権および満期がある有価証券(ただし、売買目的有価証券を除く)については、償還予定額の合計額を一定の期間に区分した金額(※3)
  5. (5)社債、長期借入金、リース債務およびその他の有利子負債については、返済予定額の合計額を一定の期間に区分した金額(※4)
  6. (6)金銭債務については、貸借対照表日における時価の開示に加えて、約定金利に金利水準の変動のみを反映した利子率で割り引いた金銭債務の金額または無リスクの利子率で割り引いた金銭債務の金額のいずれかを開示することができます。ただし、金額の算定方法および時価との差額について適切な補足説明を行います(※5)。

※1有価証券に関する事項

  1. 売買目的有価証券

    当期の損益に含まれた評価差額を注記します。
  2. 満期保有目的の債券
    1. (ア)当該債券を、貸借対照表日における時価が貸借対照表日における貸借対照表計上額を超えるものおよび当該時価が当該貸借対照表計上額を超えないものに区分し、当該区分ごとの当該貸借対照表計上額、当該時価およびその差額を注記します。
    2. (イ)当期中に売却したものがある場合には、債券の種類ごとの売却原価、売却額、売却損益および売却の理由を注記します。
    なお、(ア)の注記に当たっては、債券の種類ごとに区分して記載することができます。
  3. その他有価証券
    1. (ア)当該有価証券を、貸借対照表日における貸借対照表計上額が取得原価または償却原価を超えるものおよび当該貸借対照表計上額が取得原価または償却原価を超えないものに区分し、当該区分ごとの取得原価または償却原価、当該貸借対照表計上額およびその差額を注記します。
    2. (イ)当期中に売却したものがある場合には、売却額、売却益の合計額および売却損の合計額を注記します。
    なお、当該注記に当たっては、有価証券の種類(株式および債券等)ごとに区分して記載する。また、(ア)の注記に当たって、債券については種類ごとに区分して記載することができます。
  4. 当期中に売買目的有価証券、満期保有目的の債券、子会社株式および関連会社株式ならびにその他有価証券の保有目的を変更した場合には、その旨、変更の理由(満期保有目的の債券の保有目的を変更した場合に限る)および当該変更が財務諸表に与えている影響の内容を注記します。
  5. 当期中に有価証券の減損処理を行った場合には、減損処理を行った旨および減損処理額を注記します。

※2デリバティブ取引に関する事項

取引の対象物の種類(通貨、金利、株式、債券および商品等)ごとに、次の事項を注記します。

  1. ヘッジ会計が適用されていないもの
    1. (ア)貸借対照表日における契約額または契約において定められた元本相当額
    2. (イ)貸借対照表日における時価および当該時価の算定方法
    3. (ウ)貸借対照表日における評価損益
  2. ヘッジ会計が適用されているもの
    1. (ア)貸借対照表日における契約額または契約において定められた元本相当額
    2. (イ)貸借対照表日における時価および当該時価の算定方法

※3金銭債権および満期がある有価証券に関する事項

金銭債権および満期がある有価証券(ただし、売買目的有価証券を除く)については、償還予定額の合計額を一定の期間に区分した金額を注記します。

※4社債、長期借入金、リース債務およびその他の有利子負債に関する事項

社債、長期借入金、リース債務およびその他の有利子負債については、返済予定額の合計額を一定の期間に区分した金額を注記します。

※5金銭債務に関する事項

金銭債務については、貸借対照表日における時価の開示に加えて、次の金額のいずれかを開示することができます。ただし、この場合には、当該金額の算定方法および時価との差額についての適切な補足説明を行います。

  1. 約定金利に金利水準の変動のみを反映した利子率(貨幣の時間価値だけを反映した無リスクの利子率の変動のみを加味し、企業自身の信用リスクの変化は反映しない利子率)で割り引いた金銭債務の金額
  2. 無リスクの利子率(企業自身の信用リスクは反映しない利子率)で割り引いた金銭債務の金額